吉井和哉TOUR2009 宇宙一周旅行 代々木第一体育館レポート

心の底から、掛け値なしに楽しかった。本当にたのしかった!!!宇宙一周旅行は代々木で最終日ということなので、もう畳まなくてもいいのかな。二日ぶんまとめて書きますので、話があっち行ったりこっち行ったりすると思います。

しかしまあ、あの登場時の衣装、あれをだれが想像しただろうか。いや誰ひとりとして!もう、ああいうことはやんないんだと思ってました勝手に。アリーナの後ろのほうで、客電が落ちてスクリーンに映る宇宙の星々のひかりが頭上を走っていて、ああきれいだなあ、アリーナっぽいなあ、なんて思いながらノーパンがはじまって、私がVOLTのなかで何度聴いても興奮しないではいられない、というあの吉井のギターが妖しく鳴って、ステージの後ろから照らし出される強い光に吉井のシルエットが浮かび上がって、うおおお、なんてアリーナが似合うんだこのひと!と思っていた。そしたら、隣で見ていた友人が興奮気味に手に持っていたオペラグラスを渡しながら、か、かっこいい!ふ、ふりそで!と興奮気味に伝えてきた。え?振り袖?どれどれとのぞき込むとそこには振り袖を羽織った白いサングラスの吉井和哉

なんという人外魔境エロス!

私も興奮してオペラグラスを返しながらふ、振り袖だよ!と言い、友人がもう一度のぞき込みながら振り袖だよね?振り袖でしょ?振り袖れば振り袖るとき振り袖れ。そんな五段活用しかねない勢いで振り袖振り袖言いっぱでした。どこの女衒だアンタ、みたいな。いきなりテンションMAXですよもう。

代々木はステージの上部にスクリーンがあって、このスクリーンがONになるのがフロリダ。いやあああああ、かっこよすぎるうううううう。本当に何から何まで正解なんですけどどうしたら。だってHOLD ME TIGHTのときに振り袖を脱ぎ捨てたんだけどその下もジャケットだからね。ああ、なんかわかんないブルゾンとか着てきちゃう吉井ちゃんはもうここにはいないのね!

その衣装が象徴するように、この代々木での吉井はなにもかもを引き受けまくっていた。グラマラスなロックスターであり、苦悩を乗り越えたソロシンガーであり、頼れる兄貴であり、女心をとらえて離さないセクシーアイコンであり。引き受けて、受け止めて、跳ね返して、何よりも圧倒的に「吉井和哉」としてステージに立ち続けていた。いつかインタビューで、ホールのライブも好き、でも、アリーナで出来ないアーティストにはなりたくないと語ったことがあったが、この日の吉井和哉はまちがいなくアリーナでこそ輝くアーティストだった。

カレーと同じで「2日目の方が美味しい」が定説となっている吉井さんですが(勝手に言うな)、でも代々木は2日間とも甲乙つけがたい良さだったんじゃないでしょうか。名古屋で見たときに、ちょっとずつアジャストしていってるんだろうなーと思ったバンドの中でのタイミングも、これはさんじとおまつの時にも実感したけど、この代々木は何もかもがズバッ、ズバッと決まっていたような気がしました。ピカチュウからの20GOへの入り、さらにそのあとのジェニーのイントロ、ここしかない!というタイミングでバーニーさんのギターや佳史さんのスネアが鳴って、気持ちよかったなあ。

しかし、これ吉井のMCによればDVD化が予定されているみたいなんだけど(「カメラがたくさんありますね」「いい旅行になったらDVDにしようかな」)、そのDVDに20GOを入れていいんですか。放送コードとか大丈夫なんですか。もうエロいを通り越してるよアレ。ピカチュウのおなかにつけられたディレイがかかるつまみを、間奏のとき、口で!銜えて!ピカチュウの鳴き声を遅くしたり早くしたり、ってこれ普通に書いてても赤面ものなんですけど!私がピカチュウのお父さんだったら

「うちの娘になにするだー!」

と言って襖を蹴破るところですよ(ムスメ?)(ふすま?)

スクリーンは基本的にONだったんだけど、ノーパン、ウォーキングマン、SNOW、シュレッダー、恋の花あたりがOFF。個人的にはこのONOFFもGJだったんだよなあ。特にSNOWとシュレッダーは照明チームの灯り作りがホントに神なので、ここはスクリーンなしで堪能したかったので嬉しかった。

最初のMCのときに、広い会場なので音が遅れることを意識したのか、ゆっくりとしたしゃべりになっていて、それがなんつーか、昔のアリーナライブの生中継を彷彿とさせたり。って、アリーナの後ろのほうで見ているというその距離感も、その距離感をものともしない興奮も、なんだかちょっと、昔にタイムスリップしたみたいって、決しておセンチな意味じゃなくて懐かしかったです。2日目はスタンドだったので、ジェニーでアリーナのみんなが拳を振り上げている光景とかもぐっとくるものがあったなあ。そういえば1日目のとき、例のTMPのおまじないを言うときに、Tは金運があがる、っていつものように言った後なぜかMを飛ばしてしまっていました(笑)「あ、M!」て。しかしジェニーは盛り上がるな!これは絶対アリーナの方がテンションあがる気がする。そしてみんなの声をうけて歌う吉井が格好良すぎる!

そうそう、タイムスリップといえばROCK STAR!その前のMUDDYで1日目はバーニーに、2日目は佳史さんとバーニーに、それぞれヅラをかぶせて遊んでたんだけど(そういえばMUDDYのブレイクの時、1日目はカメラが吉井の動きをガン見するジュリアンを執拗にとらえていて爆笑でした)、一瞬の暗転の時に上手にダッシュする吉井、かぶせられたヅラをはね飛ばす佳史さん、でもってあのイントロ!代々木全体があげた唸り声がすごかった!!!

しかし、最初にツアー日程が発表されたときにはげえええ、代々木かよ!体育館じゃん!ってかなりブルーだったんですよね。去年J-WAVEでみたときに、ほんっと体育館、つーかプール、ライブやるとこなのここ?みたいな印象だったんで、正直2days行くか行かないか迷いましたよ。でも吉井もそれはMCで言ってましたね。1日目だったかな?この会場の中に足を踏み入れたこと自体初めてだったそうで、その感想は「プールだね」。思わず「でしょおお?」と合いの手を入れてしまいましたわたし。特にね、ステージから原宿出口側を見ると一層プール感がするんですよ。ちなみにここがオリンピックプールだったということを知らなかった世代からの「へえええ」みたいな声に吉井は「へえって言うとこなのそこ?」と驚きを隠せないご様子でした(笑)でもそんなプールを、プールなのに、プールじゃなくしてくれた最大の功労者のうちのひとりは間違いなく宗さんだ!宗さん、これ名古屋でも書いたけどもう1回言う、頼むから吉井の嫁になってくれ!!もう宗さん以外のPAじゃ聞きたくないーーー(駄々っ子)。

ツアー通じて一番長いMCはSNOWの前のMCだと思うんですけど、1日目は偉大なアーティストが亡くなった、という言い方をしていて、清志郎さんとマイケル・ジャクソンへの哀悼の意を表していたんですが、2日目は「個人的に大好きだったスポーツ選手が亡くなった」と言っていました。誰のことだろう。私はとっさに三沢さんのことを思ったんですけど、でも吉井がプロレス好きだったかどうか自信がなく、ただ三沢さんのことを思い出したのは、昔一緒にライブを見に行っていた友人が三沢さんの熱狂的なファンだったから、というきわめて個人的な理由なので、本当のところはわかりません。

俺もいつそうなってもおかしくないからね、と吉井は言って、ええええ、いやーー、という少し非難めいた客席の声を、茶化すかと思ったのに、至極まじめな顔をしたまま、「いやって言われても、それは君たちが決めることじゃないからね。神様が決めること」。でも今は生きているからね、と吉井は続けた。今は生きているから、明日どうなるかわからないけど、今は生きているから、一本一本のライブを大切にしていきたいと思います。

生まれ変わってもこの声を探してください。

代々木の1日目でも2日目でも、SNOWを聞きながら、わたしはちょっと泣いてしまったのだけど、吉井は「生まれ変わってもこの声を探してください。」と言って、その言葉の後に、SNOWの「今度はもっと急いで君を捜すからね」という歌詞がなんだか胸に沁みてしまったというのもあるのかなと思う。

今度はもっと急いで・・・。そういいながら、なんだかこの歌詞は、見つかることを信じてはいないような気がする。願っているけど、信じていない。それは私もそうなのだ。生まれ変わりなんてものが、あるのかないのか、もしあるとして、「今度はもっと急いで君を捜す」ことなんか出来るのかな。これからもずっと吉井さんの音楽とともに生きるとか、ずっとそばにあるとか、それなしの人生が考えられないとか、この出会いは運命だとか、そういうことの一切において、私は私を信用していない。だいたい、今出会ってこうしていること自体が、私にしちゃ上出来というか、よくやったというか、なんかのアクシデント、降ってわいた僥倖のようなものだと思うのに、もう1回そんなこと、きっとできない。

でも、今こうして「今度はもっと急いで君を」さがしたい、と思う気持ちだけは本当だ。信じることはできないけど、願う気持ちだけは本当だ。約束できることなんて、ほんとうにすくない。その切なさが、この曲を聴きながらなによりも、胸に沁みた。

代々木では二日間とも恋の花とルビーの間にTALIをやってくれた。いやースクリーンで見るとあてぶり大好き吉井ちゃん炸裂で、歌を聴いてるんだか当てぶりに笑ってるんだかよくわかんないことに(笑)特に「つらかった楽しかった」のひとり百面相ぶりはおかしいやらかわいいやらで最高でした。どこのお茶目さんだよ。ルビーの最後のファルセット、髪の毛が乱れたままの吉井が赤と緑の照明に照らし出されて、この世のものとは思えない美しさでなんかもうたまんなかったな。あいつほんと・・・ギター持った方がいい(うんそれもうわかったから)。やーだってギター持ってなかったらすぐ髪の毛いじっちゃうでしょ?ギター持ってるからそれができない→汗で髪の毛はりついたまま→エロス爆発!みたいなことになるわけでね。ほんと一粒で二度美味しい。

オープニングで着ていた着物のことを言ったのは恋の花の前だったかな?お祖母ちゃんの命日だったってこともあってお祖母ちゃんのものなの?と思った方が多かったと思うんですが、「持ち主のことは知らない」そうです。アンティークショップで買った、すごくタンスの匂いがする!(笑)うちのお祖母ちゃんと同じぐらいの世代なのかな、どんな経緯でこの着物が売られたのかな、そんなことを考える、と言っていました。2日目はその話はしなかったんですけど、この恋の花は自分の恋への想いと言うよりも、自分に繋がってきたひとへの想い、血への想いをうたっている、と言っていたと思います。

本編ラストのトブヨウニ→ビルマニアの流れもよかった。ビルマニア・・・!もう盛り上がりすぎる。名古屋で聞いたときいっぱつで佳史さんのアレンジが気に入ったんだけど、ビルマニアだけじゃなく代々木ではほかでもかなり手数増やしてらっしゃったような印象でした。しかしあの「愛する世界に」のフィルはやべえ。そして1日目の代々木で、そこをがっつり抜いてくれたカメラマンGJ。

アンコール、両日とも初っぱなPHOENIXで、これがまたどうかっつーほど格好良かった。って俺、何回格好良かったつったら気が済むんじゃ!なんというボキャ貧!でも許す!(自己完結!)もともとこの曲のブレイクがすんげえええ好きなんだけど、ベースの音を残して止まるとことか、吉井の動きとか、動きとか、見開いた眼とか!ひーーー!続いてI WANT YOU I NEED YOUがきたのが1日目、2日目はここでFOR ME NOW。「マイケルジャクソンは本当の意味でひとを救った/こんなことを言うおれはスーパーロビンちゃんなんだ」でしたね。ロビンちゃんなんだ、つったときの歓声とその歓声に応える吉井の表情ったらもう。WEEKENDERでまたもや観客を沸騰させて、間髪入れずにShineのイントロ。ほんと、「もうすぐ地球に到着します」って感じだ。2日目の時、このイントロで「きれいな地球、きれいなカリフォルニアの海、きれいな明治神宮」そして「きたない人間」と夢見るような表情のままで言っていた。

ラストの前にメンバー紹介。2日目、なぜか吉井がここで急にオネエな感じになっており、どっかの店のマダム、的な口調で妙にドキドキした。「また遊びにきてくださる?」かなんか言ってなかった?違ったっけ、いやもう記憶が薄れているけど、ほんと無駄に心拍数あがったわ・・・。またチャンダラ、みんな楽しそうで幸せそうだったなあ。二日間とも間奏のところで吉井がリコーダーを持ち出しまったく合ってない音程でピーヒャラやってておかしかった。1日目は最後、バンドメンバーが一礼するとき慌ててリコーダーをまた取りに行って、リコーダーをもったまま一礼。小学生か!(笑)

2日目もそうすんのかなーとニヤニヤしながら見ていたら、モニターの吉井はすっきりした顔のまま、リコーダーを取りに行かず、昨日のような仰々しい一礼もせず。そしてなにより、ドラムの佳史さんが動かない。動かない。動かない。頼む、頼む、とこのときはもう祈ってましたね心の中で。吉井がちょっと帰るそぶり、みたいな感じで袖に近づくと、ファンの必死の「吉井さーーーん!」の声。袖に近づいた吉井はローディーからギターを受け取って言った。「もう1曲やります。」

VOLTはブルースだって言いながらブルースがあんまり入ってないでしょ、とか、ブルースではね、よくジャムセッションとか言って・・・と言っていた、言っていたが、聞いちゃいなかった。私はとにかくドラムを見ていた。あの曲であってくれ、と思いながらドラムを見ていた。そして、あのハイハットが鳴ったのだった。

間奏の、あのエマのソロ、弾いてたの吉井だろ。へたくそだったなあ!めちゃくちゃだった。もっとベースが主張してもいい、とも思った。ギター3人もいるのに、なんでみんなバッキングなんだ、とも思った。でもそれ以上に、そんなことはまったくどうでもいいぐらいに、JAMがまた聴けたことがうれしかった。ひとりで奏でるJAMではなくて、バンドの音で鳴らしてくれたことが嬉しかった。ひさびさにこの曲に「持ってかれて」しまった。私にとってこの曲は特別だ。本当の意味での特別だ。それを縷々語ることはもうしない。でも、この曲は、その歌詞、楽曲、吉井のパフォーマンス、それだけで名曲として成り立っているのではないのだと改めて思った。あのハイハットの音から、細く鳴る鍵盤の音、ドラム、ギター、ベース、あのアレンジも含めての名曲なのだ。そう思う。いつかトライセラのメンバーとやった、あの原曲のアレンジ、Are you dreamer?のリフレインのないアレンジだったのも嬉しかった。そして、どんな状態でうたっても、最後には必ず急激に温度を上げていくあの吉井の声が、アリーナに響き渡ったことが嬉しかった。

それにしても、本当に、よくぞここまで、というのか、こんな圧倒的なパフォーマンスをまた見られるようになるなんて、なんだか夢みたいだ。まさに無敵のロックスターだな。どこから見ても、全方位で格好良かったよ、ほんと、乏しい語彙で申し訳ないけど。でも言葉なんか本当はいらないんだよな。迷わず行けよ、行けばわかるさ。というわけで、しばしのお休みののち、あの嵐のライブから10回目を数えるROCK IN JAPAN FES.そして追加ZEPP公演にもがっつり食いついてロックスター吉井和哉の勇姿を見届けてきたいと思う。ひとまずはツアーお疲れさま、無事の帰還を心より喜びたい。では、ひたちなかで!