THE YELLOW MONKEY SPRING TOUR“NAKED”Completed set list「BLASTED VOLUME!……BE READY」@IMPホールに行ってきたのよ

長えタイトルだな!ちなみに、フラゲはできてません!(先に言う)

とりあえず具体的な感想に入る前に、明日11日発売のSPRING TOUR NAKED、お高いボックスの方はまあコレクターアイテム的な色合いもあるのでお好みで、ですけど、単体の円盤のほうだけでも買って損なしかなと思います。というのも、既発のVHS(DVD)はインタビューやオフショットが相当インサートされているだけでなく、収録の曲順もセトリ通りではなくバラバラなので、編集の持つ意味合いが仕事をしすぎているきらいがある。黒箱の特典DVDはその点ではあの雰囲気を伝える一助にはなるけれど、いかんせん数曲の切り取りなので。とりあえず当日のセトリは以下の通りですが、赤字が既発DVD収録、青字が黒箱特典収録になります。黒字は今回初収録。

01.楽園
02.FINE FINE FINE
03.サイキックNo.9
04.I LOVE YOU BABY

05.VERMILION HANDS
06.SECOND CRY
07.A HENな飴玉
08.薔薇娼婦麗奈
09.HEART BREAK
10.DEAR FEELING
11.創生児

12.SPARK
13.聖なる海とサンシャイン

14.ROCK STAR
15.SHOCK HEARTS
16.甘い経験
17.バラ色の日々
18.悲しきASIAN BOY

ENCORE
01.WELCOME TO MY DOGHOUSE
02.SUCK OF LIFE
03.JAM

いやFINE FINE FINEに麗奈にWELCOMEて…ROCK STARて…これを倉庫に眠らせておくつもりだったのかい?末代まで罰が当たるよ?(ガチ勢こわい)

この日の横アリのライヴは私も参加していて、ヒーセ側のね、けっこう前方の席でした。ちょうどGWごろっていうタイミングもなんか、いろいろ思い出しましたね。しかし、私が何に食らったかってど頭の開演前のSEですよ…開演前のSEってほんと、ものすごい喚起力がある。あれはやばかった。

それで20数年ぶりにSPRING TOURをまるっと再体験したわけですけど、結局のところ、ステージに載っているものがすべてだったっていう、パンドラを見た時と同じような感情が沸き起こりました。リリースされたときに感じたバックステージのみんなの硬い表情、奥歯にもののはさまったようなインタビュー、後年語られた「あのとき、実は」なエピソードの数々に記憶が塗り替えられていたような気持ちになっていたけれど、なにをどうひっくり返ってもこのバンドの「カッコよさ」、そこにすべてをかけるような佇まいはちっとも曇ってなんかいないのだった。

とはいえ、それこそSICKSのときのような、まさに全知全能といった恐れ知らずの輝きを放っていたかというとそうではなかったのは事実なんですよね。でも、もがいているからこその、ある種やけっぱちというか、火事場のなんとかというか、そういった奥底から出てくる色気というのは確実にある。必死になってる人間ってやっぱり愛しいし、もがいている人間だからこそ放つことができる光ってやっぱりあるんだ。

あとね、改めて思ったけど、本当に一つのステージにおける物語、文脈にものを言わせるバンドだなと。ライヴでの曲間の繋ぎに以上にこだわる吉井の面目躍如でもあったし、本当にただ曲を並べているというのではなくて、その流れにドラマがあって、それがその日のライヴにおいて生まれていくドラマと重なってっていう、いやー何度も言うけど、こんなドラマティックなバンド、どうして愛さずにいられようか。事前にyoutubeにアップされた「甘い経験」のライヴ映像が上映前にまるっと流れて、その時は「これどうせ後でも見るのになあ~」とぼんやり見ていた私だが、本編のあの位置に配置された「甘い経験」は「さっきと同じ映像!?」というぐらい、持っている意味が違って見えたのがちょっと衝撃でしたね。

個人的にはやっぱり初出しのFINE FINE FINEやVERMILIONにはあがってしまったなー!そうだった麗奈もやってくれたんだった、これレコ発ツアーじゃなかったから、ちょっとメカラっぽいセトリだったんだよなーなんてことも思い出したりして。どのライヴ映像を見ても、全員がもれなくゴージャス、もれなくカッコいい、まじでえらいうちのバンド、と思うのを止められない病気なわけですが、全体的に挑みかかるような視線でゴリッゴリにベースを鳴らしていたヒーセに撃ち抜かれっぱなしでした。そうかと思えば逆サイドでエマがキラキラのギラギラ衣装にほわほわ笑顔でオスみあふれるプレイをしていたりして、要素!多い!ってなるし、吉井は吉井で一線超えたような顔つきでぐいぐいくるし、アニーはアニー。映像で見ているのにいつ上着を脱いだか気がつかないやつでごめん。マジで目がいくつあっても足りんなというのを20年前も思ってたけど今また思ってます。

創生児はこのライヴの白眉といってもいいぐらいの出来なんじゃないですかね。吉井がキレッキレだったし左右の風神雷神のやらずぶったくりぷり炸裂してるし、これは金を払う価値のある映像…って拝みそうになりました。あとWELCOMEね!!!!犬小屋、ほんとうにえらい。いつ何時でもこのバンドのカッコよさ指数の最長不倒叩き出してくる。犬小屋てだけで持ち点に倍率ドン更に倍って感じだもの。

バラ色のときに、「君たちと俺たちのテーマソングになったらいい」って吉井が言ってて、そうかあ、この頃から言ってたのかあ、こういう吉井の嗅覚おそるべしだよな、実際にその通りになったわけだしね。

爆音で音を浴び続けるっていうのも久しぶりで、でもちゃんと聞き取れて快適でさすがですねって思ってたら、音響卓に宗さんがいらしてたんですってね。マジかよー!宗さーん!お懐かしうございますー!

冒頭にメンバー4人のコメントが流れて、吉井のやつが重すぎて「これ読んでから見るの!?地獄かよ」ってなったけど、エマのコメントがさすがの中和剤でほんと、いつもありがとうございます。解散の手紙もそうだったけど、エマのおかげで命が繋がってます。でもまあ、そういうのもふっ飛ばしちゃうんだよね、結局のところ。あのステージでの彼ら、あのグラマラスさ、持っているドラマ、それらの真ん中にどんとあるカッコよさが、なにもかもを吹き飛ばす。吹き飛ばして、ステージのこちら側にいる私たちを連れていく。遠くへ。今までに見たことのない世界、届いたことのない場所へ。

そういうのって、結局のところ変わらない。こうしてシンプルにあの時を、SPRING TOURを振り返ることができるようになったのも、紐解けば今があるからだし、ほんとうに時間が経つにつれて失ったと思ったものが還ってくることってあるんだなと思います。

しかしこれが20年以上前とは!こんなに古びていないってちょっとした奇跡だ。パッケージされた映像のなかに、あの頃の時代を感じさせるような、時代と寝たような要素がどこにもないから、「きのうの映像です」って言われても通るんじゃないかというぐらい、「今」感がある。たとえば時間が巻き戻って、もう一度彼らに出会い直したとしても、もう一度夢中になるだろうな、と改めて思う。そういうバンドを好きになれてよかったです。心の最前列で眺め直したいライヴ映像がまたひとつ増えたこと、文字通り、ファン冥利につきる想いです。