左のポッケにゃ夢がある

いつもだったらこっちに書くようなことなんですけど、ネタ的にこっちか、な!というわけでだらだら長文をあげてみる。 先月の26日、第三舞台紀伊国屋公演初日を観るために新幹線で一路東京に向かったワタクシ、二人掛けの通路側席に腰掛け、いつもだったら床に直置きすることも辞さないのですが、その日ばかりはなにしろバッグの中に命の次に大切なチケットを持っているということもありなんとなく手元をすっきりさせておきたくて、着替えの入った手提げかばんとニットのコートを棚の上にあげたのです。ほどなくしていつもの如くぐーすかぴーと寝息を立て始めたわたくしは、しかしうつらうつらと目を覚ますたび隣席のおばさまがずっと同じ紙を見ているのが気になってもいた。チラ見するとそこには東京駅から水道橋への乗り換え方法が書いてあるのである。水道橋といえば東京ドーム…と思いながらまたうつらうつら、そして次に見たときに目に飛び込んできた写真を見て、その瞬間すべてがつながった。そう、そこにいたのはチャン・グンソクその人(の写真)だったのだ!そうか!私のtwitterのフォロワーの方に何人か軍足、いやさグンちゃんのファンの方がいて、そーいえばドームでうなぎがどうとか言っていた!なるほど!読めた!つまりこのおばさまはグンちゃんのファンで、おそらくはあまり(もしかしたら初めての)遠征なんてものをしたことはなくて、でも彼を想う余りひとりで一路東の都にむかっているというわけだ!おおおお! 距離に負けるな、好奇心。 を旨とするワタクシ、そしてヲタクという意味では完全なる同類項のワタクシ、俄然おばさまをバックアップしたい欲求に駆られたワタクシのこの熱い目線というかオーラというかそういうものに果たして気がついたのか、品川も過ぎもうまもなく東京に着こうかというところ、そのおばさまの方からわたしに話かけてきたのである!我が意を得たり、とはこのことか、皆まで言うな、心得ておる、なんてことを独りごちながらそのおばさまに懇切丁寧にドームへの行き方を指南して差し上げ、やー一日一善、今日も元気だご飯がうまい、さあ決戦は新宿紀伊国屋!いざ!中央線!とホームに着いたときに気がついた。 てさげかばんを たなのうえに おいてきました サーーー(血の引く音)。ちょちょちょちょっとまったああああ!なんなのこれなんなの、ホテルの予約を間違えたのみならず(ここ参照)、こんなことがこんなことが、こんなことがあっていいのか!とか言ってる間に探しに行けよ!ぎゃーー! 勝手知ったる東京駅、とりもなおさず自分の通った改札まで走って駅員さんに聞いてみる。かくかくしかじか、何時何分東京駅着ののぞみ何号の何番の棚の上です!少々お待ちください確認してみます、と駅員さん。大丈夫そこに忘れたのは間違いない、しかも到着してからまだ10分も経ってない、あるあるあるある絶対ある、もちけつ私!しかし程なくして現れた駅員さんの言葉は無情だった「届いてないみたいですね」。 えっ、と声に出してしまった私に駅員さんがこの「忘れ物承り所」というところで聞いてみてもらえますか、と紙を差し出す。ともあれお礼を言って東京駅の構内を走る走る俺たち、いや俺。そこではこんなところにいるより縁側でネコ抱っこしてるほうが完全絵になるぜ、とでもいいたくなるようなおじいちゃまがヒーターの前にどっかと座っており、気の急く私にこれ以上ないぐらいのんびりとえ~~~~~~~~~~~新幹線の忘れ物ですか~~~、え~~~~のぞみの、え~~~~~何号の、え~~~~… なんなのこの試される大地! 所定の用紙に必要事項を記入ししばし待つ。その間私の考えていることはひとつだった。手提げかばんの中に入ってるのは着替え類と化粧ポーチ、それらはべつになんとかなる、しかし、しかし、もうひとつ、ものすごく大切なものが入っていたのです!それはお友達に頼まれて購入し、翌日お届けにあがる予定だった吉井和哉ダチョウ倶楽部のマサユメ!!それが!!あの!!かばんの中には!!!入ってるンダヨオオオオ!!! もし見つからなかったら土下座だな…(いやそんなことで怒るようなコじゃないし)さすがにもうどこにも売ってないよね…いざとなったら自分のを彼女に…(いやだからそんなことで怒らないし以下略)。なんてことをぐるぐる考えていた、そして思った、ホントなんなんだろう、ホテルの予約間違えるとか新幹線に荷物忘れるとか、遠征生活長いけどこんなやったことないわ!もう誰か見えない力が第三舞台と私を引き裂こうとしてるに違いない!(違うし!) そんなところに先ほどのおじいいや駅員さんが戻ってきた。どきどき。どきどき。「あーーやっぱり届いてないみたいですね~~~」 _| ̄|○ ○| ̄|_ (リアルこのポーズ) 「あのね~~~、ここに当日の忘れ物が全部集まるのがね~~え~~~~~~とあしたの11時だから~~~~、そのときにね~~~~この紙をね~~~~持って」ああああもうわかりました!と言おうとしたその瞬間。「○○○号のピンクのかばん!届いてるってよ!」 こ の 世 に 神 は い た 神の正体は同じぐらいおじいいやお年を召した駅員さんで、神は天上遙か彼方ではなく衝立の向こうにおわしたのであった。南連絡改札口に届いたって連絡あったからそこまで取りに行って、入場券出すから、と神のメモを受け取り、またも走る走る俺。南改札で「忘れ物」の「わ」を言おうとした瞬間「あーピンクのかばんの!こっちに来てもらえますか」話早い!ありがたい! そして、忘れ物を引き取るとき、経験のある方ならおわかりだと思うが、必ず「中身の確認」というやつをやるのである。中に入っているものがなんなのか、持ち主ならちゃんと答えられるはず。中には、中には、茶色のポーチと、化粧品の入った小さいバッグと、そして、そして、そして… 吉井和哉さんの正夢が…!(OH!ポエティック!) さっきまでモノの話をしてたっつーのに何いきなり概念持ち出してんだこの女、みたいなことは微塵も顔に出さず、駅員さんは「この袋ですかあ?」とタワレコの黄色い袋を見せ、そうですそれですCDじゃなくてプレイボタンってやつなんですけどあっでもボタンじゃなくてそれ自体がプレーヤーっていうかそんで正夢っていうのはあのドリームズカムトゥルー的なあれじゃなくていや吉井さん的にはそうなんですけどこの場合単なる商品名なんですええ、と口をついて説明しそうになるのをぐっとこらえました。ちなみに「その袋の中には吉井和哉さんの生首(のチラシ)が」とは言いませんでした。言えませんでした。ありがとう、俺の理性。 ちなみにマサユメのことばっか気にしてたけど、かばんが戻ってきてみたら私その中に家の鍵入れてました。家の鍵より正夢が大事か。お前のヲタ心に乾杯。 このドタバタ劇がリアル果汁100%でできてるっていう事実と、かばんを忘れたショックに動揺しながらも駅員さんにかばんの中身を説明してるとき「これ、ネタに、なる」とか思ってる自分が確実にいたってことにじっと手を見る今日この頃です。