HEEFEST2010 レポート

THE YELLOW MONKEYが20年前にかけた魔法は、」

志磨遼平は言った。

過去2回の経験から相当な長丁場になるだろう、という覚悟はできていて、そしてもちろんTHE YELLOW MONKEYセッションがトリにくるだろうということも予想していた。出演順はTYO、LIV MOON、そしてダイヤモンド☆ユカイさん。今年はバンド数が少なかったこともあって例年よりも1バンドの曲数は多かったと思う。

ラストのTHE YELLOW MONKEYセッションを待っている間、一緒に見ていた友人とセットリストの予想をしてみようとしたけれど、結局の所「何が来てもうれしい」という話にしかならなかった。有賀さんが意外な選曲と言っていたし、レア祭りなのかな?いやでも、違う意味で意外だったらどうする?SPARKラブショーBURNとか。シングルヒストリーかYO!とつっこみつつ、それでも結局の所は嬉しいだろう、ということにしまいにはなるのだった。

他の3バンドと同じように、ヒーセがバースデーケーキの帽子をかぶって登場し、「大変長らくお待たせいたしました」と言ってバンドのメンバーを呼び込む。from THE BACK HORN松田晋二黒猫チェルシー澤竜次!三国義貴!そして毛皮のマリーズ志磨遼平!志磨くんは、客席が思わずどよめくほどインパクトのある赤のボーダーに赤のマフラーを巻いて、真っ青なジャケットを羽織っていた。港だ、港。マドロスさんだ。目の上には、真っ青なアイシャドウ。

おまえらいいか!と志磨くんが煽る。これからの数十分間、瞬き禁止だ!奇跡が起こるぜ!うおおおお、とオーディエンスが応える。そして彼はこう言った。「THE YELLOW MONKEYが20年前にかけた魔法は」と。

まだ解けてない!!!

その一瞬、思わず泣きそうになってしまったのだけれど、志磨くんはもちろんそんなことにはお構いなく、ヒーセに向かって、おやびんだぜ!とこれまた懐かしい呼び方でヒーセを呼んだ。おやびん、こいつらもうやっちゃっていいッスか?ノリのいいヒーセが乗っかって「ああ、思いっきりやっちまいな!」とどこの鉄火場だ、というような会話の後、あのイントロが鳴った。

インパクトのあるギターのフレーズ、ラブコミ!とわかった瞬間、いやもうわかる前から一斉にフロアが飛び跳ね出す。ギターの澤くん、急遽メンバーに入ったとは思えない息の合いよう、そしてきれいなフレーズだった。何より、ベースの音がヒーセなので物凄く「知ってる音」の感じが強いし、そこに三国さんのキーボードまで乗っかっているのでなじみのある感がハンパない。そしてボーカルの志磨くん、とにかく、過去のTHE YELLOW MONKEYのライブ映像で吉井がいつ、なにをどんな風にやっていたか、それがもう血肉となってしみこんでいる、というのがよくわかるパフォーマンスだった。例えば「罪と罰に怯えながらどこまでも行こうよ」というのが元の歌詞だが、吉井はライブでこれをしばしば「行こうぜ」と歌う。志磨くんは「行こうぜ」と歌った。まるで我が身はむせび泣く、で一拍置いてから「ギター!」もう完璧!

もちろん、私はTHE YELLOW MONKEYが好きなのだし、そのボーカルだった吉井和哉のことが好きなわけだから、普通に考えれば吉井の真似をされたりするのを好ましく思うわけないのだけれど、この志磨くんのパフォーマンスはあまりにもすごすぎて、先生!ここに、すごい人がいます!みたいな、もう興奮するなんてもんじゃない。

しかし、こんなものではないのだった。ラブコミが終わった後、ヒーセが、選曲すごく悩んだんだよね、という話を志磨くんにふって、このあともう1人出てくるし、今までとあんまりかぶらない方が、とか色々考えたりね。でまあ、こういう(ラブコミ)みたいな曲もやっておかないとお客さん納得しないだろう!と(うんうん頷く志磨くん)でもなああ、俺たちは、もっと違うのやりたいんだよ!うおお!とどよめくオーディエンス。くる、これは、レアがくる・・・!

志磨くんがマイクスタンドの前に立って首をかしげ「Let’s go.」イントロが鳴った瞬間の私ときたら、多分「さんじとおまつ」の時に吉田佳史さんが「人ってこんなに盛り上がることができるのか」と思ったという、多分それぐらいのテンションだったと思う。が、それは志磨くんのパフォーマンスで倍率ドン、さらに倍!みたいなことになってしまったのであり、とにかくこのA HENな飴玉での志磨遼平は神だった。大袈裟でなく。すべての動き、呼吸、タイミングが完璧なのだ。言っておくけど、吉井と志磨くんの声は全然似てない。顔だって似てない。しかもA HENだぞ!?よりによってあのA HEN、吉井和哉の独特の動きが堪能できる代名詞のような曲、どうやったって真似すればするほど「見ていてつらい」という結果になってもおかしくないのに、志磨くんは違うんだ。他のどこを外したとしても、ここは外しちゃいけない、というところが彼にはわかってる。この曲のどこが、この曲を演奏していたTHE YELLOW MONKEYというバンドのどこがカッコよかったのか、それが彼にはわかっているのだ。イルミネーションは輝きを増して、の手の動き、子供は針千本突き刺す、で左手の袖をまくって注射をする仕草、間奏のときのフェイクのタイミング、これはライブ帝国のバージョンですね、わかります。左右に動くときもスタンドを持って移動する、なぜならあの「変な踊り」をやるためにはハンドマイクじゃだめだから。そしてA HENといえば最後の裏ピースですよ。もうね、ここまできたらわかってた。決めてくれる。志磨くんはそういう子!そして期待通り、いや以上の、下から突き上げるような、どうだ!と言わんばかりの裏ピース。もう落ちたね。おれは落ちたよ。多分志磨くんもどや顔してたと思うよ。ほんとどんだけ出来る子なんだアンタ・・・!

しかしA HENはドラムもかなり特徴的(かつ、アニーのに慣れきっている)なのに、松田くんのドラムめちゃめちゃしっくりきたなあ。すごくクリアな、音が締まったドラム。ヒーセとの相性もすごくよくて、あのーなんでしたらこれリズム隊の音源だけ別でもう一回聴かせてもらえませんか的な。1回じゃ堪能しきれないよーー!

興奮しすぎてこの間にMCがあったのかどうか覚えてないんだけど、なんか途中でヒーセと志磨くんが、なんちゃって英会話みたいなのしてたのがすっげおかしかったんだよな~。なんかヒーセの問いかけに「オーイエース白い恋人!」とか「フフ~ン?」とか「オフコース」とかさもそれっぽく答えたりするそのノリのよさも断然大好きだし、そうだ私はこういう、時にくだらなさ満開!みたいなバンドが好きだったんだ、というようなことまで思い出す始末ですよ。

3曲目は「甘い経験」。あの三国さん、ザ・三国義貴!みたいなあのキーボードの音色!!これこそもう、何度聴いたんだまったく、と思っていたら志磨くんが「おまえら、身体が覚えてるだろう!」ぎゃー何どうして私たちの心がワカルノデスカー!これもほんと、パンチのツアーのライブバージョンそのまんま、吉井がライブで「ほらほら君たちはなんか、いいみたい!」と煽っていたところを、志磨くんは「おやびん、こいつらなんか、いいみたいっすよ!」とさっきの鉄火場キャラで煽っていて爆笑、ヒーセもすっごく嬉しそうだったなあ。身体が覚えてるだろ、と彼が言ったのはもちろんあの「俺と同じ踊りを踊れ」のことで、間奏の三国さんのピアノが鳴って、ああ来る!でもここ、ちょっと狭い!(笑)と思ったとき、あれっ今いつなんだ、みたいな、今もしかしてここ横アリで、10年前で、バカみたいに「同じ踊りを踊って」たときなんじゃないのかみたいな、そんな気にすらなった。でも、その一瞬後には完全に踊る阿呆と化してしまって、そんな感傷はどこかに吹き飛んでしまったのだけど。

あのね、これは負け惜しみでもなんでもなく、私はたぶん志磨くんと同じか、それ以上に、繰り返しTHE YELLOW MONKEYのライブ映像を見ていると思う。だけど、見ているからといって、同じように出来るかといったら、できない。志磨くんにはなれない。愛情は多分、みんなにあるだろう。私にもあるし、これを読んでいる人にもあるし、あの場に集まった人それぞれの中に、それぞれの形であるだろう。だけど、志磨くんは愛情だけを持っていたのじゃなかった。かれは「ああなりたい」と願いながら見ていたのだろうと思う。自分もロックスターになりたい、そう思いながら見ていて、そしてそれを叶えた。ほんとにすごいよ。もう、それしか言えないよ。

満足メーターがあるとしたら正直言います、もう私この時点で9割ぐらい満足してました。あのね、甘い経験とか多分私、ほとんどステージ見てないのよ、なぜなら踊りくるっていたから。でもそうだったんだよ、見えるとか見えないとかもうどうでもいいんだよ、これだよこれ!っていうね。そういう感覚を味わわせてくれた。

しかし、いくら満足メーターが9割いっていてもここから真打ちのご登場なのである。いやこれ吉井はどんな選曲でくるんだ、もう完全に予想がつきません、って最初からついてなかった件。志磨くんが投げキスを振りまきながら退場し、ギターが9mmの菅原くんに代わる。ヒーセ側にいたので、卓郎くんを間近で拝めなかったのは無念なれど、遠目にもすっきりとハニカミ美青年でいらして眼福でござった。ヒーセが、ではもう1人を呼びましょうか、と言いながら、あのねえ、リハして一回家に帰っちゃったヤツがいるんだよ!と(笑)もー紹介しない!(うんうんいいよそれでいいよ)(私の心の声)曲やる!わーー、なんて拍手してる場合じゃなかった。

まさかの

ROMANTIST TASTE・・・!!!!

あのイントロ、あのイントロ、あのイントロ!しかしここで言うことじゃないかもしれないがどうしてこうも違和感なかったんだ昨日の音は、今思い返してもあのドラムの音とか、ん?ってなるとこが全然なかった、松田くんマジ凄い!

舞台の下手袖から、吉井登場。いやもう、ハンパないオーラです。知ってたけど。知ってたけど。大事なことなので2回言いました。ピンクのTシャツに(keyのニューアイテム?)黒のジャケット。黒・・・まさか青年館のときのじゃあるまいな!コメントしなかったから違うと思うけど!サングラス、そして真っ赤な薔薇の花束!ぎゃー!これ誰ー!カッコイイ人がここにいますー!(吉井ですー!)

そしてROMANTISTといえば、あの台詞。「君と僕は過去と未来よりも強く強く結ばれて」強く強く、強く、と彼は3回言った。大事なことだから3回言ったんですね、わかります。でもあーた、これをさ、吉井がさ、ヒーセのさ、前にさ、跪いてさ、薔薇を捧げながら言うんだぜ・・・!泣いていいか、泣いていいよな、ああ?(突然の逆ギレ禁止)「未来永劫に、ハッピーバースデー!」あああもう俺生きてて良かった(号泣)

最初はねえ、吉井ちょっとテレがあんのかな、という感じはあった。ついさっき、それこそ全力坂!みたいな志磨くんのパフォーマンスを見た後だからってのもあるかもしれないけれど、照れつつ、落ち着きつつという感じ。でもそこはあれですよ、昔取った杵柄ですよ、ほんと吉井マジお前がこんなにヲタの心を汲んでくれる子だとはおばちゃん知らなかったよ、そう思わないではいられない。だってROMANTISTの動きがTRUE MINDのROMANTISTそのまんまってこれどういうことですか。私のTHE YELLOW MONKEY教科書であり、バイブルであり、あの青いシャツのROMANTISTを見ながら白飯3杯軽くいける、そんな私の目の前で、吉井が「ランダムにシューティング」で手首をくるっと回してみせ、GIMME YOUR NECKで首を掻ききる仕草をし、背中のネジを回して見せ、サビで両手を広げてみせ、終わらないために「君」のために、で観客を指さしてみせる。極めつきが「色眼鏡を踏みつぶして」でかけていたサングラスをちょっと下げて目を覗かせ、ニヤリ笑い。

昇天。

今、俺の中のどっかの部分が確実に昇天した。

探さないでください。(誰だお前)

2曲目の前にギターが再び澤くんに。リハの前日に(9mmの滝くんが)インフルになっちゃってねーと。それで急遽参加してくれたふたり。澤くんなんか19歳だよ!19歳って!とすっかりおじちゃんスタンスの吉井とヒーセである。滝くんが出れない!となったときに吉井のところにきたオファーが「吉井さんギター弾いてください」(爆)って、俺がギター弾いたら誰が歌うんだよっ!(し、志磨くん?)そうなったら君らブーイング・・・あれ、そうでもない?(笑)

しかし澤くん、ほんと1日で覚えてきたって言ってたけど、すごいよおそるべしだよ!しかもなんだ、もちろん全然違うタイプのギターなのに、いやな感じまったくしなかったんだよなあ。そうそう、吉井が割と何回もチェルシーチェルシーって言ってて、えっCHELSEA GIRL!?とか途中で思ったりもしたんだけど、もし最初から澤くんの参加決まってたらマジでCHELSEAやったんじゃないかしら、ってそんな妄想乙。

ホテル宇宙船の最初の「鍵」のとこ、吉井直前に水飲んでてちゃんと言えてなかった(爆)いやあもうただただ楽しかったし、だけど何よりも吉井がめちゃめちゃ楽しそうだった。ヒーセのとこに何回もきて、めっちゃニコニコで、「干しぶどう」のときにヒーセの乳首さわったりして、なにやってんだもう、ヒーセもどんだけニコニコなんだおー!もうおっさんら可愛すぎて大好きだー!さんじとおまつの時にも思ったけど、「ずっとこれが続けばいいな いいな」って歌詞がすごく沁みて、でもそんな風に一瞬センチメンタルな気持ちが過ぎってもさ、楽しさの大波がどっかんどっかんくるから感傷に浸ってるヒマない、みたいな感じだったなあ。

それでもう、ほんと記憶が飛びがちで申し訳ないけど、2曲終わって、次なにかな、と思ってて、吉井がさあ、マイク持ってて、ヒーセの方向きながら、ちょっといたずら仕掛けた子供のような、いくぞ、って感じの顔したんだよ。で、あれ、何って思って聞こえてきたのがあのスネア2発。あのスネアの音をまた聴くことができるとは、そしてその前で吉井がマイク持ってるなんて、一体だれが想像できたのかっていう。

あのイントロで、最初吉井はハンドマイクで、「誰にも渡さない」のあと、もう私は吉井!スタンド!スタンド!って祈ってて、そして本当にちゃんとスタンドにマイクをさして、SUCKといえばもうこれを見ないでは済ませられない、というスタンドプレイをちゃんと拝むことができました。なんかもう、こんなにいっぺんに宿願がかなってしまっていいんですか。オーディエンスの一糸乱れぬ手拍子のタイミングも壮観だった。壁に両手をついて、とか、君の彼はゲイでおまけにデブ、とかの仕草も、もうすべてが懐かしい。

そういえばこの人、メカラ20の特番で「印象深い曲」にSUCKのメンバー紹介って言った人なんだったよ、ってことをこの後の思い出したんですが、もしかしてこれやりたさにSUCKをチョイスしたのですか・・・!と言わんばかりのイキイキっぷりでした(笑)バックホーン松田くん、明日ライブなんだよね!と言って、あ明後日か!と言い直し。忙しい中引き受けてくれました!と。つかバックホーンは一昨日もライブだったんだよAXで・・・ほんとにタイトなスケジュールの中ありがとう。つかセッションで来てよもやSUCK(のメンバー紹介バージョン)を叩かされるとはっていうね。松田くんのドラムほんとよかった、ほんとにほんとにほんとによかった!フジファブとの対談の時に、勝ち誇ったように「THE YELLOW MONKEYの曲みんな好きだもん」と言っていただけのことはあるよ!

キーボード三国さん、もーほんとこの時の吉井の水を得た魚っぷりたるや。前に出て来て?というジェスチャー、三国さんが出て行こうとすると手で制す。出るのやめる。また呼ぶ。行こうとする。止める。って吉井ちゃんこれ今なんの時間なの!?っていう。このgdgdさも思い出のアルバムです。最終的に前に呼んでほらほら久しぶりに、つってタイタニックやったのこの時だっけ?なつい、もう懐かしすぎて爆笑したほんとに。吉井が「自称THE YELLOW MONKEYのキーボーディスト!」「俺はTHE YELLOW MONKEYのキーボーディストだぞおと言って、絡んだこともあるとかないとか!」(ないないと手を振る三国さん)「北海道で悪の限りを尽くした」っていうお馴染みの紹介が噛んで言えない吉井ちゃんなのであった(笑)そしてあの、「キーボード三国義貴!よしたかちゃああああん!!」そして散々いじったあげく、キーボードのソロを「短い」と切って捨てる吉井和哉、ほんと三国さんに対してはドSなのな!

ギター澤くん、ほんとあの度胸すごい。ギターソロもがんがん音歪まして聴かせてくれてたなあ。3日でコピーしてきたんだよね、という吉井に、一晩でおぼえてきました!という彼。19歳・・・ほんとちょっと茫然とする年齢差ですね(笑)吉井の紹介のあとのソロを弾いているときに、吉井がそそと近寄ってお馴染みのギターフェラをやってみたりしていたわけですが、思わず吉井ちゃんやめてあげて!彼はまだ花なら蕾、とかしょうもないことをツッコミそうになりましたすいませんほんとすいません。それで吉井が「浮気しちゃった」って言ったのか「フェラしちゃった」って言ったのか判別つかなかったんですけど浮気をフェラと聞き間違えるとは俺のエロ耳も大したものよのう(詠嘆調)

ヒーセの紹介のときにちょっと音がハウリングしていて、「ハウってる!」とヒーセにもツッこんでみたりしてました。お誕生日おめでとう、こんな素敵なもじゃもじゃをありがとう!って言ったのこの時だっけなあ。この言い方がすごく可愛くてきゅんとしました。もうねえ、とにかく全編、吉井の「ヒーセ好き好き」オーラがすごかったよマジで。メンバー紹介はあの「ロックンロールゴリラ」のバージョン。これもなつい!そんでねえ、あのこの日、ヒーセは4バンド出ずっぱりだったじゃないですか。でね、ヒーセのイベントなんだからさ、たとえばどんな曲でだってがんがんに出て来てもいいし、多分それが許される場だったと思うのね。だけど、ヒーセってほんとに自分がガンガン出て行って煽るときと、「曲に尽くす」ときの切り替えがすごいんだよ。このSUCKだってね、昔の自分のバンドで、しかもSUCKで、いやもうSUCKに限らずブインブイン鳴らしまくってもいいのに、でもちゃんと「SUCKの時の佇まい」で、それをはみ出ようとしたりすることが全然なかった。それはちょっとほんとにぐっときた。そのベースのソロを弾いている間、どうしてもハウってしまうのが気になるのか、スピーカーの上の花束が悪いのかな?と持ち上げてみたり置いてみたり、挙げ句の果てにヒーセの頭の上に置いてみたりする吉井の可愛さとかね。はー。なんか幸福な光景だったなあ。

吉井の紹介をするのはもちろんヒーセで、そしてもちろんあの頃のように「吉井和哉、ロビン!」とヒーセは言った。吉井はあのSUCKのリズム隊の音の中でとつぜん

「心は~ 今でも~」

と歌い出す始末。ぎえええ。でもリズムが合うわけない(笑)ちょびっとだけ歌った後、なんで最近はあの曲をやってくれないのか!(だってあれDUDESの曲じゃん)せっかく歌詞を書いたのに~、あ~作った甲斐がない、あああ作った甲斐がない。宇宙一の500円の歌なのに!って先生この人めんどくさいです!いやうそです。うん、わかるよ、ならず者アイムソーリーは本当に名曲!歌ってはもらえなかったけど吉井ちゃんがそういってくれて嬉しかった!なにげに世界一から宇宙一にグレードアップしてるし!

多分ほんとにねえ、時間さえあったらいつまででもやってたんじゃないかと思うぐらい、楽しそうでした吉井さんが。時間がないんだよねー、ないないなーい!とNAIの真似までする始末でしたが、多分ほんとに時間押してたと思うわ。でもヒーセはすかさず「だいじょぶだよ」つってあげるんだよなあ、ほんと優しいよ親びん、なんという優しさライセンスなのかと。

SUCKの歌に戻って、客を煽るときの吉井は、もう最初に出て来たときの、ちょっとテレがある?という吉井和哉じゃなかった。最後、LIFE!LIFE!YOUR LIFE!って煽っているときのあの顔。ほんとに・・・こんな日が来るなんてね。

SUCKで終わり・・・かな?とちょっと考えたんだけど、メンバーはけず、ここでギターがまた卓郎くんに。さっき紹介し損ねたから、と吉井が改めて紹介したんだけど、キューミリパラベラムバレット、をキューミリパラ・・・ットみたいな誤魔化し方をした吉井乙。ああしかしということはもう1曲やるのですね・・・と思っていたら吉井が背中を向けてアコギを手に。

アコギ。

思わずネックをガン見して友人と「アコギ!」「アコギ!」「6弦?12弦?」「いや6弦!」「いや6弦だからって何やっちゃいけないってわけでもないよね!」みたいな会話を繰り広げる私たち。6弦でハミングバードのアコギでした。しかしアコギを持ったというだけでもうとびきりの曲が来ることはわかりきっているのですよ。何が来てもいい、さあ来い!ぽろん、とつま弾いた瞬間にわかったな、アバンギャルドだと。アバンギャルドが来ちゃうなと!

やっぱりこれをやらないと、

年は越せないよね~!

しかしSUCKとアバンギャルドである。もう1回いいますよ、SUCKとアバンギャルドですよ。THE YELLOW MONKEYのライブ、というものを象徴する楽曲四天王のうち二つですよ私にとっては。(残りの二つは言うまでもなくASIANとWELCOME)そしてアバンギャルドというからにはおそそがついてこないわけないのであってね!まずお約束通り吉井が1回歌う。で、次、と卓郎くんを見たのだが、「いかんいかん」「こんな美青年にこんなの歌わせられない」「怒られる」「EMIクビになる」爆笑。うん、そうだねほんとそうだね。でも卓郎くんのもちょっと聴いてみたかっ・・・た・・・いやおそそじゃなくて!彼ほんとに滝くんのピンチヒッターに徹していて、ああ、なんという侠気!とそのストイックさにきゅんきゅんきたわけですが、しかしあれだけの歌い手!もったいなか!ともったいないお化けが出た私をどうか許してください。いやホントに卓郎くんマジでありがとう!しかも東京ブギウギ弾かすとか・・・!なんか9mmのファンのひとたちごめん・・・!(なぜ)

で、もちろん次誰に行くかっていったらそんなもの三国さんに決まっておる!これは覚悟してたのか(予告してたのか)、三国さんもためらいなく出て来て、途中まですごーくスムーズに歌ってたんだけど、吉井(と、多分客も)のあれ、歌えてる、みたいな空気を察知したのか「練習してきたんだよお!」(爆)でも、それを言ったがためにわからなくなり結局グダグダの三国さんなのであった。ああ、かわいい。そしてそんな三国さんに「10年間何してきたんでしょうか」吉井、どこまでもS!

最後はヒーセ。これまたヒーセも、なんかちょっとシャンソン?っぽいような小芝居入った歌い方してて爆笑だったんだけど、あれですね、ヒーセももうこういうことやるのにテレがない、一切(笑)歌い終わった後吉井が「うまくなったねぇ~~!」だって。もうかわいいおまえらほんとかわいすぎるよ!

そして最後吉井が引き取るわけなんだけど、本当にこういうとこの吉井のすごさっていうかなあ、メカラのDVDでもまったく同じだけど、アコギ弾きながら吉井が首で客のレスポンスを煽るあの仕草、でもって冷静に考えたらこれ東京ブギウギなんですよっていう、なのにあれだけのコール&レスポンスで一気に客の温度を沸点に持っていってしまう、そしてトドメが「サンキュー愛してます、アバンギャルドで行こうよ!」

なんかねえ、もうめちゃくちゃに踊ってて、吉井が上手にいって客の影で見えないときとかもあって、でもそれがべつにイヤじゃなくて、上を見上げたら黄色とオレンジの照明が光っててさ、うわあっって、あのTHE YELLOW MONKEYがいた頃みたいだって思ったりしたよ。

こんな事を言ったらなんか、怒られるかもしれないけど、またやったらいいじゃん、って普通に思ったなあ、アバンギャルド聴いてるとき。吉井が、幸福なバンドを象徴する曲って言っていた、まさにその幸福感があの場所にはあったとおもう。楽しかったでしょ、でもって今も楽しいでしょ、これをやるの。だったら、また、やればいいじゃん。悲愴な感じじゃなくて、悲願とかでもなくて、普通に、そんな風に思いました。それぐらい、あの2人は幸福そうな顔をしていたよ。

間奏のスキーとかもね、アバンギャルドと言えばこれをやらないとっていう。ああそうそう、アバンギャルドやる前に「ヒーセの親族の名前を入れる」って言ってて、あのBreach、とかの合いの手のところをホントに名前でコールしてた(笑)あと途中英語詞で歌ってたなあ、それもメカラ9のそのまんまだったね。吉井も、それを意識したりしたのかなあ。メカラのBOXの音をチェックして、あの映像見て、またアバンギャルドやりたいなって思ったのかなあ。それはもちろん吉井にしかわからないけれど、でもイヤだったことばっかじゃなかったって思ってくれていたのならうれしいな。あのときの武道館の楽しさを、ちょっとでも吉井が思って選んでくれてたんだったら、こんな嬉しいことはないなあとおもう。

いったんメンバーがはけても本当に夢見心地で、この時もう時間が22時近くだったと思う。最後どうするのかなーとか考えているようでなにも考えられなかったな。アンコールでヒーセが出て来て、本当にありがとう、最高に楽しいバースデーでした、と挨拶。セッションメンバーのTYOのメンバーと吉井が舞台に出て、そしてお約束のケーキ!ハッピーバースデーここで歌ったんだけど、あの吉井の笑顔たるや、でもってケーキのイチゴをあーんしてヒーセに食べさせてもらうとかどうなんすか(笑)また吉井の食べ方がエロいのエロくないのってエロいんだよ!ヒーセが「歳の数だけイチゴを食べよう」ってそれどこの節分ですか(笑)最後はHEESEY WITH DUDES のOLD CHILDを。吉井は歌詞をガン見、文字通り(笑)A4の紙をもってきて、わざとらしく掲げて読んでましたよ。歌うと俄然かっこいいんだけど、歌ってない間の所在なさ感ハンパない(笑)ほんとは全員でセッションだったのに、ユカイさんとか年上だから誘えなかったんだよー!と吉井に暴露されてテヘ、ってなるヒーセかわゆす。

最後にヒーセがステージに残って、いい時間でしたありがとう、と、みんなの誕生日も幸福な時間が訪れますように!それでね、来年はね、わかんない、とヒーセは言った。わかんないけど、でもまたきっとどこかで会いましょう、って。

最初から3回やるってヒーセは決めていたのかな。毎年毎年、ひとりずつゲストに呼んでやろうって思っていたのかな。そう思ったらなんかそのヒーセの気持ちにぐっときてしまって、もう何回も思ったことだけど、私はいちばん好きなバンドに解散されてしまったけど、でも恵まれていたなあとおもった。こんなふうにあのバンドに束の間息を吹き込んでくれたこと、何度ありがとうを言っても足りないです。

松田くんや、澤くんや、卓郎くんも、出れなかったけど滝くんも、そして志磨くんも、図りがたいほどの愛情をもって曲に接してくれたこと、本当にうれしかったです。特に志磨くん、もう私はね、この先何があっても志磨くんのこときらいになれないよ。こんなにも「わかってくれてる!」と思ったことなかった、ホントに。

書きたいこと全部書いたかな。もうなんだかいろんな事がありすぎて、いろんな思いがよぎりすぎて、だんだん自分でもわからなくなってきました。でもこの日のEASTで私が一番に感じたこと、それを代弁してくれたのはまさにあの言葉だったと思います。本当にありがとう、ありがとう、ありがとう。

THE YELLOW MONKEYが20年前にかけた魔法は、

志磨遼平は言った。

まだ解けてない。

まだ、解けてない。