THE YELLOW MONKEY SUPER メカラウロコ・29 FINALに行ってきたのよ

ファイナルなんて冠がついた日にゃただでさえ激戦のメカラが超激戦になること間違いなしじゃないかよー!と発表になったときはそっちのほうに気をもみましたが、無事今回も大きな玉ねぎの下で黄色い猿と12月28日を過ごすことができました。もはや感謝しかない。ありがたい。ありがたい。ファイナルが一体何を指すのか?みたいなことももちろん考えましたが、とりあえず「明日考えるわ」の精神で当日を迎えました。先日来年のアルバム発売とアリーナツアーが発表になっていたので、どうする?どこを狙う?と友人たちと作戦会議ができて助かった…次の約束が先にわかってるってありがたい…

 

今回は北のスタンドから見ておりまして、今まで北東はあったけど北ははじめてだったなー。でももはや入れるだけでありがたいですよ。1曲目何かな~みたいな想像もちょっとはしてたんだけど、去年のwedding dressの「完全に当てさす気ない」を思うともはや何が来てもおかしくないような。お馴染みの愛の賛歌にMarch from A Clockwork Orangeで今回も幕開け!

 

吉井が最初からギターを持ったので「えっ何!?」と思ったらまさかのジュディはじまり。いやびっくりしました。吉井グラサンちょう似合うかっけー!という感嘆を挟みつつもびっくりしました。オープニングからジュディ、サイキック№9、A HENな飴玉を挟んでOh!Golden Boys、STONE BUTTERFLYからのDEAR FEELING、GIRLIEと前半7曲のうち5曲が「8」からの選出!最初の2曲のときは「これは8からさかのぼっていくパターン…?」とか思ったんですが全然そんなことなかった。しかし思えば「8」の曲はほとんど武道館で演奏されていない(メカラ8はドームだったし)ので、そういう意味合いもあったりするのかしらんと思ったりしました。この8の連打の中にしれっとA HENが入っちゃって普通に盛り上がるっていうのが、ほんとジャガーの曲のポテンシャルなー!ってなりますよね。裏ピースめっちゃかっこよかった。吉井、ギンギンギラギラのジャケット着てて、エマもまたゴージャスなかっこで、アニーもキラッキラしたシャツ羽織ってて、ヒーセ!ヒーセがなんか懐かしいジャンプスーツで、絶対見たことあるんだけど袖とか裾とか肩口とかディティールが違う!って思ってたらあとで昔の衣装で型をとって…と種明かししてくれましたね。本当にどこからどうみてもゴージャスなバンドだよ…。

 

Oh!Golden Boysは、初武道館のライヴでも言っている通り、1stアルバムに収録されているにも関わらず、初武道館までライヴで演奏されてこなかった曲で、「ずーっとやらなかった曲があります、なぜならここで初めてやりたかったからなんだ」っていう、そのエピソード自体がもう、私の心をつかんで離さないわけですよ。いやもう今回は生配信もされたしアーカイヴでも見られるし、ライヴがどうだったかはもう、そっち見て!ってあれなんで、積極的に一人語り入れていく所存ですよ。まだ海のものとも山のものともわからない頃から、武道館にたどり着くって意思があって、そのために1stアルバムの1曲を演奏せずに残しておくって、いやもうすげーよとしか言えない。私が初めて行ったメカラは9で、友人と「何が聞きたい?」みたいな話したとき間髪いれず「Oh!Golden Boys!!!」って言ったほど、武道館で聴きたかった曲だったんですよね。それがもう一度体験できて本当に言うことない。あとこの曲の時のアニーがどちゃんこカッコイイ。髪振り乱すのさいこう…。

 

DEAR FEELINGのときに、吉井が胸の前で手をひらひらさせる振りをやってたじゃないですか。あれ、こんな久しぶりに演奏するのに、やっぱああいう動きは染みついてるもんなんだな!っていう感心とともに、昔あの動きは一体何を表わしてるのか?って友人と話をしていたとき、いや心の羽根でしょ?って言われてそれな!ってなったんだけど、別の子が「うそ!宝毛だと思ってた」(ちょうどこの時期いいともに出て吉井が熱心に宝毛のはなしをしていたという伏線が一応あるにはある)つって爆笑した思い出が蘇ってきて、あのひらひらを見るたびにによによしてしまう変な人になってましたね…。「8」で私が一番好きなのがGIRLIEなのでこれは嬉しかったな。あの、いつまでもそばにいて君の喜ぶことをしてあげたい、なんて普通の歌詞なのに、この曲に乗るとものすごいパワーのあるフレーズに変身するところがたまらないです。

 

MCで吉井が「不穏な曲を聞いていただきました」つったときのアニーの真顔っぷり、友人と顔!アニー!顔!つって声に出ちゃいましたよ。商店街みたいな曲、アーケードっていうか、シャッター通りっていうか、と不思議な喩えを連呼していて、でもシャッター通りってわりと言い得て妙だなとも思ったり。特にこの日は、THE YELLOW MONKEYの表通りと言うよりはどちらかというと裏通り寄りの選曲でしたし、その表と裏がこの人たちの魅力でもあるわけでね。そのアーケードの入り口の、必ず開いている店のような曲、という紹介からTHIS IS FOR YOU。最後の恒例のエマが寄り添うところ、吉井がエマの方を見ないパターンもあって、それはそれで私大好きなんですけど、この日はもう最初から見つめ合っちゃってたので、おっ、これはエマに歌わせるパターン来るのでは!と思ったら最後のYOUをヒデアキに変えて歌っていた。エマの弾ける笑顔プライスレス。あと私は何回聞いてもこの曲の「飲み干したら目が回るようなこの歌をきみに」ってとこでほろりんと泣く。もはや百発百中である。何なんだ一体、っていうか大好きてことですつまりは。

 

このあとがDONNAと仮面劇という流れで、これはもうメカラ9を思い出さずにはいられないやつ。たぶんっていうか、演奏されたのもメカラ9以来、20年ぶりです。この2曲は割とメカラ9の特異点って印象がすごく強いので、DONNAがきた時点で仮面劇もやるだろうなと思いましたし、この重ため2曲の連打はかなりボディにきたって感じでした。あと私やっぱ仮面劇大好きだな…ほんとドラマチック大好き野郎でごめん…。

 

そのボディブローのあとのMCのgdgdさ、いやもうマジで途中から着地点を完全に見失った(私が)。いやかわいい、かわいいけどね。なんでライヴの途中で埴輪と土偶の違いを講釈されとるのか?これは今何の時間?ってなったことは否定しないけどね。とはいえ「三国さん土偶に似てる」「いや埴輪でしょ」「埴輪だ」「目が土偶」には爆笑してしまって申し訳ないことをした。若い子が本気にしちゃうといけないから吉井さんは不穏なジョークは控えるようにね!

 

再結成して3年経ちますがなんかやりにくいことない?みたいな、それ楽屋でお願いできます!?みたいなトークにエマがまさかの「再結成後吉井がロビン呼びを遠ざけようとしてる」みたいなブッコミをしてきて、その時の「ほらソロもやってて(いろんな名前があるじゃないですか)」ってエマ発言をみなまで言わせず「あーただってやってるじゃない!」と反論した吉井、笑いました。笑いました。いや単なる確認だし責めてないし鶴ちゃん完全にとばっちりだし。アニーのロビン呼びになんか照れてるよね?みたいな兄発言に吉井「いやアニーのはね、真心こもってるからダメ」ってどんな言い訳だよ。でもそう、アニーも「おれはずっとロビンだからね」つってた通りで、解散中にアニーが吉井のサイトの公開収録的なやつにゲストで出てくれたときも、ずーっとロビンは、ロビンが、ロビンの…って、わしはその嬉しさと懐かしさで泣いたもんじゃったよ(おばあか)。いいじゃないの真心のこもったロビン!最高やん!って私も普段は吉井って呼んでるけどいつなんどきでもロビンと呼ぶ心の準備はできてるぜ!そんなこんなの銀テープタイムだよって自ら宣言して行われたキャノンテープ発射×2回、ほんとアニーじゃないけど「なんだこのバンド!」

 

しかもそのあとで続くのが「遥かな世界」ってまたへヴィな世界に一気に持っていく、この振り幅はほんと全然変わらないよね。イントロ始まった瞬間「は!」って大きな声でちゃった。自分でもびっくりした。でもってこれもまた「9」を彷彿とさせるなあという。しかし、私が真の意味でひっくり返ったのが次の曲だった。イントロで今度はうそでしょ!?と声に出そうになった。月の歌!まさかの!いやこれ、アルバム発の最初のツアーではセトリに入ってたけど、そのあと年明けての武道館や野性の証明では外れているので、DVDに映像が残っていないのだ。ある意味、去年の追憶のマーメイドと同じくらいのどレアな曲である。歌詞を書くのにめちゃくちゃ苦労して、最後まで仕上がらなかったとも言っていたし、この曲を持ってきたのは本当に意外だった。

 

この日は北から見ていたので、吉井さんの足元にプロンプのモニターが出ているのが見えて、とはいえ吉井さんもMCで言っていた通り、歌ってる時の目線からしてもぜんぜん見てはいなかったと思う。本当に完全に出てこなくなったときの保険みたいな意味合いでしかないんだろうなとは思った。8の楽曲の時には出てた歌詞がTHIS ISで出なかったりして、出る出ないは誰がどのタイミングで決めてるのだろ?と思ったりしてたんだけど、逆にいえばそれだけ「歌いこんでいない」曲をチョイスして、それをツアーで事前にやることもなく、ぶっつけ本番で大舞台にもってくる、っていうのはなかなかにプレッシャーのかかることだろうと思う。もっと歌いこんだ、しかも「コアなファン」にも支持されてる曲はたくさんあるわけで、でもそれを選ばずに「真に陽の目を見ない」曲をガチで選んできてる、ってことを改めて感じさせられたというか。

 

そのあとのイントロがこれまたまさかの「薬局に行こうよ」!いやいやいや、大好きなのでめちゃ嬉しい、嬉しいけど、これがセトリに入る予想とかしないよー!っていう。しかも吉井が原曲にむちゃ忠実だった。さすがSpotifyでアルバムを頭から聴き直した(八重歯の時の顔最高だったネ)だけのことはある。あと何を薬局に買いに行こうとしてるか考えて聴くとまたこの曲は一層おかしみがあっていいですよね。続いてI CAN BE SHIT,MAMAで今度はSICKSが続く!これも再結成後お初でしたっけ。違いましたっけ。口笛もちゃんとやってくれて、いやもう…忠実!あそこで吉井が口笛吹いてくれるとこ、大好きでSICKS横アリの中継録画したやつ何回も見たな…(隙なく思い出話を絡めるスタイル)。

 

ここまでまさかのノーシングル、ノーシングルってだけじゃなく定番を外しまくったシャッター通り選曲との対比もあるけど、続く新曲の天道虫が文字通り待ってましたテンションでぶち上がりました。合いの手をオーディエンスに託してくれたけどまだちとこちらの修行が足りんかった。でもめっちゃ盛り上がるし、続くツアーでも爆発させてくれるんだろうな!って予感があったし、なにより吉井ちゃん自身が「好印象(はあと)」つっちゃうぐらい盛り上がった!そして聞こえてくる「甘い経験」のイントロ…!!!やったーーーーーこれ待ってたよーーーー!!!問答無用で楽しい、盛り上がる、あのパンチのツアーでかんぜんに「みんながばかになる」瞬間を共有できた思い出の曲ですよ。あの間奏のさ、吉井に「同じ踊りを踊れ」と煽られたアレを、寸分たがわず吉井がやってくれていて、わたしも武道館の階段、急だけど!できる限りがんばった!途中の、エマとヒーセがすれ違いざまけんけんぱ(正確には違うけど、もう長年そう呼んでるのでご容赦)するやつ、今回はなんと吉井が最初エマとやって、そのあとヒーセっていう、これパンチのときに吉井が二人に混ぜてもらおうとして追いかけ、逃げるふたりってのが定番の遊びだったので、いやもうその光景がめったやたらと嬉しかったし、懐かしかったし、楽しかった。

 

続いてSUCK OF LIFE!いやもう、ここまでのセトリが濃すぎて「あっ、なんか定番曲安心する!」みたいな感じにすらなった。トッピング(絡みとかメンバー紹介とかメンバーソロとか)なしなしのシンプルSUCKでしたね(トッピングとか言うな)。あの最後のユアラーイフのまえ、完全な静寂になって一瞬空気がぴん…と張りつめたのが最高だった。ああいう瞬間て作ろうと思っても作れるものではないから、それだけみんなが集中していたってことでもあるんだと思う。

 

本編ラストのMCで、吉井はメカラウロコの誕生の経緯をあらためて言葉を尽くして説明した。伝説の一夜になった、そこからはじまって、今日でメカラウロコはファイナルを迎える。再結成して、これから前をむいて、沢山曲を作っていく。だからここでいちどメカラウロコというものはやめてみるのもいいんじゃないか、と。そして、再結成して楽しいことばかりだけれど、もちろん冬の時代もあった、今回はそういう冬と向き合う日なのかなと思ってこの曲を選んだ、113回必ずやった曲です、とかれは言った。113回、ホールでもアリーナでも、必ず本編最後に演奏された曲、離れるな。

 

離れるなはもともとシングルカットされる予定ではなく、いろんな諸事情というものに後押しされて球根に続くシングルとなったわけだけど、それはもちろん楽曲自体にパワーがあったからだと思う。しかしパワーがあったからこそ、あの疲弊した時期のど真ん中にこの曲は鎮座することになってしまった。パワーがあるからこそ、そこに重いものがまとわりついてしまったようなイメージが「離れるな」にはあった。113本のツアーで、オープニングと本編ラストは必ず同じ曲、だからこそ、その2曲はもしかしたらもう2度と演奏されないのではないかと思っていたこともあった。オープニングの曲は2年前のメカラウロコで「俺たちのチャンピオンベルトのような曲」と紹介され、文字通り陽の目を見たが、同じようなことがまさか「離れるな」に起ころうとは。

 

当たり前だけれど、あのツアーをどうやっても思い出す。熱狂と狂乱を味わいつくしたあのツアーを。そしてそれをアーティスト自身に否定されるつらさを味わいつくしたあのツアーを。しかし少なくともわたしは、あのツアーがなかったらここまでの情熱と執念をこのバンドに対して持てていなかっただろうとおもう。アウトロで、エマと吉井が向きあい、最後の一音はお互いの弦を弾くという光景も再現されるだろうか、と思ったけど、ふたりはなんとなく見あったままだった。見あったままだったけど、ふたりとも音源では上がらない最後のリフの一音を上げて弾いていて、その瞬間ちょっと照れたようだったこと、なんというか、それでもうじゅうぶんだった。ありがとう、もう一度この曲を引っ張り出してくれたこと、感謝します。歌い終わった吉井がオフマイクで「ありがとう」と言ったのがモニタにも映って、そこでどうにもこうにも涙腺が決壊してしまった。

 

いつもそうだけどメカラはあまりにも本編がてんこ盛りすぎて、アンコールがなんとなく茫然自失…みたいなことになりがちですよね。今回も手を叩いててハッと気がついたらメンバーでてきとる!しかも吉井着替えとる!とアワアワした。「途中しゃべりすぎた」つってて、でしょうね!?と思いつつ、むちゃくちゃアッサリ「今までレコーディングしてない、大好きな曲」と言い放ち、毛皮のコートのブルース。ペチの限定公演以来ですね。あのときの黒い帽子を深くかぶった吉井を思い出すな…。

 

この日フライングⅤ率が異様に高かったエマがここでブライアン・メイモデル(ブラック&ゴールド)のギターになって、今話題のクイーンの話に。本編途中でも吉井が前歯を直さなかったシンガーの話をしたところで、ヒーセがさりげなくAnother One Bites the Dustのフレーズを弾いたりしてたし、当たり前だけどみんなボヘミアンラプソディ見たんだろうな!見て感想言い合ったりしたのかな!リッジファームの思い出とか話したりしたかな!と勝手に妄想をたくましくしたりして。エマは1986年に武道館でクイーンを見たそうで、それからしばらくはほかのアーティストのライヴを見ても物足りなく感じる時期があった、と。そのクイーンの影響が色濃い?エマ作曲の「街の灯」へ。これ、メカラ9のときアンコールいっぱつめだったんですよね。その時に吉井が「それでは聞いてください、まちの、あかりぃ!」って紹介して、その瞬間「今私幸せだー!」と痛いほど感じたことが深く心に刻まれているので、今回も同じように吉井が「まちの、あかりぃ!」って曲に入ったのが嬉しくて嬉しくて、ぴょんぴょん跳びはねてしまった。聞いてくださーい、のところで、ライヴエイドのフレディのまねしてコール&レスポンスしたりして(最後のオーライ!のドヤ顔、さいこうでしたね)ほんとに楽しい時間でした。

 

続いて真珠色の革命時代。ああ!メカラって感じ!なんかもう、安心すらする!やっぱりメカラウロコを象徴する楽曲の1つですよねえ。最後にストリングスを指揮する吉井も恒例。そのあとアコギをもってきたので犬小屋…?とか思ったけど、じゃーん、と弾いてあっそうだった、そりゃそうだ、これをやらないと年は越せないよね~だった!おそそブギウギからのアバンギャルド!しかしクイーンをまだ引きずっており、最初Crazy Little Thing Called Loveのフレーズ弾いたらみんなついてきたりして笑いました。今回は今年50代の仲間入りをしたアニーに、つって歌わせてて、がんばってた、アニーがんばってたよ(笑)平成の始まった年にこのメンバーで初ライヴをやって、平成とともにメカラも終わる、ってゆってたね。そう考えるとほんとうに次はイエローモンキーにとっても新時代なんだね…。

 

アバンギャルドに続くのはもちろんこの曲、悲しきASIAN BOY。すべてのメカラウロコで演奏された唯一の曲だし、やっぱり武道館がいちばん似合う曲だし、本当にTHE SONG OF THE YELLOW MONKEYだなあと思う。サビでアリーナに白い紙吹雪が噴き出しで舞いあがり、メカラ8の東京ドームを彷彿とさせる光景だった。キラキラしてたなあ。吉井の匍匐前進のときの顔がモニタで抜かれて、うそやろ!?と思うほどにギラッギラの顔してて、なんか時間が巻き戻ったような感さえあった。最後、マイクのまえに膝をついて国旗を見上げる姿の美しさ。そのあとの敬礼。忘れられない。

 

ASIANのあと、むちゃくちゃさっくりのメンバー紹介(前半喋りすぎたのね!)があって、来年アルバムが出ます、告知もされてるけど、本当に4人だけで、楽器3つだけ持って、同じ釜の飯を食いながら作ってきました、アルバムを出さないとほんとうの再集結とは言えないなという思いがずっとあった、と。ツアーについて「マニアの方も楽しめるあやしいマークがついてる」なんつって、えっそこまではっきり言っちゃうぐらい違うわけ!?とむだにアワアワしました。最後に新曲を聞いてもらいたい、メカラ7のときも最後に新曲で楽園をやって、という話をしてて、そうそう、メカラは7も9も最後に新曲を披露したので、そういう意味でも美しいメカラのフォーマットだよなあこれは、なんて。

 

新曲のI don’t know、1回目エマのピックスクラッチがすっぽ抜けたのを吉井が止めてやり直ししたの、新曲だから観客にはわかんないのに、でも吉井ちゃんのこだわりなんだろうな!と思って面白かったです。やり直して聞いてみたら確かにそこ大事!てなったし。ちょっとHEARTSを彷彿とさせる曲調でしたよね。ちゃんと聴き取れてないところもあるけど、どこまでも続く無口な雑踏、が次には魂の葛藤、で韻を踏んでいたりして、相変わらずキレのある歌詞を書くなあとうれしかったです。本当に新しいアルバムを手にするのが楽しみで仕方ありません。

 

終わって客席に手をふってる4人がすごくいい顔をしてたんだけど、吉井にいたってはオープニングでかけてたサングラスを上にあげてオールバックにしてて、その顔がほんと…いやなんでこの3時間の間にそこまで若返る!?ってぐらい、ピッカピカでキッラキラの顔になってて、すげえなマジで…と思いました。

 

アルバム「8」の曲を大量投入したり、メカラ9の特異曲をたくさんセトリに組み込んだり、あの紙吹雪がメカラ8ぽかったり、とあったけど、でも思えば、年末のメカラ、年明けに新しいアルバムの発売が決定していて、そのアルバムを引っ提げたアリーナツアーが告知されている、という状況はまさに原点となったメカラウロコ7の状況と同じなんだった。あの時彼らはレコード会社を移籍して、文字通り新たな海に航海に乗り出すところだったわけだけれど、そういう意味ではこのメカラウロコ29ほど、メカラウロコ7と相似形をなすものはなく、結果的にもっともメカラウロコらしいものになったと言えるのかもしれない。これから彼らはもういちど、新しい海にこぎ出すのだ。

 

メカラウロコBOXが発売されたとき、友人たちと時代をさかのぼって全部のディスクを見ていって、最後に7の楽園を聞いたとき、この先に起こることを知らず、希望だけをもって未来にこぎ出そうとする彼らの背中が健気でひたすらに泣いたことがある。そしてTHE YELLOW MONKEYはもういちど、その航海に出ようとしていて、それは本当に、本当に、勇気がいることだろうなと、最後の新曲を聞きながら私は考えていた。いいことばかりじゃない、ことを彼らは誰よりもよくわかっていて、だからこそ今回のメカラ29がこういうセットリストになったんだろう。冬と向かい合う、向かい合うことでなにか、違うものが見つかったりしただろうか。そうだったらいいと、彼らの冬を愛するもののひとりとして心から思います。

 

あと、年末の武道館という大舞台を、定番曲で埋めずにやりたいものをやる、という強気で押してきた、そういうことができるのは、やっぱり次に控えているアルバムに自信があるんだろうな、と思ったし、やっぱり来年の THE YELLOW MONKEYが楽しみで仕方ありません。

 

メカラウロコはこれでファイナル。終演後に出たスクリーンで今までの彼らの楽曲の意匠が「30」の文字を形作り、2019.12.28の文字が出たけど、その日がライヴなのか、単にその日に30周年てことだよ!なのか、今はわかんないよね。わかんないことがあるのってめちゃくちゃ楽しみだよね。

 

メカラウロコというものは、少しでもTHE YELLOW MONKEYに深く思いを寄せた人には特別の単語だろうし、ファンの執着と執念が一気に集中するもの、その象徴でもあった。私にとっても、憧れて、体験して、ずっと思い出を抱いてきた、特別なライヴ、特別な日付だったから、もちろんファイナル、ということに寂しさを感じないわけではないけど、でも正直なところ、ホッとした部分もあるのだった。あまりにも特別すぎて、この日付とメカラという単語に執着しすぎていたから、それから解放されるんだなという感慨があるとでもいうか。それに、もともとはメジャーヒットを連発して新しくファンになったひとにも陽の目を見ない楽曲を披露したい、というところが出発点だったとしても、歴史を重ねていくうちに「メカラの定番」みたいなものができあがってしまっていたし、吉井さんは個人としても、バンドとしても、恒例のとか、お馴染みのみたいな、いつもと同じことをやる、ということにあまり執着を燃やすタイプではないと思うから、こうした区切りをつけるのは吉井さんらしいし、THE YELLOW MONKEYらしいとも思う。

 

ライヴの最後に吉井が「ありがとうメカラウロコ!」と武道館の国旗に向かって叫んだけど、本当にバンドとファンに特別な力学をもたらしてくれた場所だったなと改めて思う。バンドがいない間も、この日付とこの単語に支えられたものが本当にたくさんあった。私も心からお礼を言いたい、ありがとう日本武道館、ありがとうメカラウロコ、ありがとうTHE YELLOW MONKEY。ここから始まる新しい旅路にご一緒できるのが、わたしとって何よりの喜びです。

 

THE YELLOW MONKEY SUPER メカラウロコ・29 FINAL セットリスト

1.ジュディ 2.サイキックNo.9 3.A HENな飴玉 4.Oh! Golden boys 5.STONE BUTTERFLY 6.DEAR FEELING 7.GIRLIE 8.This is for you 9.DONNA 10.仮面劇 11.遥かな世界 12.月の歌 13.薬局へ行こうよ 14.I CAN BE SHIT, MAMA 15.天道虫 16.甘い経験 17.SUCK OF LIFE 18.離れるな ~ENCORE~ 19.毛皮のコートのブルース 20.街の灯 21.真珠色の革命時代 (Pearl Light Of Revolution) 22.おそそブギウギ 23.アバンギャルドで行こうよ 24.悲しきASIAN BOY 25.I don’t know