聴く者を酔わせて止まない

エレファントカシマシ@日比谷野外音楽堂レポートです。セットリストはEKDBさんのほうでどうぞ

なんだかもうエレカシ野音はチケットが取れるかどうか(FCの優先で当たるかどうか)ですべての集中力を使い果たしているような気がします…とりあえず今回は無事当たってしかもかなりいい席でした端の方だったけど!おじいちゃん(渋谷さん)見かけたわー、エレカシのライブでおじいちゃんに良く会うわー。

照明が入ってまず最初に出てきたのがトミ、成ちゃん、石くんの3人だけで、成ちゃんがベースラインを弾き始めた瞬間に「わあっ」という歓声があがってました。いっぱつめに「歴史」!聴けば聴くほどすごい歌詞だよなあ。

ステージには蔦谷さんのキーボードもセットされていたんですけど、途中までは4人だけのステージでした。でもこれがすごくよかった。私は蔦谷さんとヒラマさんのサポート大好きですけど、それとはまた別の良さがありますよね、当たり前ですけど。シンプルで、ごつごつした感じ。中でも「勉強オレ」は嬉しかった!ライブで聞いたことないっていうのもそうですが、もともとこういうリフでガシガシ聞かせる曲が大好きっていうのもあるし、「言い訳弱体卑屈妄想祈り怠惰退屈無知」ってところがたまんない!始める前に俺と石くんのギターを聴いてくれ、って言ってましたけどホントかっこよかったです。

無事なる男を歌い終わったあとだったかな、「いいこと言ってっから笑っちゃった」って言ったのがいやー宮本だなーってなんだかフフフとわらってしまいました。「太陽の季節」から全員揃ってたと思うけど、2曲ぐらいでこんどは宮本ひとり、メンバーもみんなはけて宮本の弾き語りタイム。

宮本がギター一本で聞かせる曲なんてもうほぼ例外なく私のツボなんですけど、丹下さんが見たことのないギターをもってきて「ドブロギターっていうんですよ」「これを録音したときに使って…」「すごくいい音がするんですけどね(つま弾きつつ)でもあんま変わんないか?←この辺が先生ぽい」「でもこのギターでみんなに聞いてもらいたいので」。曲は「月夜の散歩」!!きゃうんきゃうん!大好き!きゃうんきゃうん!正直、時々音があやしいときもあったけど、それはまあね!

弾き語りで2曲聞かせてくれたんだけど、宮本のギターの音だけになると、あらためてこんなに虫が鳴いてたんだなーってことに気がついたりして、やっぱり野外ならではの時間だったなと思います。そういえば宮本が散歩の話をしていて、最近は昔ほど散歩をしなくなった、なんであんなに美しかったんだろうな…いや、今でも美しいんだろうね。見てる側の人間にこう、邪気がね!なんて言ってたなあ。

「ライフ」から「秋~さらば遠い夢よ」やってくれたの嬉しかったな~、すいませんライフわりと好きなんです私…すいません(なぜ謝る)。宮本、この日は高音がちょっとつらくって、ハローNewYorkの後半つらそうだったのがちっと惜しかった!

風に吹かれてをやったとき、これで風が強くなったりするんだよね、とか思ってたらほんとにさっと一陣の風が吹き渡ったのが印象深い。あと、新しい季節へキミとってすごいアンセムだなあというか、いい曲…ですよね(なにを今更)。いやなんか、唐突にものすごくこみあげるものがあったんですよ。なんつーかね、ぐっときた。うん。

本編ラストはまた4人に戻って「男は行く」。宮本が最後吠えるようにいった、なんでもいいから行け!って言葉がすごく心に残ってる。宮本はこのあと何回もそう行っていた、なんでもいいから、とにかく、と。

アンコール、ほとんど待たせずに出てきてくれてた気がする。そして、イントロを聞いて飛び上がりました!野音でもっとも聴きたい曲と言っても過言ではない「武蔵野」!声もよく出ててすごく良かったな~、あーよかった、武蔵野が聴けたしもう言うことない、と思っていたんですこのときは。

次の生命賛歌、宮本はギターを最初弾いていたんだけど、チューニングなのか音のバランスなのか、早々にもどかしそうにギターをはずして投げ捨てると、ステージの中央、アンプの前まで出て猛然と客を煽りだしたのだった。エレカシのステージではめずらしく、ほんとにめずらしく石くんと成ちゃんが前に出て、しかも石くんが下手に、成ちゃんが上手に出てあの激しいリフを淡々と、しかしひたすら熱く弾き倒していて、なんだかその構図自体がくらくらするほど新鮮で格好良かった。そしてその中央で真正面を射貫くような目で歌っていた宮本は、本当に、本当にもうただただカッコイイ、それ以外の言葉なんてなんの意味があるのかと思うほど圧倒的だった。あんな感覚久しぶりに味わった。

アンコールのラストで「友達がいるのさ」。宮本の「おい、おい」という声に観客の歓声がかぶさるほど反応が良くて、私も野音で聴く「友達がいるのさ」が大好きなので文句なく嬉しかったです。「明日もまた出かけよう おまえらがいるから」って歌ってくれてたなあ。そしてここでも「なんでもいいから」って言っていた宮本先生。

ダブルアンコールで出てきてくれた時点でもうそうとう疲労困憊、といった体だったんだけど、それでも歌い始めると声は全然出るし、ファイティングマンは何度聴いても胸熱だし、十分満足していたのだけど、それでももう1回のアンコールを要求してしまうっていう…出てきた宮本がマイクスタンドにぐったり寄りかかったときはあああっごめんごめん強欲でごめんごめん!と本当すまない気持ちになった…。いや先生もバテてるってわけではないだろうとおもいますけど、それでもまあ「足りる」ことを知るのも大切だよね私…とちょびっと思ったりしました。そりゃ1曲でもたくさん聴きたい!って思いますしそれも偽らざる気持ちなんですけどネ!

1回目のアンコールで出てきたときだったかな、「この優しさいっぱいの空気はなんだ!」って宮本が言ってたけど、やっぱりこの野音は見に来る人も前のめりな気持ち、楽しもう、エレカシと特別な日をつくろう、という気持ちでいるひとで占められているわけで、やっぱり濃密な空間だったなーと思うし、だからこそやっぱり「日比谷で!」って思ってしまうんですよねえ…(そしてますます激戦になっていくチケット…)

ともあれ結成30周年、22年目の野音、まさに日本のロックバンドとして前人未踏の域に入りつつあるんじゃないかという気がしますが、そんな泰然自若感がどこにもない、いつだって焦燥し、足掻き、戦う青年のようなバンドであることこそ奇跡なのかなあなんて。お疲れさまでした、そして来年もきっとあの場所に行けますように!