積もうね 積もうね

9.11ということで、吉井ちゃんがモバイルでTALIの話をしている。

吉井ちゃんも文中で触れているけれど、TALIはCCCDでのリリースだった。べつに吉井ちゃんがCCCDに積極的だったとかではなくても、あのときEMIからリリースされたCDはほぼCCCDだった。次のシングルのSWEET CANDY RAINはすでにCCCDではなかったので、吉井ちゃんなりのそれは抵抗があったのかななんて思ったことを思い出す。そのCCCDも、いまや時代の遺物となっているんだから時の流れってやつは不思議だ。

TALIで思い出すのはその初回限定盤が赤いカラーのパッケージだったことと、もうひとつはat the BLACK HOLEのこれも初回限定盤についていたDVDの中で、吉井ちゃんが「TALIがかっこよくなったよ~」と言いながらはしゃぎ回っているシーンのことだ。ばっかじゃないの、と私はつぶやきながらその実めちゃくちゃニヤけた顔でそれを見ていた。そしてそれを見ているうちに、おんおん泣いてしまったことを思い出す。

なんで泣いてしまったのかはもう覚えてない。かわいいと思ったのか、セツナイと思ったのか、ここまできてしまったと思ったのか、うれしかったのか、かなしかったのか。覚えていないけれど、机に突っ伏してしばらく顔をあげることが出来なかったことは今でも鮮明に覚えているのだ。積もうね積もうねベイビーアイラーブ。いろんなものを積んでいくっていうのはこういうことなのかなーなんて今になれば思う。

今年の夏のサマーソニックで吉井ちゃんが幕張・大阪ともに天気雨と見事な虹をつれてきて、これがホントのレインボウマン!虹を自在に操れる!とか言ってみたりもしたわけだけど、吉井ちゃんがモバイルで書いた「あの悲しい夏から」の文字に15年前の夏を思い出してしまうのも、やっぱり「積もうね」の結果なんだろうなあ。

サマソニ当日は、天気予報サイトの雨雲レーダーで穴があくほど千葉方面を凝視してみたり、現地に行っているひとのツイートにどきどきしたり、家を出てからもずっとツイッターで「吉井」を検索しまくっていたりして映画を見る前に充電が切れたりしてなにやってんだか、だったわたしでした。あんなに自分が足を運んでいないフェスの動向を追いまくったのは久しぶりだった。そんなに気になるならいけばいいのにーって話ですが、いやそれはいろいろあるんです、大人だから。でも前日にツイートしたように、私が「行けばよかった…!」って身悶えするようなアクトになりますようにって心から祈っていたし、それがほんとうになったことが何よりもうれしかった。

雨の心配をするのも、それで客のテンションが、ってこともだけど何より吉井自身がそれを気にするんじゃないかとか思ってしまうし(だって心が晴れてると天気も晴れるね、とか言う人なんだもん)、15年前のことなんて、そんなに気にしてるのファンだけなのかもなーとか思ってたら吉井もラジオでそのことに触れてたりミッチさんも「フジの悪夢」とか書いてるし、なんなんだろう。あの15年前の夏って、なんだったんでしょうね。

持てる武器を全部使って、泥くさく戦ってきてほしい、とサマソニが決まったときのエントリで書いたけれど、JAMか、ラブショーか、すくなくともそのどっちかはやってほしいと心中ひそかに思っていて、それを吉井ちゃんがきっちりやってくれたと知ったときのあの感情。そして「虹が出たよ」というたくさんの観客のツイート。

江戸の仇を長崎で、じゃないけれど、15年前に見たかった風景って、これだったのかななんて、思ったりしました。

いや、でも、15年前があるからこその感慨でもあるんだろうな。たくさんのツイートのなかで、吉井さんは今までいっぱい降られてきたから、虹を出すことができるんだねって書かれていたものがあって、チクショーうまいこと言うじゃねえかよ、でもそうだ、雨だったり汗だったり涙だったり、いっぱい流してきたからこその虹なんだよなあ、きっと。そう思うと、あの悲しかった夏の日までが、まるでよかったことのように思えるから、時の流れってやつはほんとうに不思議だ。