悲しきASIAN BOY

3rdアルバム「jaguar hard pain」収録、かつ3rdシングルでもある。

ROCK STARの全曲感想で、5枚のDVDに収録されているROCK STARを凌ぐ曲は1曲しか存在しない、と書いたけれど、皆さん薄々お気づきの通り、この悲しきASIAN BOYこそがその曲に該当する。 jaguar hard pain、Cherry Blossom Revolution、メカラウロコ7、3.10、spring tour、BONUS DISCに収められている日比谷野音のつわものどもの熱帯夜のライブ、そしてラストのメカラウロコ8live at TOKYO DOME。計7枚。 そしてさらにすごいのは、そのどれもが本編のラスト、もしくはアンコールのラストで演奏されているということだ(3.10はそのあとにSO YOUNGがあるが、年末のメカラでこの曲が披露されるまではASIANがアンコールラストの曲だった)。 まさに、イエローモンキーとイエローモンキーファンのためのキラーチューン。

jaguar hard painの世界観を表す1曲でありながら、どうしてこの曲がこんなモンスターソングに成長したのか、その経過はわからない。 だが、ライブで「暁に果てるまで 悲しきASIAN BOY!」という吉井の叫びを聞くたびに問答無用で興奮したし、それは本当に何度聞いても変わらなかった。この曲のすべてが私を熱狂させていた。普通にCDで聴いているだけでは決してわからない興奮がそこにはあった。

色んな場所でこの曲を聴いたが、しかしやはり、この曲がもっとも似合うハコは武道館をおいて他にはないだろう。武道館でやるために生まれてきたかのような曲だ。特効の火花を使えないのは残念だが、日本国旗の下で奏でられるときのこの曲の魅力は、それを差し引いてあまりある。

7枚のDVDに収められた映像を順番に鑑賞しながら、その時々で静かに、でも確実に違う何かが育っていっているのだな、というのが感じられて面白かった。相当にパワーのある曲なので、いつの時代の映像にも独特の魅力があるが、個人的にはやはり、メカラウロコ7でのASIAN BOYには格別のものがあると感じた。それは色々な要素があってそう思ったのだが、意外だったのはその次に印象的だったのがメカラウロコ8live at TOKYO DOMEでの映像だったことだ。あれは何なのだろう。曲の最初はそうでもないのに、演奏するにつれ俄然熱が高まっていっている気がする。5万人のワイパーはもちろん壮観だし、あの紙吹雪も劇的ですごくイエローモンキーに似合っているが、しかしそれだけではない熱さが東京ドームにはあったような感じがしたのだ。それはspring tourにも、もっといえば3.10にもない熱さのような気がした。

桜舞い散る九段下、電飾、イエッサー!、特効の火花、吉井の匍匐前進、「牙をたてる」パフォーマンス、走るドラム、唸るベース、鮮やかなギター。We are No.1 Rock’n Roll Band THE YELLOW MONKEY。 私の中のTHE SONG OF THE YELLOW MONKEYはこの悲しきASIAN BOYです。

ほらうしろで神様が剣をかざして待っている 夢よ飛び散れ花となれ 悲しきASIAN BOY