奥田民生ひとりカンタビレ@名古屋 レポート

6時半の開演ギリギリに到着。当然もう民生はステージにいて、PCの前で作業中。その眼前を横切って席に着くとかなんかシュールだったわ・・・超!至近距離だけど、見ちゃいけないような気がしてしまった(笑)

まだドリンクもらったりおつまみもらったりしているお客さんがたくさんいるなかおもむろにスタート。(ドリンクをもらうために)並んでいる人に「まあ、ゆるーくやってますんで。気にしないで並んでてください(笑)」

ひとりカンタビレもあと今日の名古屋と金沢を残すのみ。「いろいろやってきましたけど、意外とこのマイクに(客席の雑音が)入らないんで、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですよ」とのこと。

ということで収録スタート!

★ドラム

ドラムセットは、バスドラ、スネア、ハイハット、タム二つ、シンバルも二つか。録音をスタートさせてからドラムセットのあるところまで小走りでいくのがなんか原始的でおもしろかった。淡々と同じリズムを刻む感じの曲。最後を締めずに収録した時間を気にしつつ、突然やめる。フェイドアウトの曲なのかな~と予想。1回音を確認して「もう1回やります」。個人的には1回目より俄然こっちの音の方が好きだった。なにがどうってわけじゃないんだけど、へー違うもんだなと思いました。もちろんバカテク!とかいうドラムじゃないけど聴いてて気持ちのいい音だった。個人的にドラムの音入れを凄く楽しみにしていたのでここぞとばかりにガン見してしまった(笑)

★ベース

ほとんど一発OKじゃないかというぐらい、あっさりと録っておられました巨匠は(笑)ドラムと同じく、淡々としたフレーズの連続。しかし、場内のモニターでもアップで映るし、席も前の方だったこともあって民生の左手を凝視。サングラスが鼻眼鏡みたいになってめがねの上から画面見る顔がおじいちゃんみたいですよ!とかそんなしょうもないことも思いましたが(すいませんすいません)曲の「いいところ」になるときまってアヒル口になるのだなあ民生・・・とか、えっこれこんな感想でいいのか?(よくないだろ)

会場が暑かったのか自分の前にあった小さい扇風機を回そうとするとコンセントが入っていないという展開(笑)Jメンが素早く出て来て対処。袖からずっとご覧になってて、民生の一挙手一投足に集中しておられた感じ。かっこよかったん

★アコギ1

「今回の曲はね、ここからアコギを何本も使って音を重ねていきます」おおお。

全体にわたって同じフレーズを繰り返す。ギターが入るとやっぱり途端に曲の色が出てくる感じがしますね。なんかこう・・・延々と一本道を走っていくような・・・(貧困な語彙)。1回流して全体を聞き返すときとか、民生が机を手ドラムでパタパタ叩いてて、あーやっぱこういう仕草するんだなみんな、と思いました

★アコギ2

うしろに立てかけてあるたくさんのギターの中から「じゃあこれで」。「アコギなんだけど、これ、弦はエレキギターの弦を張ってるんです。こいつの良いところはね・・・やすっちい音がするところ(笑)ギター自体は高いんだけどね!」

さっきの1のアコギよりも音が太い。別にエレキっぽい音がする訳じゃなくて(当たり前か)アコギなんだけどガシガシ鳴ってる感じの音。これも全編にわたって入れる。このギターの時だったかな、本日初めてのパンチインで2カ所ほどお直し。この作業見たとき思ったけど、パンチインとかあっという間なのな!え?いつ繋いだの?つーか、なんでこんなあっさり繋がるの?みたいな。デジタルすげーなおい(そんな感想かよ)

ここで画面を見ながらちょっと解説。今まで録った音がそのトラックごとに目でわかるようになってる。ドラムは10本マイクを立ててるからトラックも10コ。タムの音とかは時々しか叩かないから空白が多い。そのあとにベース、ギター1ときてさっきのギターの直したところとかはこんな風にラインが入るので、見れば「あーここ直したんだな」とわかる。でもこれもくっつけちゃえるんだけどね。証拠隠滅できる。

★アコギ3

次はガットギター。今までの2本と比べて少々小ぶり。「カポを使います~」。ということで弾き始めたんだけど、途中でストップ。カポを使ったことで押さえるコードが変わったんだけど「ついさっきのと同じので押さえちゃった」「いやこれ難しいんだよ、パッとやるのは」「弾いてるやつわかるだろ?」(客席から)わかるよーの声に「だろ?」袖にいるスタッフの人に「もうちょっとゴムで押さえて」。実はこのカポ、なななんと割り箸とゴムなんです!「カポタストって、普通のギターだとネックにRがあーる(ホントにこう言いました・・・何この世代のダジャレ好きたるや)じゃない?でもガットはそんなでもない、っていうかむしろ真っ直ぐだから普通のカポタスト合わないんだよね。だからあれだよ、普通に割り箸でいいんだよ。鉛筆でもいいかもね。色も合ってるし(笑)」

これはピックを使わずに弾いてました。弾き終わって「爪が削れるねコレ」。

★アコギ4

サビの部分のみに入れるアコギ。このアコギ、多分ひと股でも見たことあると思うんだけど(市民球場のかなあ)、めちゃめちゃ音がいい!すごい使い込まれたギターだったけど、えーこれこの音もっと聞いてたいんですけどおおお!と思いました。サビの部分だけだったので使用時間が短くて残念。

★タンバリン1

ソファのところからごそごそと音を試しつつタンバリンを二つ用意。1つめは全体に入れてました。ほんっとすいません私タンバリン大好物なんです・・・すっげ幸せだったこの時・・・タンバリンを叩きながら(座っているので)民生の左足の膝がリズムに合わせてぴょんこぴょんこ上がるのがもうかわいくてかわいくてどーしようかと。

★タンバリン2

さっきのより固めの音がするタンバリン。それを鼓みたいな叩き方で叩くと「・・・相撲っぽい(爆笑)」サビの部分に一回入れてみたんだけど、音を確認するときに他をミュートにしてみると聞こえてくるのは完全なる相撲の寄せ太鼓です本当にありがとうございました(笑)タンバリンが悪いのかな~?と後ろに別のタンバリンを取りに行って、いろんな叩き方をやってみるうちに「あ!こう(手のひらで面を押すように)叩けばいいのか!」と発見。さっき「相撲」を連呼されたタンバリンをもう一度手にとって録音再開。

★ハンドクラップ

次どうするかな~・・・こういう曲はね、大抵手拍子が入ってるもんなんですよ。なので・・・と民生が言い終わらないうちから我こそは!と手拍子アピールをする観客。「ちょっと!まさか、やるつもりなの?(笑)」「8のリズムで叩くんだけど、あのね、言っておくけど無理だから(笑)君らにやってもらったら1日やっても終わらない(笑)」と言いながらあまりの観客の熱いアピールをむげにするのもと思ったのか、じゃあいくつか単音でもらって増幅させようか、と提案。男子がいいよねこういうのは、との声に「ええー」の声も上がったが「男子はいろいろ虐げられてるんだよ(笑)」「じゃあ腕の太いヤツ・・・」といってはいっ!て手を挙げた腕を見て民生思わず「太っ!」その彼と、最前のテーブルにいた男子2名の計3名でハンドクラップ。といってもパン、パン、と合図にあわせて単音を叩くのだが、民生が前に来て「じゃあせーの」といって出した音がもうからバラバラっていう(笑)がっくりと項垂れる民生でありましたが気を取り直して、俺のせーの、に合わせて叩くんだよ、じゃあ練習、とやってるうちに合ってきた。そのまま録音突入。民生がちょっとざわざわしてた客席に「しっ」ってやって、自分の声が入らないように口だけで「せーの」を繰り返すんだけど、キュン死にしそうでしたマジでこれ。しかもわりと近距離でこの「せーの」を見てたので多分私口ぽっかーんになってたと思うよ。

録り終わって、聞いてみるとやっぱちょっとばらけ感があるんだけど、そこは最初から録ってあった民生のクラップと交互で入れるということで!と。その男子3名は孫の手をもらってました。民生曰く「これで誤魔化されるっていう(笑)」「全部俺がやったってテイだからね、クレジットとかしないから(笑)」でも最後には3人のいる方にお辞儀されてましたよん。

★アコギ5

次はねー、ギターソロかなと。しばし「バッキングどうしようかな・・・」みたいなことをぶつぶつと呟いておられました。使用するギターを決めてなかったっぽく、ギターを見ながら「これエレキこんなにあるけど、今日使わないんだよね」。最初に持ったギターはしっくりこなかったのか、先ほどレコーディングで使ったガットギターをカポを外して使うことに。

このギターソロ、個人的には今回の目玉と言ってもいいぐらいでした。民生もあとで言っていましたけど、これアドリブで録ってたんですよ。相当時間をかけて何度も繰り返したんだけど、やるたびにフレーズが違ったりするんです。ガットギターに変えて、何度めかのやり直しをしているうちに(やり直すときも間をほとんど開けない。中断したらすぐ音を入れる位置に戻して、すぐに繰り返す)、あっ今のすごくよかった、全然今までのと違う!と思ったんだけど、そのあとの展開が気に入らなかったのか中断。あー今のよかったのに・・・と思ったら、民生がその部分は生かして、中断したちょっと前から音を入れ直し始めたので、あー民生も今のはしっくりきたんだなーと思ってなんか嬉しかったなあ。その後もかなり何度もトライしました。とにかく民生の集中力がすげえ。終わった後で「こういう小さい音をたくさんの人がいる前で録るのは難しいね」と。「今のはアドリブでやったので、最初からフレーズを決めてそれをちょっとでも練習してればもっと早かったんだろうけど。時間かかってすいませんでした」いやいや何を仰いますか、なんかすごく「現場に立ち会えた感」がありましたよ!

ここで休憩!民生は舞台上から動かず、「さっきのハンドクラップをコピペしておきますんで(笑)」

今回のステージは「おつまみ付き」だったんですけど、手羽先とかいろいろありました。私は普通にポテトフライをいただきました。民生が始まる前に「名古屋名物もあるらしいんだけど・・・名古屋で名古屋名物出してどうするんだ(笑)」って言ってました。あはは。でもって折角の機会なので、普段ライブでは飲まないお酒を買ってみたよー。なんか、民生のレコーディング=飲みながら見るのが正解、みたいなとこないですか、ないですね、すいません

★歌

休憩後に歌入れ!ノートに歌詞をかいたものをパソコンに立てかけ、それを見ながら座って歌入れ。「あとで歌詞は(画面に)出るので、最初はなんとなーく聞いておいてください。僕は音楽を聴くときはそういう聴き方が好きなので。最初から歌詞わかんないほうがいい」

最初に聞いたときに印象に残ったのは部屋という言葉と、サビの「朝が来ることはない」「朝が来たことに気づいてない」というフレーズ。なんだかレコーディングスタジオっぽいなーと思いました。サビの部分でかなり伸ばすところがあるからか、終わった後「これ酒が回るね~!」後ろのテーブルには小さい冷蔵庫とお酒が各種用意されていて、民生はそこでお酒をつくりつつ飲みつつ。

歌入れは2回でOK。終わった後またしても「酔っぱらうー!」と言ってましたけど、でもあれですね、実際見て思ったけど、歌に圧倒的な自信があるんだね民生ってひとは。そりゃそうだろ、と思うかもしれないけど、あのさりげなさと、さりげなさに反比例したボーカルのクオリティは凄いよ。

録音した歌にディレイをかけて「なじませる」。ディレイをかけると音が一定の周波で遅れて聞こえることになるんだけど、全体のリズムと合っていれば気にならない。試しに、と言って4倍のディレイをかけたボーカルを他の音をミュートした状態でも聞かせてくれて比較しましたが、単独で聞くとそうとう「うわんうわん」と響いていてもバックと合わせると全然気にならず、民生の言うようにボーカルが浮き上がらずになじんで聞こえる。これは機械でいくらでも簡単にかけれるよ、ただし、と民生。「でもそれは、正しいリズムで歌う事っていうのが大前提で、歌のリズムがおかしかったらディレイの波が音と合わなくなっておかしくなるだけ。だからそういう人は変なディレイをかけてしまったりする。これ、プロの話だからね」。この時にエンジニアの宮島さんがものすごく力強く頷いてらっしゃったのが印象的。

★コーラス1

続いてコーラス。もーまったく気負いなく、コーラスを入れる部分にカーソル飛ばしてさらっとつるっと、みたいな感じ。最初にAメロに入れるコーラスをやったんですが、あれさあああ、どんな人でもあんな風にできるもんなの?口ぽかーん再びだよ。民生も「うん、うまい」と言いながら「自分の声に重ねるんだからうまいに決まってる」と言ってたけどそういうもんですか。いや違うだろう。鮮やかすぎて鳥肌だったわ。2番の歌詞と間違えてやり直したけどそれぐらいだった。はー。すごい。

★コーラス2

サビの部分に入れるコーラス。これもさっきと同じく一発目でドンズバに決まってた。なんなんだこの人。2回目の「来ることはない」の「い」の語尾が思ったより長かった、合わないな、と言ってやり直したけど、2回目は完璧に音の長さも合ってた。「うんうん、よかった」と言って「たまには自分で褒めないとね」。

カスタネット

やり忘れてたことがあるんで、今からやっていいですかー。と言ってカスタネットを取り出す。こんなの俺がうまいわけない、初めてやるし、スペインだって行ったことないし!(笑)とウダウダ。最初は他の楽器と同じく会場にも音を流しながら録音したんだけど、これだと「(カスタネットの)音が小さすぎてわかんない!(笑)」ということで、「わかった、これね、申し訳ないけどちょっと(会場の)音も消すね。じゃないとマイクに入っちゃうから」「ここはちょっと静かにね?」民生が静かに、って客席に言ったのは結局ハンドクラップのときとこの時だけだったなー。ちんまり座ってカスタネットを鳴らす姿はそれはそれはもうキュートでございました。

ここで最終調整をするのでお客さんはしばし休憩。民生はステージの上で、できあがった音を聞きつつアンケートに目を通す。だけど曲の方が気になってあまりアンケートは読めてなかった(笑)

できあがった音を聞く前に、質疑応答!

Q:ドラムに10本のマイクをセットされているということだが、1本じゃやっぱりまずいか

A:まずくはない(笑)1本でもいい、まあ、どういう雰囲気で録りたいかにもよるが。キックをきちんと聞かせたいならそこは1本欲しいところだし。なんならこの10本は多すぎと言ってもいい(笑)キックとスネアとあと上1本、っていうのもありかもね。

Q:ボーカルマイクの位置は関係あるのか?(多分タンバリン2の時にエンジニアさんから「上から録ったら」という声があったからではないかと推察)

A:ない。どこでもいい。そういうこだわりはない。どんな角度でも歌えます。このレコーディングに使ってるマイクはふつーにどこでも売ってるやっすいマイクです。レコーディングとかでよく見るやつは凄く高い(何十万円)けど、僕はこれで全然慣れてるし、使いやすい。

この時に普段のボーカルレコーディングで使うマイクと、その前にある「パンストみたいなやつ」の話があったんだけど、これ音楽戦士だっけ?その時の話で「パンストが前にあるならパンストかぶって歌ってもいいんじゃないか」ってパンスト被って歌ってみた話が焼き付いてます(笑)実際は「パンスト被ると口が動きにくい」っていうオチ。やる前に気づいてお願い(笑)

Q:安いアンプと安いギターで始めたばかりです。オススメのヘッドフォンは?

A:(うれしそうに物販のカンタビレグッズを手に)これです(笑)あのー今回ほんとにラッキーでね、このソニーのヘッドフォン、大抵、日本でも海外でも、レコーディングスタジオってこれが置いてあるんですよ。MDR-CD900ってやつなんですけど。今回、中身はそれでこのグッズを作ってもらえたからね。もっといい音で、とか、もっと気持ちよく聴こうと思ったらもっといいヘッドフォンたくさんあるだろうけど、これはそのままに近い音を聴けるわけ。レコーディングするのに、ヘッドフォン通じて音が変わってちゃ意味ないわけでね。これはその点、生の音に近い音で聴ける。高いけど、おすすめです。ギターの前に買うべきだね(笑)

そのほかにも、録音の途中で民生のヘッドフォンのコードが椅子に絡まってしまい、「あー!」となった民生が「こういうのを業界では『斉藤有太る』って言うんだよ」「あ、有太ってるよ、みたいに使います」と言ったのを受けての質問「斉藤有太って誰ですか?」会場大ブーイング(そりゃそうだ)。民生読む前から半笑いだったけど、なんつってたかなー、かつて○○の(忘れた)第一人者だった人です、今はもういませんがw」みたいな事を言った後「冗談です。一緒にツアー回ったりしてるミュージシャン。彼はね・・・ちょっとだらしないところがあるんですよ(笑)」と。あと「タンバリン捌きはどこで習得したんですか?」の質問に「ニューヨークで(笑)」使っている音楽ソフトについても説明。「これはプロトゥールスで、他にもいろいろあると思いますけど、さっきやったみたいに切ったり貼ったり、繰り返したりできて、すごく便利ではありますが、テープ独特の音の良さ、みたいなものの方を好きだという人もいますね。僕も今回は全部これでレコーディングしていますけど、普段は基本的にテープです」。

質疑応答も終わり、いよいよみんなで曲を聴く!タイトルは「Room 503」。民生が「だからまあ・・・カラオケの歌だよね(笑)」「すごくエモーショナルなようで、カラオケかい!っていう(笑)」客席からもさっき耳で聞いていた歌詞を思い出して「ああ~」の声。

実際、完成した曲を聴いてみると、凄く不思議な感じで、だってその中に入ってるどの音も自分は知ってるわけじゃないですか。なのにそれがひとつになって形になるとやっぱり「初めて聴く曲」だし、でも細部を聴けば「あのカスタネット」「あのギターソロ」と思い出す。それから、ドラムやベースや、そういうもの「だけ」を聴いたときの感覚を持てるって凄い贅沢で、あり得ないことなんだよなあとも思いました。淡々と真っ直ぐな道を走っていくようなイメージ、っていうのは実際の曲に当てはまらなくても、普段聴いているように最初からイメージを持って曲と出会う、っていうことからは絶対できない、貴重な経験だったと思います。

全部終わったのが22時15分ぐらいだったでしょうか、民生が「あまり展開しない曲で、淡々と重ねてたらこんな時間かかってしまって・・・申し訳ない。皆さんの貴重な夜をねえ?このあといろいろあっただろうに(いやないです全然ない)」「タラタラやってたつもりはないんですけどー」と仰ってました。曲も4分半近くあるし、フェイドアウトだから実際は5分近く録音してたし、それもあったのかなと思いますけど、見ている間は全然長いなんて思わなかった!民生がミスすると照明が変わって「ちゃんちゃん♪」の音が流れるんだけど、思ったタイミングではなかったらしく「(照明を)変えればいいってもんじゃない」とダメだししたり、それに笑ってる原田さんが袖にいたり、エンジニアの宮島さんとオフマイクで細かくやりとりしていたり、そういう姿をものすごい近距離で延々と見ていられるんだから、長いなんて思う訳ないよっていうね。

JAPANのインタビューで、このひとりカンタビレをやることになったきっかけを「誰にでもできることじゃないだろという思いもある」と言っていたけど、誰でも簡単に音が作れて、なんならその音をコピー&ペーストで貼り付けられて、ピッチもリズムも機械で直すことができて、それはそれでその人が楽しいならいいかもしれないが、自分は違う、ということを、こんなにも圧倒的に知らしめる場としてはこれ以上のものはないのではないでしょうか。それからこれが「民生にしかできない」理由の大きな部分は、その決断の早さにあるんじゃないかなあとも思いました。もちろんこういう場所だからこそあえて、というのもあるだろうけど、それにしてもすごい。というより、決断しうるに足るクオリティのものを短時間で実現できる能力が一番凄いのですが。

あの、いちいち書くと鬱陶しいことこの上ないので書いてないけど、ギターのネックを押さえる手とかアヒル口とか猫背になってマウス持ってかりかりやってるのとか、ギターソロに集中してるときのあの顔とか、こんな姿を延々と拝ませて頂いて本当に神様ありがとうございますという感じでした。民生の格好良さと男らしさとかわいらしさと何よりその才能が炸裂した4時間だった。Room503、なんならもう今からカラオケボックスに行って歌いたいぐらいです(気が早い)。このカンタビレシリーズは全部の録音が終わった後アルバムになるそうなので、もう、絶対買う!買うったら買う!