This Is For You

1stアルバム「THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE(夜行性のかたつむり達とプラスティックのブギー)」収録。

エマと吉井の曲、という言葉が真っ先に出てくる。 もちろん作曲者が吉井和哉菊地英昭の連名だということもあるけれど、それ以上のものを感じますよね。

タイトルはミック・ロンソンの2ndアルバムの同名異曲からで、追憶の銀幕のDVDの中で吉井はまさにこの曲をミック・ロンソンに捧げているわけだけれど、吉井が言うところの「キラキラの少年ふたり」だったミックとボウイを思い描いている部分がきっと少なからずあって、それがそのままステージに今いるふたりに結びついているんじゃないかと思うんです。

曲の最後に、ふたりが寄り添ってギターを弾くのですが、追憶の銀幕の時の吉井の傲然とした感じ(エマの方を見もしない)も好きですし、逆にほんわかしたムードが漂うメカラウロコ7のほうのふたりもすごく好きです。 私の、オールタイムベスト10不動の一曲。 吉井が「NAI」を二番目に好き、といったレトリックを借りるなら、私にとって「This Is For You」は永久に「二番目に好き」な曲に当たるかもしれません。

ライブというものには、どこのバンドでもそうでしょうが、ファンにだけわかる「符丁」というやつが一つや二つはあって、それがこの曲の場合は「雨」というキーワードでした。 吉井がMCで「今日は外は雨だね」と言えば、それがThis Is For Youの合図。 そういったことのひとつひとつがライブというものの楽しさを創り上げていたんだなあ、と今振り返ってみて改めて思います。

最後となった大阪、東京両ドームでのメカラ8のとき、どんな曲をやるだろうなんて期待しすぎると絶対がっかりするから考えまい!と決めていたのに、なぜか「でもThis Is For Youはやってくれるよね?」と思いこんでしまっていて、それが大阪で顔を出さなかった時のショックたるや。正直、かなり凹みました。東京ドームの時は、もうやらないことがわかっていたので、フラットに楽しめたのですけどね。 最後にもう一回、聴かせて欲しかったなあ。そんなことを言ってもしょうがないのですが、でもやっぱり、最後にもう一回、聴かせて欲しかったなと今でも考えてしまう曲です。

飲み干したら目が回るような この歌を君に This Is For You