行ってきたのよつって、もう1か月も経っちゃった。光陰矢の如し。
東京ドームの終演後、集まったお友達と話してた時に、「このあとフェス回って、秋からツアーとかかな~」と予測している子がいて、その時はワンマンはまだしも、フェスはどうかな~(何があるかわからないのにフェスはリスキーかな~)と思ってたんだけど、そのお友達慧眼すぎた。予想通りのスケジュール。
以前は吉井のソロも含めなんとなくエポックな夏フェスにはがんばって行こうという気があったんですけど、寄る年波とこの殺人的な暑さのなかではとてもとても!とてもとても!気になるけども!と見送りがちのところ、屋内だし(代々木だし)ってことでお友達が誘ってくれたので、渡りに船と飛びつきました。
バズリズムライブは出順を事前に発表しないブラインド方式のフェスなのですが、当日の面々からするとまあ…トリなのかな?さすがにいっぱつめではなさそう?と予想。予想通り、出演はsumikaがトップバッター、続いて櫻坂46、秦基博さん、フジファブリックでトリがTHE YELLOW MONKEYでした。
フジファブリック以外は実際にライヴを拝見するのは初めての顔ぶれで、そのフジファブリックももう拝見したのは何年も前なので、凄く新鮮でしたし、振り返ってみるとすごくバランスのいいキャストだったな~と思います。sumikaが途中、大好きなTHE YELLOW MONKEYと出演できて…みたいなことをMCでふれて、「Tactics」をカバーしてくれたのはびっくりしたし嬉しかったな~。やれる曲数が限られている場なのに、わざわざカバー曲やってくれるなんて愛しかない。Tacticsが爽やか夏のシティポップの香り、みたいな感じになってて、おしゃれすぎる!こんなTacticsはじめて!ってうっとりしちゃった。
そのsumikaのTactics聴いてて、そういえば秦さんにトリビュートアルバムのとき「SPARK」カバーしてもらったじゃんね、フジファブには「FOUR SEASONS」カバーしてもらったじゃんね、縁のあるひとばっかりでメンバーも嬉しいだろな、と改めて気がつく私。秦さんと吉井はFM802で対談とかもしてたなあ。あのときなぜか吉井が太宰治の「人間失格」にとりつかれてて(読んだわけではなく、片っ端から読んだかどうか聞きまくってた)秦さんにもせっちゃんにも当然のように「読んだ」って言われてたなあなどと懐かしく思い出したり。
フジファブリックの活動休止宣言はもちろん知っていたけど、こういうときって…こういうときって、自分の経験からいっても、わかったようなこというやつは馬に蹴られて苔むして転がれぐらいのことをファンの人なら思うだろうし、長くバンドを愛している人ほどそれぞれの気持ちがあるだろうし、あっしには何にも言えねえ…という気持ちだったけど、こうして実際ライヴを見ると、そういう感傷はさておき、まずなによりフジファブリック、全員演奏がむちゃくちゃうまい、というバンドとしての力の確かさに唸らされるところがあった。あと楽曲がほんとう一筋縄でいかない。すげえなあ。ほんとこんなバンド、ちょっとほかにいないよな、と感嘆してしまったな。1曲目があまりにも壮大な、うおーまさにフジファブリックぽさ満開だぜーと思わせる楽曲で、後で調べたら「破顔」という曲らしい。ラストは「若者のすべて」で締めてくれて、これは本当に、曲として積んでるエンジンが違うやつ、名曲すぎる。
周りの客層見る限り、誰のファンが一番多い、みたいな偏りはあんまなかったぽくて、かつ明らかにお目当てがはっきりしている人もふくめ、トリのTHE YELLOW MONKEYまでほとんどのひとが残ってくれていた印象。セットリストはソナタの暗闇、SPARK、罠、太陽が燃えている、バラ色の日々、LOVE LOVE SHOW、JAMという王道選曲でございました。
ドームから3か月経ってても全員ビジュ絶好調です!といわんばかりの仕上がりぶりで、すっかり代々木の似合うバンドになりんしゃって…としみじみ。王道選曲につき、周囲の非ファンと思われる方々の反応もすこぶるよく、さすがだてにバンド結成35周年じゃないねというか、この人たちもネ、かつてはこういうフェスで尖りに尖っていたことがあったんですよ…と思うと歳月ってのは偉大だなと実感させられますね。
吉井ちゃんの喉の調子は前半はかなりよさげで、ところどころ気になるところもあったけど、でもこれは確実に上向きといえるのでは…という感触だったな。JAMのラストのほうは結構苦しそうだったけど、でもそうなったらそうなったときで叩きつけるような歌い方でねじ伏せるのも、個人的には好きだったです。JAMのアンセムぽい一面ではなくて、祈りの歌という側面が強く出る感じがして、これはこれで貴重だった。
どうしても過保護になってしまいがちなオタクなので、あまり酷使しないほうが…とか思っちゃうけど、実のところこうして使う場を増やしていくことが大事って側面もあるんだろうな。本番で使う筋肉は本番によってしか培われない。30年以上積み上げてきたものがいったんリセットされたわけだから、こうしてとにかく場を増やして、積み重ねていくしかないんだろうな。本人にとってはなかなか焦っちゃう話だろうけど、ファンとしては鷹揚の御見物という気持ちでゆったり待ちたいところだ。
王道曲詰め合わせで、1時間弱のステージではあったけど、それはそれとしてやっぱりTHE YELLOW MONKEYのライヴを見ることでしか得られない栄養素ってあるよね…とネットの型文通りのこと言って申し訳ないが、でも本当にそう思ったな。楽曲もデコラティブな佇まいも、あの4人束にしてかかれば馬をも倒すみたいなビジュアルの良さも、こんなにずっと全部が好きでいられるのってむちゃくちゃありがたい、むちゃくちゃ貴重なことだ。
途中のMCで吉井が「バンドというのは生き物で、続けていれば本当にいろんなことがある」と語り、それでも、たとえ解散していても我々の中にあった絆は消えなかったよ、と言ったのは、今日の出演者、とりわけフジファブリックへの思いを傾けた言葉のように聞こえた。続けていればいろんなことがある。本当にそう。そしてそれと同じくらい、未来には何が待ってるかわからない。あそこで安易に活動休止という単語を出さず、遠回しの、ほんとうにさりげないエールにとどめたのは、かつて自分たちもそうせざるを得ないと思って袂を分かったことがあるからこその品性だったと思うし、聞いていた多くのファンにはそのささやかな優しさがちゃんと伝わっていたと思う。
今回の夏フェス行脚はわたしはこのバズリズムのみで打ち止め、あとはツアーを楽しみに、というところだけど、参加アーティストみんなテイストが違って、フジファブリックのライヴも楽しめて、THE YELLOW MONKEYは相変わらずかっこよくて、吉井はまだ髪型の好調さを維持していて、すごく充実した時間だったなとホクホクしちゃっております。この後のフェスもどうかご安全に!とくに吉井ちゃんの髪型方面!願をかけておきます!