吉井和哉 Flowers & Powerlight Tour 2011@本多の森ホールレポート

いやー熱かった。

気温も暑かったが、金沢のオーディエンスハンパなく熱かった。

すばらしい。

これぞツアーの醍醐味!というような一本を味わうことができました。

以下 ねたばれれん!

金沢21世紀美術館見たり、香林坊でお茶したりして、ぷらぷらと会場へ。全然歩ける距離だよ、と友人が言うのでてくてく歩いて行きましたが(香林坊から)、ほんと、全然歩ける距離だった。またロケーションがすばらしい!金沢城公園(石垣の壮大なことったら!)をかすめて深い森のなかの坂道をずんずん歩く。ホールのほどちかくに石川県の歴史博物館があって、この建物が煉瓦造りのすごくクラシックな建物だった。来歴読んだら大正3年に建てられた金澤陸軍兵器支廠の兵器庫3棟だそうで、国の重文指定を受けているらすぃ。こういう古い建物がたくさん残ってるってことは、地震が少ない土地なんだろうなあなんてことをぼんやり思う。

ホールの中に入って会場を見渡してみたら、2階席がなくてワンフロア、扇を広げたような、すり鉢状の客席。うおおお、新宿コマみてえ!金沢出身の方が仰るにはもともと野球場の跡地だったらしく、黒川紀章の設計だそうな。

SEがちょびっと変わった気もしたけど、気のせいかも。直前はもちろんマイウェイで変わらず。何回聴いてもざわざわするやね!(胸が!)とか思ってたら、そこでもう観客から割れんばかりの手拍子、指笛、コール!もうからかい!この日はほとんど押さずに始まったと思います、押してても10分以内。優秀。いつもこうであれ。

マイウェイが終わって場内大歓声、続くSE(途中で暗転になる)になっても手拍子やまず、客電が消えた瞬間のうおおおおおお!!!という歓声が背中から降ってくるようだった!いやあこれは盛り上がるな、いいライブになるに違いない、と確信する。

ヒョウ柄をピンアレンジしたシャツで、下は赤。赤!珍しくないか?(そうでもない?)首の巻物はしてらっしゃらなかった。もう暑いもんね季節的にも(笑)

始まった瞬間から、吉井が客を煽り、客が吉井を乗せ、そしてまた吉井がかぶせてくるっていう呼吸が感じられて、どんどん高揚していく感じ。吉井の声もすばらしくよく出てた。ACIDWOMANの間奏で入るオフマイクでのかけ声や、ラストの煽りもキレがあって、気合いが入ってるのが伝わってきました。

で、3曲目にはChelsea Girlがきたわけなんだけど、これ、京都でも神戸でも見ました、見ましたけど、おおそうかチェルシーか!みたいな、うわーやっぱチェルシー楽しいな!みたいな、そんなテンションだったですそのときは。しかし、金沢で見たチェルシーは違った、あなたにもおおおおおおちぇるしいいいいいあげたあああああああいいいいいい!!!みたいな、もう言葉にならない興奮。ドラムがすごくアレンジされてて、めっちゃフィルをいれてきてましたよね佳史さん!それもすごくアガったし、なにより吉井のキレが、キレが、ぜんっっぜん違う!左右の袖に走ってハイハイハイハイって客を煽るのも、花道で座り込んでおいでおいでと誘うのも、あまりにもオラオラ吉井すぎてマジ昇天しそうになりましたわたしは。しかも曲の最後、アウトロに合わせた動き、わかります?わかりますよね奥さん!あれがもう、あれがもう、マジたまらんかっこよさ!!!

金沢ひさしぶりですね、というMCの中、やおら

「佳史がさっきから気持ちいい気持ちいいばっか言ってる」

と。思わず盛り上がるオーディエンス。手を振って答えてくれる佳史さん。

吉井が足でリズムを取りながらお得意の手拍子をみせるロンサムジョージ、いーい声だったなーー!途中でスライドエアギターやるんだけどその時の顔がめっちゃエロくて大好きです(手もエロいから一粒で二度美味しい)。あとこれで3回目だけど3回聴いてもイースターの前の吉井のギターが一瞬天国旅行を彷彿とさせます(笑)今日は途中でベンチャーズっぽいフレーズ混ぜ込んできたりしてたなああ。そうそう、どこかで出たという情報は耳にしておりましたが、欲望もきました!!多分そうでもないんだろうけど久しぶりに聴いた感じがしたなー、「ドントタッチミーだ」をほとんど咆哮みたいにまっすぐ伸ばして歌ってたのが印象的でした。

おじぎ草の前のMCで、本当ならアルバムを3月に発売し、4月の千葉を皮切りにツアーがスタートするはずだった。でも、アルバムも遅れはしたけれど出すことができて、ツアーは何本か中止という形になってしまったけど…でも今こうしてツアーを回って、ほんとにみんなのパワーを預かってきているので、年内に東日本で、中止になったぶんのライブをぜったいやります、と吉井は言った。オーディエンスからの拍手がしばらく止まらなかった。

地震や台風がとても少ない土地なんだよね、と吉井が言っていたので、開演前に見た歴史ある建造物のあれこれを思いだし、そうだよな、やっぱりなあとひとりごちたり。

おじぎ草のラストでムービングライトが上を照らし、一瞬檻のように見えるのすてきだな、と思っていたら、ピアノのイントロ。セトリでいけば次は球根だってわかっているのですが、あきらかにピアノソロが長くなってた!そのピアノのあとバーニーのギターがはいって逆光、という流れでした。

MUSIC、もちろんこういう曲の吉井ちゃんがかっこいいってことは100も承知なんだけど、いやーこの日のMUSICのかっこよさってほんと…なに?なんなの?耳よりな情報サンクス、って言いながらわざわざ携帯電話を出して耳に当てる仕草までする、相変わらず当てぶり大好き吉井ちゃんですが、何よりキレッキレなんすよすべてが。最後なんかさー、アウトロで小さく吐息が入るじゃないですか、あれをマイクスタンドを背にして振り向きざまのフェイク一発ですよ、見返り美人ならぬ見返りフェイクですよ、しかもそのあと首を反らしたままターンして正面を向くっていう、うん、言葉で伝わってないのわかってる、余談だけど今書きながら自分でどういう動きだったか再現しようとして首の筋を痛めました(実話)。

しかもそのあとのクランベリー、曲が転調していく前にかなり長いブレイクを入れて、観客の拍手がぱらぱらし始めそうに鳴った途端に吉井がにやっと嗤って佳史さんのドラムが入るみたいな、いやあああもう吉井の掌で転がされてるうううでも転がされるのが好きいい、っていう一人上手を心の中で演じてしまいましたとさ。

ライブを見るときなんてどんな人でも、自分の体調やその時の状況に少なからず左右されるし、だからこそその日によって響いてくる曲は違ったりして当然だと思うんだけど、この日は私にとってはONE DAYがそういう曲だった。ここのところあったいくつかのこと、バンドのこと、吉井和哉というアーティストに対すること、いろんなことが一瞬に頭をめぐって泣けてきてしまった。この願いがかなうといいな、ではなくて、その願いがかなうといいね、と言葉が投げかけられていて、それから確信はないんだけど、ずっと自分を信じていいんだ、と歌ったように、聞こえた。わたしの気持ちがそうさせたのかもしれないけれど。

バラ色の前には、みんな東日本に届くように歌ってくれ、歌ってくれるか!と客を煽り、オーディエンスの歌声に、ありがとう、ビューティホー!とお約束の叫びが。でもちょっと、ドラムの入るタイミングが早かったね(笑)神戸のときに、ひさしぶりに「長い鎖に繋がれても」って歌ったってことをすごく鮮明に覚えているんだけど、金沢でもそうだった、気がする。

LOVE & PEACEの前のMCで震災のことにふれ、3.11以降いろんな意味で日本は変わったとおもう。この曲も、違う意味に響いているような気もします、と言った。

どの会場でも、ひとりひとりの顔はちがっても表情は同じで、すごくきらきらしていて、吉井和哉を愛してくれてるひとは、みんな仲間だと思っているので、と吉井は言った。自分はね、こうしてツアーをして、電気を使わせてもらっているけれど…でもそうやって、もちろんいろいろあって、土の中にいるときもあるだろうけど、でもまた来たときは、どうかひとりでも多くの人にきれいな花を咲かせてもらいたい、それが僕の夢です。

そういったあと、彼はこう言いなおした。

夢というか、それが、ぼくの人生です。

ワンフロアな会場、ということもあるのか、最初から最後まで一糸乱れぬアンコールの拍手が続いて、オーディエンスの熱さが持続してるのを象徴してるみたいだったなあ。

アンコールのHIGH & LOWでは吉井がハーモニカホルダーをかけるわけですが、それをみた観客からやんやの喝采、っていうのが面白かった(笑)そして佳史さんは「ヒーハー!」だけではなく「ゲッツ!」までご披露…なんだろうこの捨て身の愛…(違う)。吉井さんは確実にハーモニカが上達している気がしました!(えらそう

ここで、アコギはローディーさんに渡さずに(アコギを外そうとしたローディーさんに、めっ!みたいな顔をして、あげくケツをさわろうとしていたのでマジ変態だと思いました冗談です)、「金沢久しぶりなので!1曲多くやります!」そこで言った台詞が「吉井和哉がダメだったときの曲を聴いてください!」っておい!ごめんよおもわずあっはっは!って笑っちまったよ!で、何がご披露されたかというとBELIEVEだったわけですけども。しかも吉井さん、最後の最後、「今を駆け抜けたい」がハナモゲになったからね!コラー!そこハナモゲしてどうするー!

アコギを外してまだいけるかー!かなざわーー!と煽り、「あなたにこのよのすべてのしあわせをあげる!」でCHAO CHAO!個人的にこの曲はアンコールに入っているほうが断然!好きです!!!この無条件で楽しいお祭り感ハンパない!「もしも願いが」からのサビをあえてまるまる繰り返させたり(その前の「もう一回いくぞーー!」が超絶格好良くて惚れる)して、あああそうだよこれだよこれなんだよ吉井!!!!と肩をつかんでゆっさゆっさしたくなりました。アウトロはやはり沢田研二(でていってくれえ~、のアクションつき)、そしてなぜか最後には「燃えろ、いい女~!」笑った笑った。そのあとはWEEKENDER、今年いちばんのライブになりそうで、で観客のボルテージは最高潮、明日もがんばれよ、ではなくて「よい日曜日を!」と言ってました。

ほんとうに最高の、すばらしいライブで、ああー来て良かった今日来て良かった、と思ってたし、最後の曲に入る前の吉井も、ほんっっとにいい表情していて、充実感が伝わってくるようだったです。MCで、「ほんとはこんなこと言っちゃいけないんだろうけど…」って始めるからなんぞ、と思ったら、震災以降どこでも、こういうライブとか、ほんとに動員が減ってきてしまっているんだと。だから、こうして今日来てくれた皆さんに心から感謝します、と言って、そこからいきなりべらんめえになり、

だからぁ!パソコンで見るのもいいけどもぉ!

生を見に来いっつってんだよゴルァァァ!!

吠えた!お母さん、吉井が吠えたよ!

とか良いながら私も思わず「その通りっ!」って合いの手入れちゃったよ。

でも吉井ちゃん、「パソコンでなんか、(俺が)死んでからもみられるじゃん」とか言うのやめて(泣)

ラストのFLOWERを、青のテレキャスで弾いた(と思う)(もうあやふや)んだけど、前からそうだったっけ…ミラーピックガードだったから、もし使ってたら気がつくと思うんだけどなー、でも私この頃記憶力がもうあれだから!でもミラーピックガードいいよね、あれにきらきら照明が反射するの好きなのさ!

最後に退場するときはほんとによろりら、って感じで全力使い果たした感があったけど、ほんとに最後から最後までテンションの落ちないいいライブでした。っていうかね、わたしはいま絶望してるよ自分の筆力のなさに!なんだこれ!こんなもんじゃないんだ!なんにも楽しさが伝わってねーじゃねーか!うわあああああんん!(渚に向かってダッシュ)まあいいですけどもう、自分のための記録なので。でも落ち込むわ!ちょっとインプットが足りないわ最近…ってそんな述懐はよそでやれ。

最初にツアーの醍醐味、って書いたけど、この日も何曲か4月に見たときとは違う曲が披露されたわけで、こうしてセットリストが日々変化していく、というのももちろんツアーの醍醐味ではあります。でも、もっと大事なのは、そのツアーで必ずやる曲、絶対に外されない、セトリから動かない曲たちが、どんな風に変化し、ボトムを下げていくか、どれだけ観客の心に火をつけることができるかだと思うんですよね。

ドラムのアレンジがすごく増えてて、佳史さんのツボにはまるようになってるなっていうのも思ったし、吉井が観客の反応を読んで、コール&レスポンスを絶妙なタイミングで放り込んできたり、そして何よりも客がそれに全力で乗っかっていって、そのうち天井知らずの興奮が降ってくるっていうような、ツアーのおもしろさってこういうことだよねっていう感覚をほんとに久しぶりに味わいました。そして、これもまた大事なんだけど、まだすべてに飽きてない、ルーティンになる手前っていうね、まさにツアーのこわさおもしろさですよねこれは(笑)

いつもだと、もうこの本数でそろそろケツが見えてくるころだけど、今回はもう一山ありますからねええ、どこまで育っていってくれるのか、楽しみでしょうがない。

もうひとつ、4月に見たときと大きく違うと感じたこと。これは吉井や演者側だけではなくて、観客もそうなんだけど、4月のときには、まだ名前のつけようのない不安、というものがとにかく全体を覆っているところがあったとおもう。センシティブだったし、ナーバスだったし、だからこそ生まれた感動的な瞬間、というものもあった。でもその時から比べると、もちろん不安が消えたわけではなくて、それはある意味増大する一方だけど、少なくとも皆その不安に対するスタンスを決めた、というような感じがあった。地に足がついたといったら変だけど、ライブをする自分、ライブを見に来る自分、への腹の据わり方というか。

最近このblogのエントリを書いていなかったのはべつに理由もなくというわけではなくて、自分の中でもやもやと書きたいことがあり、でもそれを上手く言葉にすることができず、上手く言葉にすることができないなら書くべきじゃねーべな、と、その悶々が空白を作ってしまったのだけど、この日のライブはそんな悶々も吹き飛ばしてくれた感じ。その書きたいことをいつか書くのかそれとも書かないままなのかはわかんないけど。

動員が、という話も、これは勿論吉井さんだけの話ではなくて、ライブもそうだろうし、演劇界でも格段にちがってきてます。「票券が動かない」というのは多かれ少なかれ業界全体に認識してあるだろうとおもう。でもそれは、こう言っちゃなんだけど、しょうがない。あれだけのことがあれば、その反作用が大きくても、それはもっともなことだと思うし、そこを曲げてまで「楽しまなきゃ!」なんてのはいたずらに不謹慎を煽るのと同じぐらい人間の生理に反してると私はおもうからです。

でも、ひとりでも観客がいれば、ステージに立つ人間はその仕事をするべきだし、行きたいとおもう観客は、その衝動に従っていい、はずです。もしも迷っているひとがいたら、無理することはないけれど、でもあなたが時間とお金をかけるだけの価値のあるものがそこにはあるよ、と言いたいし、それぐらいしか私ができることなんてない。それにはもう少し筆力を鍛えろって言われたらほんとぐうの音も出ないですけども!ぐう!

さて、三日にあげずではないですが、ワタクシの次の予定は三重です!詰まりすぎじゃないのか!いいのか!いいんです!(また古い)