天国旅行

6thアルバム「SICKS」収録。

THE YELLOW MONKEYの楽曲の中で実に最長の、8分半にも及ぶ大曲。 ライブではさらに長く、10分を超える演奏時間になることもある。 その長さを魔法の時間に変える、圧倒的な楽曲です。

私は当初この楽曲のことがあまり好きではなかった。歌詞はすごくいいなと思っていたが、いい曲だけど、長いよ・・・という感想の方が先に立っていたと思う。それはライブで聴いたことがなかったからでは勿論無くて、FIXでも紫の炎でもこの曲を体感していたのにそう思っていたのだ。 パンチドランカーのホールツアーではこの曲がセットリストのなかに組み込まれていた。長崎のライブでこの「天国旅行」を聴いたとき、私は今までこの曲の何を聴いていたんだろうか?と思った。圧倒的だった。圧倒的すぎた。全部の音が胸に刺さるような気がした。あのギター。ドラム。ベース。吉井の声。もちろんそれまでも彼らのファンではあったのだ。長崎にまでライブにくるほどだったのだから。だけど、私ははっきりとこの日のこの曲を境に彼らに対してなりふり構わなくなった。バカ?みっともない?痛いファン?何と言われてもどうぞご自由に、だった。こんなパフォーマンスを見逃すことに較べたら他人からどう思われようとそんなことは痛くも痒くもなかった。そしてなによりも驚くべきことだったのは、この長崎のライブが特別どうだったというわけではなくて、彼らは淡々としながらこの爆発的なエネルギーをいつもいつも放射し続けていたということなのだった。

ポジティブなものだけが、人を救うわけじゃない。どんなに絶望的なことを歌っていたとしても、いや、だからこそ、人に光を投げかけるものはあって、この天国旅行も、間違いなくそういう楽曲の中のひとつだと思う。

DVDに収録されているのは、RED TAPE、BLUE FILM、そしてメカラウロコ8live at TOKYO DOMEの3本。吉井がオフマイクで叫ぶ「スリー、フォー!」のカウント、間奏でのアニーのカウント、エマのギターソロに続く圧倒的な音の重なり、そしてあの声。何度見ても、凄すぎる。

潮騒の音 快晴の彼方 そこに吹く風 その時の匂い 潮は満ちてく 膝から肩へ 苦しさを越え 喜びになる