THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016@横浜アリーナに行ってきたのよ

或いは私はいかに心配するのをやめて横アリを愛するようになったか。

 

YOKOHAMA SPECIALと題された追加公演。この題目しかり、THE YELLOW MONKEYにとっても特別な場所だの、聖地だのと言われて、心がざわめかないものがいるだろうか?いや、いるかもしれないが私の心はめっちゃざわめいてました。発表になって以後、ある意味ここが私の今ツアーの山場のひとつでもありました。

 

2日目には中継が入ったので、目にされた方も多くいらっしゃると思うし、具体的なMCなんかはレポもたくさんあがっていると思うので、ってそうなると自分が自分がの自分語りに終始してしまいそうな恐怖感を今から感じますが、どうぞご容赦頂きたく。

 

この前の神戸のMCで、横浜と福島はちょっと意味合いの違うものになるので、この形態では神戸と札幌が最後…みたいなことを言っていたので、当然横アリに関係のある楽曲を中心にするんだろうと思っていましたし、だとするとオープニングは?予想していたのはFIXのRAINBOW MANか(あの脳の幕があったらどうするー?きゃっきゃっ)パンチのパンチドランカーか(カウントダウンのあとオマルが流れてきたらどうするー?きゃっきゃっ)なんて予想をしていたんですが、いや待てそうは言ってもオープニングはいつも通りの可能性もあるんぞ…?などと興奮する自分を諫めてみたりして忙しかったです。

 

なので、いつものカウントダウンのあと、暗転し、そこにあのRAINBOW MANのイントロが流れてきた瞬間、思わず友人と抱き合いました。そしてステージにはあの映像。幕見て!見て!と叫んでまた抱き合って泣きました。泣きましたとも。でもってアニーのカウントでバーン!と照明が入ってモニタが見えた瞬間、エマーー!!ダブルネックーー!つってまた泣きました。Dメロのところでステージの上で胡座をかく吉井。なんなんだよこの自分完コピ!そして私の大好きな「外野のノイズは殺せ」であの手でクビを掻き切る仕草、ありがとうございます、ありがとうございます。もはや泣くのを通り越して拝む勢い。

 

2曲目ROCK STAR。はあああああ。2曲目にこれ!この位置!パンチと一緒!!そしてオープニングからライブのボルテージと会場の温度を確実に上げる仕事師の貫禄!もういつだってROCK STARに抱かれてもいい、そう思う私だ。頭はー!で吉井が頭ぐっと掴むのもすごくいいよね…!続いてサイキック№9。うんうんやっぱり神戸でのご披露は横アリ見据えての選曲やったのやね…とか浸ってる場合ではない、SPRING TOURのときはまだ発売されていなかったこの曲はツアーで初お披露目だったのだ、タイトルなんだろうね、アドレナリンリンじゃないよね、とかアホなことを言って喜んでいたことを思い出す。いやほんとこの曲に限らず、この日はそういう興奮とノスタルジーが交互に押し寄せてとんでもないことになっていた(私の心が)。

 

最初のMCで吉井がふと、「なんか、いきなりぐっときてしまった…」とか呟くから、こちとらぐっときてるどころじゃねえよおお!などと思ったり。いきなりテンションMAXになったせいなのかどうなのか、1日目は白いジャケットをお召しだったのだけど、早々に脱いでらっさいました。それでねえ、横浜は吉井もちゃんとおニューの衣装だったじゃない?(鶴ちゃんも今までずーっと判で捺したように花柄と黒を交代で着てたのに、中継はおニューの衣装だった)1日目の黒いシャツもよかったけど、2日目の白地に赤い花のやつほんとよく似合ってた。よかった。シャツ時代戻ってきてよかった。今もう当たり前にインナーなしでシャツ着てくれてるけど、インナー着てシャツ羽織ってって時代結構長かったよね…!ってこんな話してたらこのレポMAJIで終わらない。ジャケット脱いだあと、4曲目のTVのシンガーのとき、左手の袖をまくりながらMCしてたんだけど、まー黒地に白い肌映える映える。袖まくる仕草美味しいですもぐもぐもっとくださいもぐもぐ

 

TVのシンガーをやったので、個人的にはこのまま、あれが、くるのか、どうなのか、って曲の後半かなり挙動不審になってしまったんだけど、曲終わりでそのまま間髪入れず続いたのはやっぱり、ゴージャスでした。うああああああん。友達と手を取り合ってぴょんぴょん跳ねて、泣いて、跳ねて、あーほんと…どうしようもなく泣けた。またあの途中で入るご当地のコールのとこ、吉井の「ヨコハマーーーーー!!!!」があの頃のまんまで、まんますぎて、こんなに寸分違わず同じ間合いでできるものなのかって思うぐらいで、そんでもうどうしようもなく涙が止まらなかったです。

 

ゴージャスはパンチドランカーツアー113本のすべてで演奏された曲で、このTVのシンガーから繋がるアレンジはアリーナツアーでの文字通り再現で、私はなによりもこの曲にいちばん引き戻されたし、私にとっては2日間通じてもっとも「思い出深い瞬間」でもありました。

 

Tacticsのあと、いつものメニューならエマのギターとなるところで、ギターを持った吉井を青いライトが照らしたので、ああ、天国旅行だな、と思いました。横浜アリーナ、ということでチョイスされる曲だろうと思っていましたし、FIXのツアーでもっとも印象深い曲といってもいいぐらいだものね。しかし、これはソロでも1回だけやっていて、そしてその時のことをすごくよく覚えてるんだけど、沢山バンド時代の曲をソロでも聞いたけど、あの時ほど吉井和哉という人がTHE YELLOW MONKEYというバンドの天国旅行という曲をやっている、というふうに感じたことはなかった。それがなぜなのかはよくわかりません。久しぶりに聴いてもめちゃくちゃパワーのある曲で、言ってみれば積んでいるエンジンが違うとすら思う。まだその楽曲のパワーを御しきれてないというか、楽曲に引っ張られている感じもあったかなあ。途中でアニーのカウントが聞こえるんだけど、その間合いも声も懐かしくすとんと胸に落ちる感じ、楽曲というのはこういうディティールが思い出になって刻まれていくんだよなあなんてことを思ったりしました。

 

続いて創生児!ぎゃおー!これはFIXもSPRINGのも印象的だったもんね。最初に「占い神頼み相談どれも全部試した」ってところで、中継ではちょっと切れちゃってるんだけどSPRINGでやっていたあのカードを順にめくっていく仕草をやっていたので、吉井さん的にはSPRINGのものが印象深くてチョイスしたのかもしれない。中継の時はちゃんとしてるけど、1日目は弟のほうがいきなり「キキマシタカイマノナキゴト?」みたいなカタコト外国人的喋りで入ってきたのでコラ!和哉!なんばしよっと!明日それをやったら承知せんからね!とか思っていたのでよかったです。なんだろ、照れが入ったのかな。照れてどうする。あと最後がちゃんと「弱いやつはバチが当たる」とひどいことになってるのもそのままでよかったです。1日目も2日目もアウトロで吉井がなんか言ってたんだけど、友人の1人は「スットコドッコイ」って言ってるよねと言い、もう1人は「愛してます」って言ってるよねと言い、なんなのこの振り幅…と震撼している次第。

 

ホテル宇宙船、花吹雪とツアーのメニューにも入っていた楽曲が続いて、つまりとんだSICKS祭り状態。ほんとSICKS大好きなのな!な!私も好きだよ!っていうか、ここまでTacticsはかろうじて両A面ではあるけど、シングル曲なしという硬派選曲。それが今までのツアーのメニューといちばん違うところだと思うけど、ドカーンと盛り上がるパーティチューンももちろんいいけど、こういう重い球も持ってますよっていうのがホントこのバンドの魅力だよなあ…としみじみ。

 

空の青からはツアーのメニューと一体化する感じでしたね。そうそう、1日目の空の青のとき、魂が虹のトンネルを…で吉井がぴたっと歌うのをやめて、2小節(ハイスピードで駆け抜けていくのさ)歌わず、そのあとやおら曲は止めずに何小節か戻って歌い直したんですよ。なんか、最初の入りがずれたかな?とは思ったけど、何が違ってるかってまったくわかんなかったし、しかもつるっと戻って歌い直した(戻るってかなり難しいと思うんですけど)ので、今いったいなにが…状態でした。モニタで吉井の顔抜かれてたけど、シンガロング託すようなところでもないし、いやほんとあれいったいなんだったんでしょうか。いずれにしてもメンバーは吉井に瞬時に合わせたと思われる。かっこいい。

 

2日目の空の青はでも、個人的には満点!って感じでよかった。あのマイクを望遠鏡に見立てる仕草めっちゃ好きだし(どうやっても劇的にならざるを得ない、さすがだぜ)、アウトロで吉井が背中を向けてアニーのドラムをどんどんどんどんどん煽るのがめっちゃかっこよかった!エマのスライドギターもいつも以上の美しさ。言うことなし。

 

1日目、空の青のあといつもだとメンバー一旦捌けてってなるところそのまま残ってて、しかも吉井が短い煽りで「もっと見たいぜー!」的なことを言うので、あっ見てないようで見てるかなって思ったらALRIGHTで、皆ペンラ出すのに大忙し!吉井の準備~?の煽りにも応えきれず!みたいなことになったのを反省したのか、2日目はちゃんと、今日はこの会場の思い出深い曲で構成してるけど、名刺代わりに1曲作ってきたんでー!と前振りをやっていて偉かった。やっぱりアジャスト能力高いですね。

 

SPARK、2日目は吉井が上手の花道から降りてずんずんずんずんアリーナ前の通路をかき分けて相当後ろの方まで行っていた!アリーナのAブロックで見ていたので、吉井の頭が見えては消え見えては消えって感じだった。あれたぶんアリーナ最前列は関係者席なのかな?1日目がセンター席のいちばん端だったんだけど、関係者席っぽいなと思ってはいたんですよね。あとで「うしろのほうあんな風になってんだな!」って言ってたのかわいかったです。

 

SUCKは両日ともあっさりめだったかなってもはやなにがあっさりなのかもよくわかりません。充分濃いよ!メンバー紹介を鶴ちゃんから初めてたのも新鮮だったわ…。1日目にアニーが着ていたタンクトップを、なんだそれは、赤ちゃんの水着かって言ってたのがめっちゃおかしかったんだけど、中継見てみたら2日目にアニーが最初に羽織ってるシャツのセットアップなんじゃないのアレ?っていうかアニー1日目と2日目でセットアップを中身入れ替えて着てるんじゃないの?なして…なしてそげなことを!ヒーセのこと叔父だとか野鳥の会会長とかロックンロールゴリラも久しぶりに飛び出したりしてぎゅうぎゅうに要素詰め込みながら、1日目も2日目も最後に「命の恩人」つったのにめっちゃぐっときた私だよ…ううう…泣ける話やで!

 

バラ色の前のMC、2日目のは自分で「ドラマティックにしようとしてすぐ話が長くなる」って自嘲してたけど、でも中継だからこそ、ぜんぜん知らない人も見ているかもしれないからこそ、こういう話貴重だしよかったなって思います。横アリはバンドにとっても吉井にとっても、到達した場所であり、苦闘した場所であり、奮起した場所であるということなんだろうと思う。武道館に較べれば、やっている本数は少ないけれど、そういう象徴的な公演にいつもこの場所があったということなんでしょう。

 

しかし、横アリで見るASIANはやっぱりいいですね。あの特効が遠慮会釈なくブチあがるのがいいし、あの大きな会場があの楽曲に飲み込まれる感じもすごくいい。2日目のとき上手の花道に来た吉井が唄いながらネクタイむしり取ったとこ最高でした。最高でした。下手の花道で牙を立てる、のときにボタンがひとつはずれてむきだしの胸をさらけだすように歌ってたのも最高でした。

 

アンコール1発目は1日目も2日目もパール。やっぱりあのバックの映像すごくパールに似合っててかっこいい。吉井が最初に「絶対に負けんなよーーーー!!」って言ったのもすごくよかったです。横アリ1日目と2日目でセトリ違ったのはこのあとのBURNとラブショーだけでしたね。つまり中継日に初出しになった楽曲はなかったわけで、そのあたりは大人の判断というか、万全の態勢で!って感じだったのかなー。2日目のラブショーのとき、エマとアニーが顔見合わせて首をフリフリするのお約束だけど、最近それにヒーセも加わってて、アニーはエマとヒーセを交互に見てフリフリしてて、この日は吉井が完全にアニーの方向いてお尻をフリフリしてて、絵に描いたような幸せなバンドの光景だよなあって、4人とも楽しそうで、うれしそうで…いい光景でした。ほんとうに。

 

ブリリアントは替えないで行くのかなーとぼんやり思っていたところに、SO YOUNG。これもどうやっても私にとっては思い出のつまりまくった楽曲です。あの日僕らが信じたもの、それは幻じゃない。この歌詞を何回唱えてきたかわからない15年間でした。横アリで思い出深い曲、としてこれを選んでくれたこと、うれしかったです。

 

吉井がモバイルで、自分にとってもっとも重要な曲をやる…みたいなことを言っていたので、なんだろうなって私もご多分に漏れず予想してみたりしたんだけど(天国旅行か人生の終わりかなって)、私以外にも多くの人が予想したであろうと思われる「人生の終わり」をやらなかったのは意外でした。JAMのあと、そうかー人生の終わりやんなかったかーダブルアンコとか…ない…よね…って思ってたら客電点かず、何が始まったかってスクリーンにどーん。 THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 SUBJECTIVE LATE SHOW ちゅどーん。 初日松戸!っていうのと、最終日倉敷!ってのと、えっこれ今年?今年のこと?SUBJECTIVEってタイトルにつけてる以上この曲絶対やるじゃん(そりゃそうだよ)!!え!and more?ってつまりこれ武道館に続くんだろオイオイさっさと言えヨー!!と、ライブの興奮とツアー発表の興奮で完全に脳内がショートしました。使い物にならず。なんだろうこのバンドの余韻無用な仕打ち!大好き!

 

2日目は2日目でさすがに今日はなんもないよねって言ってたら「特報」。なんとドキュメンタリー映画THE YELLOW MONKEY 2016-2017ってことはオイこれ2017もツアーあるんじゃねえのかオイ。もしくはアルバム出るんじゃねえのかオイ。さあ、殺せえ!(床に大の字)吉井が、もう無理、と思うことでもTHE YELLOW MONKEYがあるとおもうとがんばれる、なんて言ってて、それこっちの台詞だよーんもーおっちゃん働くよー働いてまた稼いでツアーにくるよーってなりました。

 

さて、余韻無用なバンドが大好きな私ではあるのだけど、私個人はノスタルジーを味なくなるまで噛みしめるタイプのヲタですので、ここから先は完全な自分語りです。

 

私にとって横浜アリーナはやはり、パンチドランカーツアーの最終日、113本のラスト4daysを飾った場所としてもっとも記憶に刻まれていますし、この場所が私にとって「特別」なのはひとえにこのツアーの影響であるといっても過言ではありません。後年、吉井さんが自伝で書かれたように、そして今回のMCでも言及したように、あのツアーはバンドに確実に疲弊をもたらしましたし、それは後年発表された「パンドラ」という映画でも語られていたことでした。そしてその疲弊が少なからず「解散」という選択肢に影響を及ぼしたこともあったんだろうと思います。おそらく、私だけでなく多くのファンが、言葉にはせずとも、あのツアーがなければ、こんなことにはならなかったのかもと思わずにはいられなかっただろうと思いますし、それによってたとえ傲慢と言われようとも、一種の罪悪感のようなもの、あのツアーを貪欲に楽しんでいたからこそのそういった思いにとらわれた人も少なくなかったのではないかとおもいます。

 

今回のツアーで、ゴージャスがあの頃のアレンジまま聞くことができて、SO YOUNGをもう一度聞くことができて、でもオープニングで「パンチドランカー」をまた、やってくれないだろうかという願いは叶わなくて、叶った夢もあれば、夢は夢のままだったものもありました。でも、叶わなかった夢の分は、まだわたしのものにしておける。こういう言い方はおかしいかもしれないけど、再集結して、今まで限られた中で反芻して、それこそ味なくなるまで噛みしめていたバンドの楽しさ、かっこよさが一気にみんなのものになって、そうやって共有できる嬉しさと同時にすこしのさびしさもあって、でもまだわたしのものにしておける部分もあることはそんなに悪いことでもないよなって思ったりしました。

 

メンバーやスタッフがあのパンチドランカーのツアーを今どんなふうに捉えているのかは彼らだけが知ることだけれど、でも名付けというのはやはり軽く考えちゃいけないなと、しみじみ思う。パンチドランカーと名付けられたツアーはその名をまさに体現したものになった。パンドラ、という略称を考えてもそれはまさにパンドラの箱のように、いろんな災厄がその箱からは飛び出していくことになった。この神話では、パンドラは開けてはならないと言われた箱を開けてしまうが、災厄が逃げ出したあと慌ててその蓋を閉めると、中から呼ぶ声がする。あなたはだれ?問いかけると中の声はこう答える。わたし、きぼうよ。

 

先日放送されたスペシャの番組の中で、吉井和哉は「パンドラ」の映画を見て、こうして見てもこんなに壮絶だったんだ、それを見て自分の中で浄化する思いがあった、と語っている。この映画のために4人が集まって撮影されたのは2013年6月19日。その約20日後の7月7日に、かれはメンバーにもういちどバンドをやりませんか、と再集結のきっかけになるメールを送っているのだった。横浜アリーナに降り積もった重い想いには、甘さや楽しさだけではなく、切なさもあいまった苦さがあった。すくなくとも、私にとってはそうだ。でもあのツアーはいろんなものをバンドにもたらしたけれど、最後には希望を残していってくれたのだとおもう。私はもう横浜アリーナを思い出すときに切なさを感じなくてもいい。かつて遺影と言われた写真を思い出さなくてもいい。THE YELLOW MONKEYの聖地として、特別な場所として、その空気を存分に吸い込むことができる。なによりもそれがうれしかった。この場所に帰ってきてくれたこと、感謝します。ほんとうにうれしかった。ほんとうに、ありがとう。