CALL ME

 

CALL ME

CALL ME

  • 発売日: 2018/10/31
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

YOSHII LOVINSON名義での4thシングルにして、YOSHII LOVINSON名義でのラストシングルでもある。 間違いなくソロワークスにおける代表曲の最右翼だし、公式サイトのコラムでもこのシングルによって今までかれを知らなかったひとたちにこの歌が届いたことを素直によろこんでいた。彼がその後「吉井和哉」という名前で、もうやめることが出来ない道を歩きだすことができたのは、この曲あってこそなのかもしれない、と思う。 リリースした当時はこの「CALL ME」は神様に向けて言っている、もういつでも呼んでくれていい、後悔ないようにしとくぜ、という歌だと語っていたが、のちのbridgeでのインタビューでは引退しそうな俺を誰か止めてくれ、呼んでくれ、戻してくれその陽のあたる場所に、と歌っていたんだと思う、と明かしていた。諦観と執着は実は表裏一体のものなのかもしれない。鳴らない電話を、「今日も開かない折り畳みの真実」と歌うセンスには、まったく脱帽。

この話を聞いたとき、私の脳裏によぎったのは「タンゴ・冬の終わりに」の主人公清村盛のことだ。役者としての絶頂期に突然の引退宣言をし、日本海にほどちかい自分の故郷に身を隠したこの物語の主人公は、しかし劇中で自分を呼ぶ「電話」に異様なまでの執着をみせる。 「タンゴ・冬の終わりに」は1984年に初演された清水邦夫蜷川幸雄コンビによる伝説の舞台だが、この舞台が「青春の終わりの夜、若者たちは何を夢見るのか」という彼らにとっての永遠のテーマを表現したものであることも、吉井和哉を連想してしまう要因のひとつであるような気がする。実際、2006年に再再演されたこの舞台を見たときに、私はかつて自分が心を寄せた「あの日僕らが信じたもの それは幻じゃない」と歌ったひとたちのことを思い出しもしたのだった。

最初のツアーからGENIUS INDIANツアー、Dragon Head Miracle tourに至るまで、この曲がセットリストを外れることはなかった。これからもきっと、幾度となく彼の「俺を呼んでくれ」という叫びを聞くことが出来るだろう。

何年過ぎても同じさ 人が人の上を目指し 何年先でも同じさ 「I LOVE YOU」「I LOVE YOU」が灰になる