ほんとうのこと(ば)をいえ

個人的に好きでいつも巡回させていただいている音楽系のblogがいくつかあるのだが、そのなかでクロマニヨンズのライブレポを書いて下さってる方がおり、そこで伝えられるヒロトのMCにとても心を動かされた。 もうずいぶん昔の話になるが、私はブルーハーツのライヴに一度、行ったことがある。私の地元の、ほんとうに小さな市民会館にツアーできてくれたのだ。 私の世代でブルーハーツを知らない人間の方が少ないと思うが、ライブに足を運んだのは私の好きな演出家が彼らのファンで、舞台上でよくその楽曲を使っていたのが大きな理由だったと思う。ライブがあったのは1992年のことで、それは私が当時夢中だったあるバンドが解散を発表した年でもあった。そして、ブルーハーツ自身もその2年後に活動を停止し、翌年解散に至った。 甲本ヒロトはテレビ番組でのインタビューで、常にバンドの形を変化させている彼の目指す場所は何処なのか?という質問に対してこう答えている。

ロックンロールバンドが目指す場所はね、無いんだよ。中学生でもいい。小学生でもいい。高校生でもいい。例えばホウキでもいいんだ。ギター持ってなくてさ。ロックンロールに憧れて教室の隅っこでワァーってなる。すっげぇ楽しいんだ。そこがゴールです。そこにずっといるんだよ。そっからどこにも行かないよ。それが東京ドームになろうが教室の隅っこであろうがそんなの関係ないんだ。ロックンロールバンドは最初から組んだ時点でゴールしてんだ。目的達成だよ。(Wikipediaより引用)

甲本ヒロト真島昌利の言葉は、はしからはしまで「ほんとうのことば」で埋め尽くされている。まじりけなしの言葉たち。だから、たとえばその演出家である鴻上尚史さんや、歌人穂村弘さんが、彼の言葉に「すっかりまいって」しまうのがよくわかる。どれだけ言葉を扱っていても、「ほんとうのことば」に到達するのは難しい。だからこそ、音楽にのせて届けられる彼らのその言葉たちに、惹きつけられてやまないのだろうと思う。 その16年前のライブがどうだったか、やはりもう記憶は曖昧でおぼろだけけれども、でもアンコールの最後の曲が「終わらない歌」だったことは覚えている。飛び跳ねながら、歌いながら、私はほんのすこし泣いたような気がする。


終わらない歌 / THE BLUE HEARTS / LIVE

 ほんとの瞬間はいつも 死ぬほど怖いものだから 逃げ出したくなったことは 今まで何度でもあった