あの向こう

別冊カドカワの「あなたの好きな1曲」アンケート、22日までだからまだまだ時間あるっぽ、と余裕こいていたらもうすぐ22日だったYO!あわてて送りました。結構意見が分かれそうですよね、これ。やっぱりCALL MEが一番人気だったりするんだろうか。こういうアンケートの常で最近の作ほど集中しやすい、というのもある気がするのでShine and Eterenityとかもいい線いったりしないかしら。BELIEVEってひとも多そうだなー。

ちなみにわたしは「HATE」にしました。これも結構ヲタ内で人気ありますよね。

一番好きな曲、なんてまあいついかなるときでもバシッと決まっているというほうが少ないような気もするし、わたしも一番好きなって言われるとそのニュアンスとこの「HATE」という曲への思い入れとは違うような気もするんですけど、でもそう、思い入れという意味ではこの曲にはちょっと特別の感情があります。

どこかのインタビューで吉井自身も口にしていたと思うけども、この曲は9.11をはじめとする世界情勢にインスパイアされて書かれている歌詞で、それも割とはっきりとその匂いを感じさせているのが珍しいといえば珍しい気もします。「たとえ勝ったって負けだし平和のうそつき なんのためのこの闘争心」「油と角砂糖と札束と悪魔の」。しかしこの戦場に行く父親が自分の子に語りかけるような曲にわたしが感情を揺さぶられるのは、それが要因なのではなく、ひとりの劇作家をこの曲が思い起こさせるからです。

その人はとある劇団の座付き作家でした。くだらなくも最高に愉快な思いを味わわせてくれる劇団として名前が知られていました。その劇団の公演で、出演もするはずだったその人が今回は病気で休演することになりました、というお知らせが初日の案内に入っていました。舞台は予定通り笑いに満ちて終わりました。全公演終了後、その劇団のHPで、その作家が公演前に急死していたことが告げられました。その人は最後に劇団員に渡した未完成の脚本にこう書いていたそうです。「ここまでしか書けませんでした。ごめんね」。

わたしはこの話を聴いたとき、しばらく涙が止まりませんでした。彼の遺したものと、それを受け取ったひとのことを思いました。彼らが作った笑いに満ちた舞台のことも。HATEという曲を聴くと、わたしはいつも彼のことを思い出します。この曲には、戦争という社会的な側面をとらえつつも、なによりも去りゆく人たちが残されたいとしいひとたちに抱く普遍の思いがあって、その思いの切実な響きが、自分の人生を戦い抜いてあまりにも早く逝ってしまったその人を思い出させてやまないのだと思うのです。

太陽が照らすのは 次の夢見ている目

悲しい目 怒ってる目 生きてる目