吉井和哉の作詞における人称代名詞大研究・その4

前置きはこちら。 ソロになってからの3枚とアルバム未収録曲。

11 at the black hole

全10曲、20GOと(当然の事ながら)at the black holeに代名詞なし。ソロになってからの変化でもっとも顕著なのが一人称「僕」の激減です。このアルバムでは一曲も使われていません。「俺」が4曲、「私」がSWEET CANDY RAINの1曲。二人称は「君」のみでこれも4曲と半数以下。その中でも吉井和哉特有の、ある種ねっとりした「君」の使い方というのはあまり見られないなあという感じを受けます。

12 WHITE ROOM

全11曲、PHOENIXとFINAL COUNTDOWN、RAINBOWに代名詞なし。JUST A LITTLE DAYで久々に「僕」「君」の使い方をしていますが、ここでの「君」は明らかに「20歳前に死んだ僕の親友」をさしているので過去のお得意パターンとはやはりちょっと違いますね。FOR ME NOWでは「この私になんか下さいな」「オレはまだ偽善ちゃん」と一人称が2種類登場、これも久々のような気がします。「俺」がここでも4曲。

13 39108

全12曲、なんとそのうち半数近い5曲に一人称、二人称共に登場しません。しかも1人称が登場するのは残り7曲のうちたった3曲、すべて「俺」です。「僕」は1曲も登場しません。二人称の「君」も4曲のみ。恋の花での「あなた」の使い方などはちょっと懐かしい匂いがしますね。吉井自身がもっとも出来上がりに満足しているというBELIEVEは「君を失ってしまった」と始まりますが「あなたの心に届くように」と歌っているところからするとこの曲の二人称は「あなた」と見るのが正しい気もします。

14 その他カップリングなど

MY FOOLISH HEARTはひさびさの「僕」「あなた」の組み合わせ。初期の頃以来殆ど見られませんが、しかもかなり1対1を意識した使い方で、系統的にはフリージアの少年ぐらいしか他には見当たらない気も。BLOWN UP CHILDRENでは「君」と「あなた」が登場しますが、これは文字の上だけと見る方が良さそうです。 以上でアルバム別の考察は終了。くだらない思いつきからスタートしてはいますが、結構面白い結果がでたなあと思うのは私だけでしょうか。アルバムごとにそのカラーというのは厳然としてあるわけですが、人称代名詞にもそれは少なからず現れている気がします。特にソロになってからの作詞と、イエローモンキーのsmileやFOUR SEASONSの頃の作詞は大きくカラーが異なっているのがよくわかります。39108のI WANT YOU I NEED YOUを聞いたとき、この詞の感じは久しぶりだなあと思ったのですが、それはこの曲の一人称、二人称の使い方がイエローモンキー時代を思わせるからなのかもしれません。それにしても、他のバンドや他の歌い手、創り手の方もここまで変動が激しいものなのでしょうか。ちょっと気になりますよねえ。