THE SILENT VISION TOUR 2021@日本武道館に行ってきたのよ

2015年ぶりの吉井ソロ武道館だそうです。2018年にソロ15周年のツアーもあったし、そんな気してなかったけど、今回のツアーも武道館まではZEPPメインだしで、アリーナクラスでソロライヴやるのマジでむちゃくちゃ久しぶりだったんですね。それこそ2015年12月28日以来だ。

しかしそういうのも、あとで振り返ってそういえばそうだったね、と気がつくくらいで、見ている間はまったくそういうことを感じさせなかったですね。アリーナis俺の庭、日本武道館もっと俺の庭みたいな、やりこんでる、ここに馴染んでる空気がありました。そういう馴染んじゃう空気を避けてたようなところが昔は少なからずあったような気がするけど、年を重ねてそう悪いものでもないと思うようになったのでしょうか。

セットリストはアンコールにファナカンが加わっただけで、これまでのツアーのセットリストを踏襲。大阪で見た時の感想にも書いたけれど、今までセットリストの中核をなしていた「おなじみの曲」を前半はほぼ外してきていて、それが曲の良さの再発見につながっているっていうのがすごい。Biriとかほんと、レコ発のツアーの時には全然意識してなかった曲だけど、むちゃくちゃ楽しいし踊れるしエロさと決意表明が背中合わせの絶妙な歌詞だし、正直ずーっと頭の中回っちゃってますもん。

1階席で、ステージ真横あたりの位置から見ていて、今回は左右の花道でもあまり近づかないようにしてたようだったし、中継見て初めて「どうした前髪~!」ってなりましたよね。しかもファナカンのときだけモニタに映って、そこで「けっこうしっかりメイクしてるやん…!?」となり、メイクしてるのになぜ目を隠す…?お前のそういうところがわからないよ…?となってもしょうがないと思う。つーかなんだかんだやってるうちにその重め前髪は乱れておでこが出てくるんだから、もう最初からあきらめておでこ出しちゃいなさい!と言いたい私だ。

途中のMCで「いろいろと(客層も)入れ替わってると思うからここで主旨とルールを説明します」とか言い出して、「そもそもなんで12月28日かっていうと…」から始まったので、そっからかい!と全力のサイレント裏拳ツッコミが出ました。いやでもこの日の観客、「クランベリー」の途中のブレイクのところでもビタイチ拍手が起こらなかったのをみて、よく訓練されてる客しか来てねえ…と思ったんだよね。そういう意味では主旨とルールは叩き込まれてるオーディエンスばっかりだったのではないでしょうか(笑)

高音にちょっと苦労してるような部分もあったけど、それならそれでなんとか打開策をやりながら見つけていく、という腰の据わったパフォーマンスで、高め安定だなーと思いながら見ていました。吉井ちゃんを見て高め安定だなという感慨を抱く日がこようとは!席位置から袖にいるスタッフも良く見えたんですけど、吉井のMCにスタッフがすげえウケてて、いい雰囲気だったなー。点描のタンバリントスはこれ以上ないぐらいベスト角度で拝ませていただきました。

当然ながら観客の歓声ご法度だったので、コール&レスポンスも合いの手もなしでしたが、去年のTHE YELLOW MONKEYのライヴでもそうだったけど、それを意に介さない(ように見える)形でどんどん新しい形に馴染んでいこうとするのがすごいし、ビルマニアのお約束シンガロングのところも、ただ自分が普通に歌うんじゃなくて観客の手拍子でシンガロングの代わりにするとことか、マジで客前での反射神経が尋常じゃないなと。

このセトリの中でもいちばんやりこんでいるであろうファナカンの歌詞が相当グダグダだったの笑ったんですが、その中のMCで来年の話に触れ、「ソロかも」「猿かも」と気を持たせる話をしながらも、ソロだろうが!猿だろうが!俺はここにいるんだ!と宣言したのがある意味この日のひとつのハイライトだったなーと思います。思い返せば2006年12月28日、「きめた!12月28日は毎年おれがここでやる。吉井武道館にする、ここを!」と宣言してから(このMCを記憶に刻みすぎて諳んじているおれだ)、15年経って可能性を広げたうえでの再宣言ですもんね。うれしい話だし、ありがたい話だよ。

ここまでくると人さまが何をどう思おうがマジで関係ないしあんまりそれに触れないようにしようと思ってますけど、「ソロがある」でも「バンドがある」でも、「ある」ことを嘆く人の気持ち、いっちょん理解できん、「ない」ことを嘆くならともかく、ソロも猿も存在していて、どちらにも可能性があるのに何を悲嘆にくれることがあるのかねっていう。本当に「ない」時期を過ごしたからこそ言わせてもらうよこれは。

大阪のライヴの感想でも書いたけれど、今回のツアーのセットリストはわりと攻めの楽曲が多いので、だからこそラストの「みらいのうた」がむちゃくちゃ響く構成になってるとおもう。自分の自叙伝のような…というコメントを思えば思うほどこの曲のなんてことない歌詞がすごく刺さる。彼がそういうつもりで、自分の人生のつもりで歌ってるとおもうと、よけい刺さる。

人間いつなにがどうなってしまうかわからないし、世界もいつなにがどうなってしまうかわからないってことをこの2年間でいやというほど思い知らされたわけだけど、だからこそ少しでも長く12月28日にここでまた会えたらいいなあと思わないではいられない。それがソロでも猿でもそう思う。その日まで社会的にも物理的にも生き残って、またここでお互いの確認が出来たらいいと思う。改めて、ずっとここにいる、と宣言してくれたこと、とてもうれしいことばでした。2021年どうもありがとう、2022年もどうかよろしく。吉井和哉さまへ、あなたのファンより。