at THE WHITE ROOM ZEPP OSAKA  2005/06/25

恥ずかしながら、初ZEPP

なにしろ、ツアーが新潟で始まったその日から毎日毎日2ちゃんねるの吉井スレッドを見てはツアーのメニューだのなんだの確認していたわけで、大阪の前の名古屋で初の2daysやるまでセットリストが一切変わらずに来たこととか、名古屋二日目で曲順が入れ替わり「20GO」が最初に来て「HATE」が新しく出たこともチェック済みで、ってことは2daysの2日目が特別メニューになるんだな、いいなあああと1日目にしか行けない私はがっかりしていたのだった。だから1曲目が「20GO」で始まったときはすごく驚いて次に思ったのは「HATE」聴けるじゃん!ってことだった。

整理番号が相当後ろだったのだけどつるつる空間を探していたら特に押しのけたりしなくても全然2ブロックめまではいけた。一番前のブロックはさすがに厳しいよなーと思っていたのだが、吉井達が出てきた瞬間各ブロックがそれぞれ中央めがけて人が集まるので、前のブロックも後ろががら空きになり、それでふつーに前まで行ったのだった。で、ちょっといけるとこまで頑張ってみようかなと思ったんだけど、2曲目の「欲望」での押しの烈しさにこのペースでは最後まで保たないよ、と思って3曲目で一歩下がってみた。それでも5,6列目ぐらいではあるので吉井の姿は全然見えるし、下がった方がエマも見えやすいということに気がついて後はずっとそこで飛んだり、跳ねたり。

「TALI」や「WANTED AND SHEEP」も大好きなんだが、こんな、ありえないぐらい近くに吉井がいるのにあのアタマのネジが一瞬にして吹っ飛ぶような、居ても立ってもいられない「楽しさ」の波がまったくこなくて、こうだったっけ?こうだったけ?と自分でもちょっとうろたえる感じだった。「こんなに近くにいるのに、吉井が遠い!」と京さんの真似をしてみたくなるほどだった、って、もう全然わけがわからない。

レポではMCがそれなりにあったようなのだけど、この日はまったくMCらしいものは一切無くて、ただがしがしと曲で押していく、という感じだった。いまだにどんな曲でも手を高くさしのべる人が居て、いいけどお前の手じゃまなんだよとちょっと毒づきたくなったりもしつつ、声援はとうぜん吉井に集中しているのだが、「エマさーーーん」「えまちゃーーーん」という男性の声がものすごく多くて、男子に愛されるギタリストというのはええなあとなんだかすごく嬉しかった。

7曲目の「HATE」を聴いているときに、突然、吉井の声で胸が押されるような感じになって、そんでぶわーーーっと勝手に涙が溢れそうになったので自分でも驚いた。えー泣いてる場合じゃない、と思ってこらえたんだけど、ちょっとこらえきれなかった。

私はHATEという曲がHPの先行視聴で聴いたときから妙に引っかかっていて、どうにも死んだ父親が自分の子どもに歌っている歌にしか聞こえないのだけど、どちらにしてもすごく全編から喪うやるせなさが立ち上がってくる曲で、私はこういうのにとても弱い。聴きながらつい先頃家族を残したまま死んでしまったひとのことを想いだしてしまい、それもあってどうにも泣けてきてしまったんだと思う。

続く「CALL ME」は、すばらしかった。

こういう曲で客を集中させる膂力というのか、この急激な曲の温度のあげっぷりというのはすごいものがあって、「たまに星がキレイだってことを君に君にCALL ME CALL ME」というあたりではもう捧げ手連中も手をさしのべてるばあいじゃない、というぐらいの緊迫感があった。あそこで吉井にふっと落ちる細いサスペンションライトが広がっていくところは、今回のライブでもっとも印象に刻まれたシーンでした。

そこからの記憶がすごく断片的で、ということは相当ネジもすっ飛んでいたんだと思う。最高に楽しかったのは「MUDDY WATER」、あと「PHOENIX」の格好良さは断然CD以上で、一発目はこれでやっぱ聴きたいかも、とか思ったりもした。「NATURALLY」から「FINAL COUNTDOWN」の流れは、実はipodで聴くとき曲順を入れ替えて聴くほどこの流れが好きなのでずっぱまりだった。「FINAL COUNTDOWN」が最高に楽しいのは言わずもがな。

MUDDY WATERの「これが俺のはか」のあと、SADE JOPLINをおもむろに歌いだし、「先のことなどかんがえな~い、夏~バ!!」っていきなり始まったのにものすごく笑った。

私が「WHITE ROOM」のなかでいちばん好きなのはNATURALLYだったんだけど、この曲はCDで聴いた方がなんかはまるのかなと思ったりもした。でもNATURALLYの間奏でエマのギターソロがはいるところ、割と淡々とサポートに徹しますというかんじだったエマのギターが一瞬あの強烈な押し出しで襲ってきて、思わずエマーーーー!と叫んでしまうほどにエマだった。すいませんわけのわからないことばっか言って。

アンコール、の声が「アンコール、アンコール」じゃなくてなんとも男らしい「よ・し・い!よ・し・い!」の声だったのだが、Tシャツ着て出てきた吉井が開口一番「吉井って言うな!俺は本当は吉田なんだ」で大受け。すかさず「よ・し・だ!よ・し・だ!」コールに切り替わるとメンバーも皆笑っていて、「あのね、関西人だから許されるんだぞ」と吉井も笑ってた。そのアンコールではCCCDのためにitunesに取り込んでいない(根に持つタイプの私)「スティルアライブ」がすごく印象的。最初に聴いたときの暗いイメージとは全然違って聞こえて面白かった。

本当に一切、MCらしいMCがなくて、曲間で「雰囲気的には今日が最高かもしれないぞ!」とか「いっぱいライブをやりたい」とかそういうコメントはあったけど、メンバー紹介も名前のコールだけでした。でも何度も「大阪最高」「メンバーも最高だって言ってるぞ」と言っていた通り、この日しか参加していないけど充実したライブなんだろうなというのは伝わってくる感じでした。

大阪は多分今回のツアーでもっともチケット競争が激しかったところで、オークションでもありえない値段が平気で飛び交っていたし、チケを手に入れているひとも気合いが入っていたというのもあるのかな。まあ何しろみんな前のめりなひとばかりであったことです。

ここから先は、すごく勝手な妄想ともいうべきものなので、あまり気にしないでください。

私は何度も何度も、イエローモンキーのライブは楽しい、と口が酸っぱくなるほど言っていて、その「楽しさ」っていうのはもうちょっと言葉に出来ない類のものだったわけなんですが、その麻薬のような、病みつきになる、虜になる楽しさは、実はYOSHII LOVINSONの今日のこのライブでは体感できなかったんです。

まったくこいつ何言ってるんだってことを思われるのは重々承知なんだけど、私が吉井を見ながらすごく感じたのは「魔法の解けた王子様みたいだな」ってことだったんです。ああ、王子様とかいうとちがう意味でヤバく聞こえる、あのー、「魔法をかけられる」って二つの意味があるでしょ?つまり「魔法をかけてもらうんだけどそれがとけちゃって元の姿にもどっちゃう」っていうシンデレラみたいなのと、悪い魔法使いに姿を変えられていてお姫さまのキスで元に戻る!みたいな意味と。つまり元の姿に戻る、というのがポジティブなのかネガティブなのかってことなんだけど、私は元の姿に戻ったことは全然ネガティブにはとらえていなくて、だけどじゃあ魔法の方はネガティブなのかっていうともちろんそんなことも思ってない。信じられない、奇跡のようなマジックを手放して、それでもひとりの「吉井和哉」に戻った男の第一歩、というのが、私がこの日の吉井からすごく感じたモードでした。

あの魔法は、4人だから生まれた魔法だったんだな、という寂しさももちろんあったし、だけど吉井和哉というひとがひとりでステージの上で闘っている姿はやっぱり素敵で、大丈夫、魔法が解けても、あんたはちゃんと格好いいよ、と私は思ったし、そう思えたのが何より嬉しかったです。

これは吉井ファンだからこその甘い発言だとわかっているんですけども、パンチドランカー以降の、自分の出来ることと出来ないことにぐるぐる巻きになって迷走していた苦しそうな感じがなくて、それだけでもちょっとほっとしたり。ダメなファンですねえ。甘やかしてますねえ。私たちの方だっていろいろ悩まされてるっていうのにねえ。

でも私にとって吉井和哉のように痛くて苦しくて優しい歌詞を書いてくれる人が他にはどうにもいないので、しょうがない。

あとこれは本当に蛇足中の蛇足。

私が最初にイエローモンキーのライブに行ったのは97年なんだけど、その時同じ職場に働いていた友人にイエローモンキーを好きな子がいて、でもその後私は東京へ、彼女は沖縄へ転勤になってしまった。お互いイエローモンキーのファンだってことは知っていたし、例のうたばんに出たビデオを貸してあげたりもし、パンチのツアーのラストの横アリで挨拶したりとか、メカラのあと新宿で偶然ばったり会ったりとか、そういうことはあったのに最近は年賀状のやりとりだけになってしまっていた。

私は私で、彼女は今でもファンなんだろうかとか気にしていたけど、なかなかそれを改まって聞くというのも変だし、去年解散、ってなったときも結局彼女には連絡とっていなかった。

そしたら、ライブの翌日彼女から突然メールが来たんです。

「○○ちゃんからメアド聞きました。今日は参加しますか?私は昨日だけで今日は泣く泣く諦めました。また話聞かせて下さい。」

彼女は当然私がHPをやっていることなど知らないから、私が今でも吉井吉井アホみたいに繰り返しうわごとのように言っているのもしらない。だから、勇気がいっただろうなあと思う。だって「え~、ソロ、興味ないもん」みたいな言葉が返ってくる可能性だって大いにあるわけで、それも時の流れというやつだし仕方ないわけで、だから私は彼女に自分から「ライブ行くの?」と聞いたりしていないわけで・・・。でも声をかけてくれたことが嬉しかったし、彼女の勇気に感謝した。

東京4daysに夏期休暇を使って駆けつけている彼女の携帯のアドレスにはtymという文字が含まれていて私は思わず笑ったのだけど、彼女も私の携帯のアドレスにjamが含まれているのを見て思わず笑ったに違いない。

これはね、一回とことん呑まねばならんでしょ。

ZEPPからの帰り道、私を追い越していくカップルの男の子が感に堪えたように「吉井さん渋いな、渋いよ、あれはかっけーよ」と繰り返していたのを聞きながら、8年前の5月城ホールからの帰り道、同じように私を追い越しながら「楽しかった!」「楽しかったねーー!」と話している女の子達の会話に思わず参加しそうになった風景が甦ってきた。

「吉井さん、渋いよね、あれはかっけーよ、あなたもそう思うでしょう?」

6/25 ZEPP OSAKA SETLIST

01.20GO

02.欲望

03.TALI

04.SIDE BY SIDE

05.WANTED AND SHEEP

06.RAINBOW

07.HATE

08.CALL ME

09.BLACK COCK'S HORSE

10.MUDDY WATER

11.JUST A LITTLE DAY

12.PHOENIX

13.CALIFONIAN RIDER

14.NATURALLY

15.FINAL COUNTDOWN

アンコール

16.スティルアライヴ

17.FOR ME NOW

18.トブヨウニ

2005.06,25