吉井和哉GENIUS INDIAN TOUR 日本武道館10/25レポート

1997年の10月は どこにいた?

今回唯一の2days仕様となった武道館二日目。なんというか、やっぱり帳尻合わせてくる男だなっていうか、武道館での吉井和哉、その凄さを堪能しつくしたライブでした。圧倒。

この日のライブ、私は二階スタンドの最前列で見る予定だったのですが、来れなくなってしまった友人のチケットを譲って頂くことになり、それが2列目という、武道館で2列目、これはなんかもう・・・私もうすぐ死ぬんじゃないだろうか?という席で見させていただきました。

24日のときに「あーなんか吉井今日はけっこうもがいてる感じだなあ、でもそれもまた新鮮でおもしろい」と思ったんですけど、やっぱり何よりもそれは本人がいちばん感じていただろうし、自分の中で登りつめたい場所、そこにたどりつくために何が必要なのかってことを、ちゃんと1回1回のライブで吸収していて、それがこの25日のライブで結実したという印象を受けました。

Biriで振り落としになった瞬間、わーー!今日は黒だ!と大喜び。サングラス、そして手袋、インナーも黒でその上にヒーセのライブに飛び入りしたときのブルゾンを着ていました。この手袋をしたまま客を煽るその仕草、もうこの時から気合いが違った。しかしそれにしても近い!!ちかすぎる、どうしよう、いやどうしようじゃない、瞬きする間も惜しい!

昨日もすごい汗だったんですけど、今日はブルゾンだったので一層汗が吹き出ていたようで、WEEKENDERのあとスタッフを呼んで白いシャツを持ってこさせて着替えていました。っていうかWEEKENDERのとき間奏で水分補給をしてしまうほどの汗だったからねえ。白いシャツに着替えても汗は止まらず、上海のとき振り向いたシャツの背中にすでに汗がしみていて、天使の羽のかたちになっていた。いつも髪の毛を直すとき、人差し指で前髪をちょっとよけるような仕草をする吉井さんですが、あまりの汗に1回片手でがっと前髪をあげていて、そのときの滴り落ちる汗とその姿の美しさ、もう人外魔境。

そういえば最初のMCの時に「今日は古いファンが多いな」って言ってたんだけど・・・なんで?(笑)

北東と北西のお客さんをやはりすごく意識していて、左右に出てくる回数が多い。ハイキックや足をあげてくるっとターンしたり、あとお得意のクネクネした動き、どれもこれも本当にキレがあってよかった。そしてあの目!今日はメイクをしていたんだけど、汗でどんどん崩れていて、でも吉井さんはほんとうにちょっと崩れた感じのときが最高にエロいんですよいやもうマジで!

ワセドンの入りはカウントをつけていましたね。昨日のはやっぱりわざとじゃなかったのか・・・疑ってすまん。歌う声をだんだん落としていくところがあって、なんだか森の中で近づいたり遠ざかったりする鳥のようだったなあ。ワセドンのアウトロをアコギで弾きながら、音を締めずに最後の単音を引き続けて、そのままシュレッダーに繋げたアレンジがすっごく良かった。

シュレッダー、個人的に今回のツアーで力を入れてみてしまう曲のひとつなんですけど、逆光のライトの中の吉井をずっと見ながら、とつぜん、10年、って単語が頭に浮かんだ。10年、わたしの10年、このひとに焦がれ続けた10年だったなあ。たくさんの希望と絶望と興奮をありがとう、いつか吉井和哉が言った言葉が蘇る。神様に会ったらこんな風に言うんだ、どんな目にあっても生きていたいです、と言いながら吉井は昨日と同じように自分の身を抱きしめて、そして両手を広げた。ただ深く愛しただけ、だからかすぐに消えた。強くなる逆光のライトと自分の涙で、最後の表情は見られなかった。

Painは毎回どうしてもヘドバンしてしまうので歌詞がグダっていても実は気がつかないことが多いんですけど、今日のPainであー麝香鹿最初から岩の上じゃん~と思っていたらそのあとのところでずーっと足を絡めて、足を絡めてつってて、いや絡むのはとぐろ!足は挟むの!みたいな。結局最後まで足絡みっぱなし(笑)でもPain!のコールを煽るのに東京―――!とか言われたりするのが大好きなんで歌詞グダってもいいから次のツアーでもやってくだぱい。これ絶対ライブハウスの方が楽しいと思うし!

MCで、昨日の長唄をやっていたひいおじいちゃんの話の続きを。御丁寧に昨日の復習!という感じで昨日のMCもダイジェストでお届け(笑)もちろんこぶしBURNも再現(笑)で、今日お母さんからきたメールでわかった新事実、その長唄をやっていたひいおじいちゃんの命日がなんと10月8日!!だから僕は生まれ変わりです、そのひいおじいちゃんは当時にしてはすごく背が高くてイケイケだったらしい!すごいヤリチンだったらしい!ってどんだけ嬉しそうな顔して喋ってるんすか社長!(笑)

Don’t look back in angerが始まる前に、歌詞の中に1997年の10月はロンドンにいた、って歌詞があるんだけど、みんなも10年前はなにをしていたのか思い出して聴いて下さい、と言った。

1997年の10月はどこにいた?

わたしはあなたにもう、夢中でしたよ。

夜をぶっ飛ばせ、寿司を食うなら武道館とかわけのわからないことに(笑)そしてこれは24日もそうだったんだけど、ミックジャガーはすげえな、を吉井和哉はすげえな、と歌った。そこでおおおおお!と沸き上がる歓声を聞いてニヤリ。くーーっ、このどうだ!みたいな顔、たまんねえなあ!

そのまま間髪入れず(ここ名古屋ではちょっと間があって勿体ないなと思っていた)吉井のフェイクが入ってマンチー。しかし、これは今後もライブ定番になりそうなキラーチューンになりましたよね。なんならマンチーでメンバー紹介でもいいぐらいな勢い。今日も、「この会場の中にいる人でこの曲を知らない人がいるかもしれない!」「俺がほらほらマンチーが」って言ったら「ハジマッタ!」って言って下さい、これ縁起物だから!始まりたいでしょ!新しい人生始まりたいでしょ!」いやでもこの曲の楽しさは異常。バッカや雨雲で聴かせるのが吉井の新境地だとしたら、これはもう自家薬籠中のものというか、これでここまで沸点あげられるってほんとすごい。

そしてさらに沸点を上げる曲、あのリフ、Love Communication!!いやーもうこの時の吉井のエロさ!これ絶対放送コード引っかかる、それぐらいエロ満開、もうお前なんか和哉じゃない、エロ哉だ!あの君はシネマのヒロインみたいに傷跡残してさようなら、のところで黒のインナーをはだけさせながら爪で傷つけて、あの男胸出しながら舌をレロレロ動かしていたんですよ、それであのメイクが崩れてちょっとやさぐれ風になって、しかもそれで流し目!さようならでオナラ!ほんつありがとうございます、エロ哉頂きました!ぐらいな。いやーよく両足で立ってられたな俺!でもって昨日もやっていたけど、あのステージの縁から頭を落として逆さに見ながら狂った目、チャー!シュー!メーン!もう意味がわからない。寿司を食うならおまわりさん、それはさっきの歌詞じゃない?じゃなくてとにかくおまわりさん、はやくこの生き物を保護!保護して!やばいから!やばすぎるから!

東京二日目はSWEET CANDY RAINが消えてBLACK COCK’S HORSEが復活。間奏で馬のいななきのようなポーズとっていたなあ。仙台ぶりに聴きましたけど、これも最初のツアーで聴いた頃とずいぶん感触変わって聞こえてくるようになったなあと思う。

WINNERの前にMC。すごく真剣な空気で会場も聞き入っていましたね。ところでこの時のATTITUDEの使い方って合ってたのか・・・?(笑)最近思うのは、本当に敵は自分の中にしかないんだなということ、今までロックの対象としてきたものはいろいろあって、恋人との愛だったり、怒りだったり、それが人によっては政治だったり、物わかりの悪いレコード会社だったり、受け入れてもらおうと必死になっているのになにをやっても受け入れてくれないファンだったりしたわけだけど、今はもう敵は自分の中にしかいないのだという風に思うようになった、と。

WINNER、ほんとうに聴くたびに好きになるんだけど、今日聴きながら「笑顔が綺麗な君の裏側こそが美しい」、それは吉井和哉というひとそのものだなあって、この言葉は吉井さんから贈られるより、吉井さんに贈りたい言葉だなという思いが沸き上がってきました。最後にバンドの方を振り返ったとき、まるで汗がシャワーのように広がって、それもまたこの言葉に相応しい、本当に美しい光景だったと思います。

Shineでは本当に笑顔満開で、城戸くんのところに行っておどけたり、バーニーのところではしゃいだり、すごく楽しそうだった。いい笑顔いっぱいでした。なんか、最後立ち去りたくない風情ですらあった(笑)この後のジュリアンのギター、文句なくこの日がベストでしたでしょう。名古屋も良かったけど、ぜんぜん違うといってもいいぐらいの超絶プレイっぷり。ジュリアンもすごくテンションがあがっていて、舞台の中央まで思わず出てしまう入り込みようでした。

アンコールは今日も白で。チョーカーはしてなかったですね。今日の一言挨拶は「結婚します♪」この時のMCで、今日会場入りするときにタクシーで来た、というお話を。

推定53歳のタクシー運転手さん(細かい、という声が聞こえたのか)細かい?でもねー55はいってない感じなんだよ。でも50って感じでもないの。その運転手さん、ほとんど半分白髪みたいな坊主で(ゴマ塩頭ってことか?)、でもねピアスしてるんですよ!ほんとに!それでお洒落なひとだなあって思って、結構話がはずんだんです。それでね俺、武道館まで、って言ったから、「今日は誰かのコンサートなんですか?」って聞かれて。ええまあ、って答えたんだけど・・・えまじゃないよ!(知ってるよ!)それで「吉井和哉の」って言ったら「ああ・・・」って、明らかに知らない感じなんだよね(笑)それで運転手さんも武道館にコンサート観に来たことあるんですか?って聞いたら、やっぱり若い頃すごくロックが好きで、武道館にもいっぱい洋楽のコンサート聴きに来たんだって。それで俺うれしくて、今日はぼくのコンサートなんです!ってここまで出かかったんだけど、それで言うのも野暮かなあって思って・・・でもすごくいい時間で、気持ちよく会場入りすることが出来ました。
そうそう、武道館までタクシーでくると大抵聞かれますよね、今日は誰かのコンサートなんですか?って。そこで俺のコンサートです、って言わない吉井ちゃんすごくスキー

今日のバッカ、気合い入っていたなあ。大事に伝えようとしている感じ。音ひとつひとつを届けよう、としている集中力を感じました。MCでまた「売れないと思うけど」と言ってて、それでアルバム買った人は買わなくていいです!とまで言ってたけど、そんなねえ、買うに決まっているじゃないですか(笑)あーでも、PV撮ったらまたアメリカいってカップリング録ってくるそうです。大赤字だ!って(笑)でも、お金は必要な分だけあればいいんだよって、そうなの!それは私もそう思うしある種自分のポリシーです(笑)お金は好きなことするためにつかうものだよ、どーんといったれ社長!(無責任)

バンドの演奏も、昨日よりぐっと密になった感じがありましたね。個人的に城戸紘志さんのドラム、好きだったりします。得意な曲とそうでない曲やっぱりあるだろうし、ちょっと音がばらけるかなあと思うところ(サンシャインとか)もあったんですけど、でも基本違和感なく聴ける感じ。それにあの小ささで力強い音を出してくれるところが、小さい私にはぐっと来てしまいます(笑)

雨雲のイントロで、あとで映像に映し出される大鷲のように両手を広げて滑空していた吉井、今日はアンコール2曲ともすごくクオリティの高いパフォーマンスだったと思う。激しく飛び跳ねたり、声を出したり、そういうことではない部分でちゃんと満たされるというか、満足度を与えてくれていたなあと思う。最後、バンドみんなの顔をひとりひとり見ながらずっと手拍子を続けていた。ステージがすごくいい笑顔で溢れていました。

さて、わたしのGENIUS INDIANツアーは以上で終了です。仙台、名古屋、武道館二日、間に温野菜。1ヶ月間ものすごいテンションで過ぎていったなあと改めて。このツアーが生まれたところから、かたちを整えてきたところ、完成形と順を追って見られたのもラッキーだったなあと思います。

ライブに行く、その時間を共有するって、やっぱりすごく贅沢なことで、こんな風に毎日を過ごしていると、その贅沢さにすこし鈍感になってしまったりします。でもいつだって、ライブは一期一会だし、それは忘れたくないなと思う。ひとつひとつのライブをどんな風に受け取るか、どう楽しむか、それが自分の心の中のことならば、それはその人だけの自由。どう楽しまないか、でさえも、それは自由だと思う。

私は今回のツアー、とてもとても楽しかったです。

1997年の10月は、今年はメカラウロコ8をやるのか、やらないのか、皆で気を揉んでいた。紫の炎のツアーが終わって、次に出るビデオを楽しみに楽しみに待っていた。昔の映像をたくさん見て、知らなかったことをたくさん知って、そうしてどんどん好きになっていっていた。「悪い予感の欠片」も、そのときの私にはなかった。毎日毎日、CDを聴いて、ビデオを見て、THE YELLOW MONKEYというバンドのことを毎日毎日考えていた。いつか絶対に武道館で、このひとたちのライブを見るんだ、そう心に決めていた。

あの時憧れた武道館で、こんなにも近い席で、吉井和哉は目の前だった。10年、焦がれ続けた10年、近いなあ。そして、やっぱり遠い。ステージの向こうには別の世界、別の宇宙があった。こんなに遠い人を好きになったんだな。でも、遠い人でよかった。いつまでも届かない、彼は永遠の星のロックスターだった。いつまで好きでいさせてもらえるのかな。できることなら、いつまでも。ただ、それだけを祈っています。GENIUS INDIANへ、愛をこめて。