いちばんいいひと

ついこの間あったかくなったのにー、と思うまもなく今日は極寒。 でもこの春先の寒さ嫌いじゃないなー。むしろ好きだ!それは私が寒いのが好きだからだろうと言われたらそれまでだがなんつーの、春と冬のおしくらまんじゅうみたいでかわいいじゃん。いやそんな実にそぐわない喩えしてどうするって話ですが、ともかくこの緩んだ空気をきりきりとしめつけるような冬将軍の名残り、私は大好きです。 いくつか業務連絡。

 

★メカラウロコ20の完全版が今度はフジテレビONEで放送されるようです。 3/26(金) 21:00~22:50 吉井ちゃんと民生せんせーの釣り番組も4月から始まるし、ONEも必須かこれは(笑)

 

吉井武道館BSフジで放送! 3/21(日) 17:00~18:55 BS組のみんなお待たせ!私も実家に録画頼む!(聞いてない) あと業務連絡ではありませんが、サイドバーについったーのウィジェット表示させてみたりしましたなう!(なう言いたいだけ)

 

さて吉井和哉様の一連の太宰治に関する更新、最高でした。なんという三段落ち。「人間失格」は今読むとまったく違った目線で楽しめる本ではありますが(ある意味ツッコミどころ満載)、吉井ちゃんの感想知りたかった気もするなー(笑) 私は太宰治の作品でいちばんすきなのは「トカトントン」という短編なんですけど、この文春文庫のやつには主要4作品(斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス)のほかにそのトカトントンや、これも私のお気に入りの「富嶽百景」、そしてもうひとつ大好きな「駆け込み訴え」が収録されていてお得感満載です。とりあえず有名どころ読みたい!ってひとにはALL IN ONE仕様かと。

太宰治はそれほどフェイバリットな作家、というわけではないんですが、でも、しつこく愛される反面とことん嫌われることも多い、というあたりもなんとなく吉井と通じるものがあるようなないような、あったりなかったりのエブリデイ。 ちょっとおまけで、太宰治の書いた恋文を最後にご紹介。わたしはこの彼の書いた恋文がすごく好きで、最初に読んだときにはうおおおおおい!と意味もなく叫んだものである。とにかく出だしの二行と、そして最後の一行がすごすぎる。そしてトドメ。こんな文章、私が百回生まれ変わったって書けやしない。「恋愛でもしようかと思って」のあたりとか、うひひ、と笑いながらも胸にくるものがあるなあと思います。何度読んでもため息が出る。名文です。

一月十一曰青森県金木町津島文治方より

神奈川県足柄下郡下曽我村原大雄山荘太田静子宛 拝復

いつも思つてゐます。 ナンテ、へんだけど、でも、いつも思つてゐました。

正直に言はうと思ひます。 おかあさんが無くなつたさうで、お苦しい事と存じます。 いま日本で、仕合せな人は、誰もありませんが、 でも、もう少し、何かなつかしい事が無いものかしら。

私は二度罹災といふものを体験しました。 三鷹はバクダンで、私は首までうまりました。 それから甲府へ行つたら、こんどは焼けました。

青森は寒くて、それに、何だかイヤに窮屈で、困つてゐます。 恋愛でも仕様かと思つて、或る人を、ひそかに思つてゐたら、 十日ばかり経つうちに、ちつとも恋ひしくなくなつて困りました。

旅行の出来ないのは、いちばん困ります。 僕はタバコを一万円ちかく買つて、一文無しになりました。 一ばんおいしいタバコを十個だけ、けふ、押入れの棚にかくしました。

一ばんいいひととして、ひつそり命がけで生きてゐて下さい。 コヒシイ