THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016@真駒内セキスイハイムアイスアリーナに行ってきたのよ

先週の今頃は札幌の空の下でどしゃめしゃに旨いジンギスカンを食べていた…などと思い出にひたっとる場合でしょうか。さっさとレポを書かんかい!すいません。暫く「次」がないと思うと油断する私ですいません。いまだに夏休みの宿題を8月31日にやるタイプですいません。

 

最初にツアーが発表になったときは、これは…札幌ファイナルでファイナルアンサーなの?もしかして追加とかあったりなかったりなの?とかも思いましたが、まあとにかく行けるところは行こうぜ、という精神でしたので、もうね、ライヴのチケットを取るよりも早く飛行機のチケットを取ってました。その後8月に追加の発表はありましたが、札幌ファイナルというところは変わらず、北の大地で打ち上げってけっこうTHE YELLOW MONKEY的にめずらしいのでは!と思いつつ行ってまいりました。なんかね、直前まで台風が出ては消えて出ては消えてだったので気を揉んだよね…札幌は飛行機飛ばないとなるとかなり手足もがれるからね…

 

真駒内の会場は初めて行くところだったので、道中もかなり新鮮だったな~。1日目、かなり早い時間に会場に向かってたんだけど、バスの中で私たちの前に座っていた可憐な美少女(まさに!)に、誰のライヴなんですか、楽しんできてくださいね…!などと声をかけてもらい、札幌いい街最高な街、単純な私たちはそれだけでぞんぶんにテンションがあがったもんでした。会場もこじんまりとしていて、天井の照明とアリーナの形がなんだかスペーシーで、あと入り口にロシア語?でなんか書いてあって、あれ何て書いてたんだろう、写真とってくればよかったなー。

 

1日目はスタンドのステージ真っ正面、の一番前だったので、いやー素晴らしい視界でした。遮るものがなんにもないからものすごいステージに没入できた。2日目はヒーセ側のスタンドだったんですけど、どっちも見やすくてよかったです。8月の横浜、福島と「スペシャル」と銘打たれた公演が続いたので、SUPER JAPAN TOURの流れとしては神戸ぶり、しかもその神戸で相当吉井が「終わっちゃう、終わっちゃう」と終わっちゃう妖怪と化していたこともあって、原点回帰のセットリストでくるんじゃないかなあという気がしていました。1日目は代々木の1日目と全く同じセットリストだったのではないかな?途中から2曲目にROCK STARが入ったりとセトリも変動していたので、なんだかラブコミ聴けたのがすでに懐かしく嬉しかった。2日目は変動のあったセットリスト(TVのシンガーとかROCK STARとかパールとか)が入ったので、1日目と2日目で通常メニューで出された曲コンプなんじゃ…?と思ったけど、神戸のサイキックが入ってなかった。でもセットリスト的な意味でも今までのまとめというか、総仕上げというか、そういう意味合いがあったと思うし、なのでこの日初出し、みたいなのは想定してないんだろうなーと。

 

そういえば、衣装も、吉井はファイナルが代々木の初日と同じで、ヒーセもたぶん同じ(シャツは違ったそうですが)だったので、ウワー初日の衣装で揃えてきた!と思ったけどエマは2日目の方の衣装だったのかな、初日はニジマスみたいなキラキラだったよね、すまんすまん。でも吉井が1日目と同じのを着ているのは本人的に絶対意識してるというか、そういう形でツアーを閉じる、っていうのを考えてたんだと思うんだよなあ。最初と最後がループして繋がる構図、私の大好きな、終わらない構図…

 

しかし、どれだけ次が待っていても、ひとつのツアーの終わりというのはなんというか、ひとつひとつのものに名前をつけながら箱にしまっていくようなさびしさ、いやさびしさというより切なさか、そういう感覚がどこかにあります。そのツアーにおいては当たり前のように享受していたものが(なんならたまには入れ替えてくれてもいいのよぐらい思っていた曲たちが)次のツアーでは、一部の曲を除いて次に会うのはいつになるかわからない。麗奈なんてね、バンドが解散する前だって、私自身何度聴けたか、片手に余るほどしか聴けてないわけで、そういう曲がほんとうにたくさんあるんだろうなって思いました。

 

でもこのバンドはそういう感傷よりも、興奮の速度が速くて、速すぎて、なにかを思ってしんみりする、なんて暇すら与えないほどに次から次に興奮の波が押し寄せてくる。もちろん、これで終わりじゃないという事実が何より大きいのだろうとは思うけれど、このバンドの「かさにかかって攻めて立ててくる」興奮の速度を改めて感じたファイナルでもありました。

 

速さといえば!最終日はもうアニーのドラムもすごかったですね。Chelseaの速さ!FINE FINE FINEの速さ!笑いました。あーぶっ飛ばしてんなー!って、気持ちいいんだろうなって、あと球根の前のエマのソロね!もう最初っから、今日は好きなだけ弾く!って決意が見えるような自由自在ぶり。終わったあと友人とも話してたんだけど、ほんと代々木の1日目の映像が見たい。何が見たいって「見てないようで見てる」が見たい。ツアー後半のスピードと吉井の煽りの自由自在ぶり(札幌はド直球に下ネタかましてたね、ああ、ああ、ああ、モッコリ!て中二かキミは)と初日のバリカタぶりを見比べたい!なんて。ほんとこの4ヶ月で、ぐいぐいメンバーの顔もバンドの貌も変わっていってたし、やっぱりライヴを通じて何かを得て(または喪って)いくのがこのバンドの性質ってやつなんだろうなあと。再結成(あえてこう言う)するバンドにもいろいろあるけれど、まず音源、ではなく、まずライヴ、という選択肢になったのも、頷ける気がしました。

 

1日目はスタンド最前列かつステージどセンという場所だったので、空の青のときとかね、ほんとなんていうか…今世界に私とこのバンドしかいない、みたいな没入感があって、ものすごく幸せな気持ちになりました。そしてつくづく吉井和哉というのは美しい男だよと思った。顔とか手とか皺とかいろいろパーツパーツ好きなんですけど、でも総体として美しい。あんなに見てて(いろんな意味で)飽きない人いないです。あとね、2日目の空の青のとき、アウトロのエマのスライドギターのところで、ここのところ吉井がマイクスタンドを望遠鏡に見立てる、ってやつをよくやるんだけど、それで一点を見つめるんじゃなくて、会場を見回すみたいな動きをしてたんですよね。で、吉井がちょうど私たちのいるスタンド側を向いた時、私の前にいた女の子二人が、ワーって、よしいさーん!みたいな感じで手を振ったんです。でもさ、いうまでもないことだけど、物理的には吉井はこっちが見えてないんですよ。片目を閉じてマイクを覗いてるだけだからね。でも、吉井が客席を、私たちを、望遠鏡でのぞきこんでいる、と思える。私はもともと「劇的なるもの」に強烈に惹かれる性質の人間なので、こういうのにはホント弱い。ステージでの吉井がシアトリカルだと言われる(思われる)力ってまさにこういうことだよな…!って実感しました。

 

ヒーセがブログで会場のことを宇宙船みたい、って言ってたけど、ほんとスペーシーな空間に「ホテル宇宙船」ずっぱまりだったなー。吉井も「ここ宇宙船?」って言ってたよね。初日は吉井の「とまこまい」事件があったワケですけど、ホテル宇宙船でとまこまいじゃないよまこまないだよ的なことをちょう早口で言ってたの笑いました。2日目に一音一音区切るように「ま・こ・ま・な・い!」って言ってたのも笑いました。あとちょっとどきっとした歌詞替えとしてはASIANで「キミと同じ夢を見ている」って現在形にしてた!LOVERSの前に、もう最終日だからいっぱい喋ってもいいよねとか言って、神戸でも言っていたバンド結成経緯みたいな話を結構な尺でしてたんだけど、肝心の曲の紹介のときに「そんな…モスバーガーで書いていた曲です」って強引にまとめに入ったァー!感あったのも面白かったです。

 

2日目のSUCK、1日目も吉井が例のトグルスイッチ(調べた)(もういい)(これやるの何回目?)をくわえてれろれろしてたんですけど(なんかそれで舌やけどしたと風の噂で)、2日目もいいだけれろれろしたあと、立ち上がって一瞬エマと見つめ合って、両手でエマの顔はさんでちゅっ、ってやってました。まーなんつーかわいらしい。もっとれろれろしないのかい?(どこのエロ親父だよ)なんて思ってたけどいやもうそのあとのエマの顔!あれ見た!?おまえ…なんつー!って思いました。両手で!口を!押さえるな!余韻を味わうな!絡みの前のエマのちょう上から目線で吉井を見下ろすのが割と私大好物なんですけど、その片鱗もない顔だったあれは。吉井が「再集結後初キッス、あの頃なかったおひげが痛い」とか言って、エマも律儀にヒゲ確かめたりしてましたけど、いや東京ドームの時にもエマにヒゲあったやろがい!などとダメ出しをした私だ。

 

そのエマはエマでメンバー紹介のソロの時に「離れるな」をぶっ込んでくるという鬼の所業。しかもかなり長いことやってました。ブリッジのとこまるまるやったんじゃないかなあ?んもー!そんなに!尺取るなら!ぜんぶやりなはれ!離れるななんか聴きたいに決まってるじゃないかよー!メンバー紹介といえば1日目のエマのときに吉井が「この人にかゆいところを掻いてもらっちゃいなさいよ、かゆいんだろう?」と言い出し、その「かゆいんだろう?」を節に乗せて「かゆいんだろう?かゆいんだろう?」とものすごドSの上から目線で煽ってくるという私の大好物のアレだったので、言ってる台詞はこれだけど喜んどいたほうがいいのやろうか…などと逡巡した私を許し給え。

 

そうだ、例のトグルスイッチをめぐる攻防も面白かった。吉井曰く最終日に飲み込んでやろうと思ったけどこれがめっちゃ高いらしい。エマにはそれだけはやめてくれと言われた、と言ったらエマが戯れにスイッチのカバーをはずして渡そうとするもんだから、それをすかさず吉井が奪ってパクッ。エマの「あ~ウソウソ返して~」みたいな顔がまた面白かったヨ…。吉井、スイッチ飲み込むフリして(しかも喉につまらせる芝居してエマが背中をトントンするっていう、なにこの小芝居)「このトグルは明日のトグロとなって出てくるでしょう。」エマも「うまい!」みたいな顔するなし!うまかねーわ!中二か!もちろん飲んだ芝居だったのであとで返してあげてましたとも。

 

2日目はアンコールいっぱつめがパールで、なんとなく「パールかな~」とぼんやり予測はしてたんだけど、4人が出てきて、エマがギタージャキジャキ鳴らして、それで吉井がさ、オフマイクでさ、いくぞ!だったか、よし!だったか、声をかけたのよ。それに3人が「おうっ!」って答えたの、それがかんっぜんに揃ってて、もうパールのイントロの前に客がどよめいたもんね。あんなの、今まで見たことなかったから、なになに今の~~~!!ってなったし、吉井に答えた声がちょっとまだ耳の中に残ってる感じすらします。そういえば、最終日はALRIGHTの時も今までになく4人がぎゅーーーーっとアニーの周りに寄っていて、その光景も心に刻まれています。

 

それまでの空気がいっぺんして、犬小屋の前になると、なんというかオラオラの吉井、いや吉井だけじゃなくメンバー4人ともオラオラでギラギラになるその空気が大好き。犬小屋はほんとこのバンドのかっこいいしかつまってない。吉井がイントロでギターかき鳴らしながら、犬小屋のことを、一生やり続けるんだろうなって言ったの、うれしかったなあ。

 

新曲の発表が出たばかりのタイミングだったので、もしやここで初お披露目…?みたいな期待感もすくなからずあったと思うんだけど、吉井は「今日ここでやれればよかったんだけど…まだ覚えてない」とのたまい、えーっえーっと不満をもらす観客に「えーって言わない!」と制しつつ、「ここだけの話だけど俺は北海道がいちばん好きだからね!?」と今、小声にする意味ある?というひそひそ声で打ち明けたり、「次やるから!ちょうど良くなってきた頃にやるから!最初とかあんまよくないんだから!」とそれ言う!?みたいなぶっちゃけをかましたり、いずれにせよ、世間よこれが「色男の口説き文句は真に受けちゃいけない2016」だという感じであった。

 

おわっちゃうね、さびしいね、と吉井が口にしたのは結局、最後のJAMの前だけだったな。昔からそうだけれど、終わる時にはもう、次を見てるんだよなーこのひと、なんてことも思い出したり。このメンバーに出会えてよかった、みなさんもいい人と言い音楽にめぐりあってください、このバンドは日本の裏国宝だと思ってるので、俺はこれを磨いて錆びさせないようにしないといけない。

ツアー中、何度となく、もう解散はしないということ、一生THE YELLOW MONKEY吉井和哉だということをかれは口にしていたけれど、その未来を語る言葉よりも何よりも、私が今回のツアーで聴けて一番うれしかった言葉は、ちょっと時代錯誤で金ぴかで花柄のロックンロールをやっていく、と吉井さんが言ったその言葉です。時には、馬鹿なロックンロールとも言っていたかな。それしかできないけど、でもTHE YELLOW MONKEYがいると思うと、ひとりではできないこともできるような気がしてくる。ほんと、そう思います。

 

最後に写真を撮ろうといって、有賀さんが呼ばれて、最初、鶴ちゃん遠慮して離れてたんだけど、ヒーセがぐいぐい引っ張って5人で撮ったの、ヒーセらしくてほんと素敵だったし、鶴ちゃんはいったん5人で撮ったあと、さっとさがって、4人で、って4人が客席をバックに写真を撮るのを見守ってくれていたんだよなあ。本当に鶴ちゃんにも心からありがとうとお疲れさまを言いたい。時には吉井の妨害(笑)にも負けず、このグイグイグイグイ来る4人の中でほんとがんばってたし、よくぞ引き受けてくれました、と思う。

 

1日目はPA卓が目の前だったんだけど、大森さんも、倉茂さんもいらしてて、それでねえ、おふたりとも、ライヴの間中、ずっと立ってた。椅子、用意されてたけど、ずーっと立って見てらしたなあ。北海道のイベンターはマウントアライブで、そのホスピタリティもほんと素晴らしかった。たぶん、1日目、小雨だったってのもあってちょっと早く開場してくれたんじゃないかなあ。開場が押すことはあっても早まることなんてあるのかヨ~!すげえヨ~!あとね、細かいことだけど、座席のブロックを示す看板をスタンドと言わずアリーナと言わず設置してくれていたんだけど、それがあのモルフォ蝶の軌跡の図柄に印字されてて、つまりこのアーティストの2日間のためだけに新調してくれたというわけ。そういうところにファンは嬉しさを感じてしまうものなんですよ。

 

吉井も言っていたけど、今回のツアー全カ所定刻開演、これメンバーももちろん時間に追われるでしょうが、なによりスタッフとイベンターの地力が問われるチャレンジだったと思う。これほんとに、実際すごい快挙ですよ。全員が文字通り一丸となって、このツアーを成功させる、させなきゃいけない、って気合いに満ちていたからこそできたことですよね。

 

ツアーの総括的なことはまた別にしようかな。ともあれ、あの緊張に緊張を上塗りしたような5月11日から4ヶ月、馬車馬のように働き、馬車馬のように追いかけました。ツアー17本、フェス2本かな。しかし何度も言うようにもう「次」が提示されていて、メンバーもみんなその「次」を見据えている、興奮が感傷を最後まで上回ったツアーでした。本当にすがすがしい、こんなすがすがしい気持ちで「THE YELLOW MONKEY」の「ツアーファイナル」を迎えることができるなんて、16年前には考えられなかったし、1年前だって考えられなかった。人生一寸先は闇とはよく言いますが、一寸先が光であることもある。心から楽しい4ヶ月間でした。最終日の吉井さんの言葉にならって、最後はこの言葉で。

 

おかえりなさい。