生き続けよ 絶望が最後ではない

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE

★30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL-

 2020年11月3日(火・祝) 東京ドーム

 

★30th Anniversary LIVE -YOKOHAMA SPECIAL-

 2020年11月某日 横浜アリーナ

 

★30th Anniversary LIVE -YOYOGI SPECIAL-

 2020年12月7日(月) 国立代々木競技場第一体育館

 

★30th Anniversary LIVE -BUDOKAN SPECIAL-

 2020年12月28日(月) 日本武道館

ドラマチックなバンドだなあ。

つくづく、そう思う。

 

THE YELLOW MONKEY初のドームツアーのラスト、東京ドーム2daysが延期(もしくは中止)となることは3月末にアナウンスされていたが、きょう6月の末日にとうとうその代替公演が発表された。すでに販売した東京ドーム2日間のチケットはすべて払い戻し、その代わりドーム1公演を含む4公演を新たに設定、4公演のいずれもこのバンドにとってエポックなハコが選ばれている。観客のキャパシティは今のところ「0%から100%の間としか申し上げられない」。メンバーのコメントも同時に発表されており、吉井和哉によれば「当日目の前にあるのが何かはわからない」、つまりたとえ無観客でもライヴ自体は行われる、ということだ。

 

単に中止とするのか、延期とするのか、延期とするならいつなのか、いつなら100%のキャパを維持した公演が打てると確信できるのか、延期公演を設定した場合のリスク、どれぐらいの観客を入れられるかわからない状態で大箱を抑えるリスク、果たしてその状態でのライヴをメンバーは望むのか、ファンは望むのか、なにもかもがわからないなかで、そういったひとつひとつをこの3か月の間、このバンドを取り巻くひとたちで考え続けてくれていたのだろう。

 

そしてその結果として提示された4公演。「わがままを許してください」という吉井さんのコメント。この提示された4公演すべてに、意味があると思えるものしかしたくない、というこのバンドの―――メンバーのでも、スタッフの、でもない、THE YELLOW MONKEYという生命体の意思が、炎となって見えてくるような気さえする。

 

どうなるかわからないなかで、これをやろうと決めたこと。物語があるなあ、と私はおもう。以前、結局のところ私は、THE YELLOW MONKEYという物語をずっと読んでいるだけにすぎないと思ったことがあるけれど、こんなにも長い間、まさに巻を措く能わずもかくやというほどに、私を惹きつけて離さない。

 

この3か月余り、それなりに楽しく過ごしてきたとおもう。仕事に行って、家に帰る、映画も演劇もない、判で押したような毎日ではあったけど、それなりに楽しく過ごしたとおもっている。それができたのは、考えないようにしていたからだ。よしもとばななの「満月」の一節を借りれば、「そうして私は楽しいことを知ってしまい、もう戻れない」という、その戻れない夜のことを考えないようにしていたからだ。きょうの一報を目にして、すっかり火の落ちた溶鉱炉にもういちど火が入るような感覚を覚えた。どうなるかわからないが、わたしの欲しい「それを知ってしまい、もう戻れない」ものがそこにあるということだけで、こんなにも「生きてる」と思えるものなのか。それを実感した。どれだけ時間が経っても、距離が離れていても、私という人間のエンジンがどこにあるかを思い出させてくれた瞬間だった。

 

森羅万象乗り越えて、絶対にまたあの夜に会いに行く。

そう思わせてくれてありがとう。