はしれ、ノスタルジーよりも早く

どういう順番でみようかなーと迷いつつ、とりあえず見られるぶんだけ見ていこ!と思って最初に本編特典映像→映画本編→もっかい特典映像→アストリア、の順で見ました。まあ映画の方はね!2回映画館で見ていてここにもウザイ長文を書き散らしましたのでこれ以上何か言ってもな、っていう。
特典映像は北見のWELCOME(映画の中で「10年前からやってます。遅れてすいません」ではじまるやつね)のフル、そしてノッティンガムでやったBULB、それから3.10の「悲しきASIAN BOY」。ほかにも3.10の楽屋の映像とかメンバー4人の最新映像とかです。

北見のWELCOMEはもう、たとえ特典映像がこれだけだったとしても、私は買うよ!というぐらい、あの当時の彼らのかっこよさが、特にエマのかっこよさがぱんっぱんに詰まっていて必見です。あと、映画のために4人で集まって、シリアスな話も出たのかもしれないけれど、ひたすらにボーリングに興じる今の4人のキュートさ爆発しているさまもほんとにたのしい。なんでこんなにかわいいのかよ。孫かよ。

しかし、なにも特典映像で3.10のASIAN選ばなくてもよくない!?と見る前はそう思ってました。だって、せっかく、いろんなところの映像をさらってくれたのにさー。でも、違ったね。もし、DVD買ったけど、なかなか見る時間がない、というのなら、このASIANだけでも(と北見のWELCOMEだけでも)見て欲しい。DVDになっているものとはもちろんまったく編集が違いますが、それだけではなく、この曲が終わった瞬間の彼らの表情は、約2時間の映画よりももしかしたら雄弁にこのツアーを物語っているような気さえします。壮絶、いや、凄絶です。でも、私が欲しているものは、きっとこういうものだったんだよなあ。残酷なファンで、ほんと申し訳ない。

さて、初回限定特典ディスクのアストリア!吉井さんが雑誌のインタビューで「見返してみたらベストテイク」「イェー!ってやってるロックスター吉井和哉の最後のステージ」とか言っていて、またほんとお前の後出しじゃんけんいい加減飽き飽きした、とか思ったり(吹き出す本音)。でも、これも、実際見たらそれもどうでもよくなった。最後か、最後でないかなんて知らないけれど、だってかっこいいもの、これ。

パンチ47の企画の時にも書きましたが、ここでようやく「間違いねえな」「クズ社会の赤いバラ」がDVDとして保存できることになったのが心からうれしいですし、実際見てみたら「結構格好良かったしDVDに残らなかったの残念」みたいだったのが

これを!このまま!埋もれさせておくつもりだったとか!マジで!末代まで祟るし!

ぐらいのテンションになってます。ええええもうなんだこのかっこよさ。あとようやく3.10以外の「パンチドランカー」が見られるのも嬉しかったなー。しかもそのあとZOOPHILIAだもん!カメラのスイッチングもわりとせわしないところがあったりするのに、ほんとすごいですねTHE YELLOW MONKEYの画力。だれをどう切り取ってもかっこいいときてる。

天国旅行のアレンジもパンチのホール仕様で、そうだ途中に吉井の台詞っぽいの入ってた…!とか急速に思い出したりしました。っていうか長いツアーの真っ最中だけあって、パンチのツアーの楽曲のこなれ具合ハンパない。

それほど長尺のライブでもないのに、きっちり彼らのセオリーに持ち込んで、最後に大爆発させて終わるあたり、ちゃんと「ライブをフルで見た!」という満足感がありますね。

15年前の映像なのに「懐かしい」とか「この頃はよかった」とかよりも「かっこいい」って思うし、逆にもうそれしか思えない。このあとの彼らの顛末とか、バンドはついには、とか、これをもう二度と見ることはできない、とか、解散したバンドに纏わるどんなノスタルジーやセンチメンタリズムよりも、「かっこよさ」の速度が速くて、速すぎて、見ている間はもうそれしか考えられないの。かっこいい、私にとってこんなにもすみずみまで劇的でかっこいいバンドってほかにない、そのことしかもはや考えられない。

それぞれの人の真実はどうあれ、ほんとうはこっちなんだよ、って見ながら思ったなあ。吉井和哉の、菊地英昭の、廣瀬洋一の、菊地英二の、そしてスタッフそれぞれの人の真実を描いていたのはパンドラの映画だったかもしれないけれど、「THE YELLOW MONKEY」ってバンドの「ほんとう」はこっちだし、ステージの上にしかきっとなかったんじゃないかっておもいます。

15年後に見ても、まったく色褪せない、かっこよさだけをくれるライブだし、DVDでした。そういえば解散したときは、こうして彼らの新しい映像をまた見る、なんてことはもう出来なくなるのかなんてさめざめとしたもんでしたけど、解散から10年経ってもこうしてあの頃の知らない彼らを見られるなんて、ほんと望外の喜びでした。