THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR GRATEFUL SPOONFUL@神戸ワールド記念ホールに行ってきたのよ

行ってきたのよつってもう先週の話ですね。私事ですが、このライヴ明けの出勤日に異動が決まりまして、家を決めたり引越し業者見積もったりなんだりかんだりらじばんだり、「現実」という名の怒涛の波にのまれて消えていたわたくしでございます。しかし消えていたとはいえライヴに行った記録は残す、残します、ただしもはやレポではない。それが何かと言われたら何かはわからん。金なら返せん(このネタわかる人いるかしら)。

 

スペードマークの公演は武道館に続いて2回目で、観客としてはもう持ち札はわかってるからどーんと来いやあ!って感じでしたが、いやーそうはいってもいろいろあるねスペード!吉井さんも思わず「ほんとスペードなんかある、本数一番少なくてよかった」とか本音が吹きだそうってものですよ。とかいってあーた、最終日は中継されるんだけどね!?

 

序盤から吉井がかなり客席を煽ってくるなーと思っていて、サイキックの頃にはもう見ているこっちも汗だくだし、吉井もい~い感じに汗をかいてて、MCで「あつい~~~スペードあつい~~~~」とか言ってたんですよね。それでこの調子でいくと、Tacticsのイントロはかなりぐいぐいくるのでは?と楽しみにしてたんだけど、曲が始まったらシールドの不具合だったのか、吉井が何度も右手で確認する素振りをしてて、下手の袖に向かってなんか、アピールしてたんですよ。で、イントロのエマのギターが入るところでギターを取り換えてました。わー赤いファイアーバード何度見てもちょうお似合い、と嬉しく見ていただけに吉井の素振りにも動揺したしファイアーバードが引っ込んだことにも動揺したし、いや吉井さんご本人が動揺していたかどうかはもちろんわかんないですけど。

 

スペードセットリストはこのあとChanges Far AwayをはさんでJAMにつながるんですけど、こういうときやっぱりJAMの楽曲としての強さちゅーか、大舞台での強さを改めて実感しましたね。これまで、それこそむちゃくちゃプレッシャーのかかるところでも披露されてきた曲だけに、この曲をやるとステージも客席もかならずあるレベルまで集中力が高められるというか、強靭な曲だなーと思いました。そういう楽曲があって、そしてこの日もイントロのハイハットでわあっと歓声がおこっていて、いつでもそういう空気を醸し出せる曲を持っている強みを感じたというか。

 

で、私としてはスペードの特異点(そのマークでしかやらない的なことだ)としては、どうしてもパンチドランカーからのROCK STARにフォーカスしてしまうんだけど、吉井のギターはさっきTacticsで持ち替えた黒のテレキャス(?)のまんまで、それで再集結後何度かこの曲がセットリストに入るところに立ち会ったけど、いつもあの間奏のところでなんとなく4人がドラムを中心に輪になる、みたいな構図になることが多いんですよね。それはむちゃくちゃぐっとくる光景なんだけど、この日は吉井はひたすらギターをストロークすることに集中していて、その姿のなんともいえない孤高さというか…私この人のこういうところにめちゃくちゃ惹かれてるんだなあということを改めて思い知らされた感じがした。私が大好きだったとある役者さんについて、「あれだけ愛され求められていてもどこかに孤独の影があった。その影があのひとの色気だった」と評した方がいて、ほんっとそうだ…!と芯から同意したのだけど、吉井和哉という人にもやっぱりそれを感じるのだ。メンバー同士が仲良しだとか、オーディエンスとの求め求められる関係とか、そういうものの濃厚さとはまったくべつに、ひととして圧倒的に「ひとり」だと感じさせるところがあの人にはある。

 

スペードのテーマは攻撃、攻撃といってもいろんな攻撃がある、甘い攻撃も…という言葉通りというか、セトリ入りした「甘い経験」。最初、歌い出しの雨の音ソフトから…でパタッと吉井が歌うのをやめてしまって、えっ!?何が起こった!?と思ったんだけど、しれっと戻ったので「なんやったんや…」と思うにとどまってました。で、あれが出たのよ、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」が!!ご丁寧に腰をフリフリ仰ってました。あの蜂のように刺す、踊るんだ、からの「俺と同じ踊りを踊れ」のキレッキレの動き!いやあ楽しかったです。

 

ところがそのあとのMCで吉井がやけに神妙に「…さっきのおれだよね?」と言い出し、エマと顔を見合わせ、拍が早かった?けんけんぱの…とか言ってるように聞こえ、えっこの人たちあの曲のことけんけんぱつってんの!?クッソ萌えるじゃん!!と勝手に燃え上がりましたけど全然的外れかもしれません。エマとユーが?ミーが?と言い合い、わかんない…あとで映像で確認しよ!とか言ってたのでロック界にいち早くビデオ判定を取り入れているTHE YELLOW MONKEY様でございます。しかし聞いているこっちにはいまいち判然としなかったのも事実。歌い出しで途中でやめたのそれでだったのかなあ…とか思っていたら、吉井「なんか、お詫びする?ここでしかやんないよ?」当然のように沸く客席!!それを抑えて「大したことない!いやそんな期待されても困る!なんなら見なくてもよかったぐらいなやつ!」とやけに予防線を張るので、このあたりでなんか空気が怪しいぞ…と思い始めた私であった。

 

その前のMCを引っ張って、「50代になると大抵のことがぼんやりしてくる、頭のうしろのほうに小人がいてそれがしっかりするときもあればしないときもある、それをうまく働かせるにはいつもと逆のことをするといいんだって!」と心なしか嬉々として語る吉井。そして「じゃ、楽器を逆の手で持って!」ここでもう、腹をくくっているであろうエマとヒーセが粛々と楽器を持ち変える姿、爆笑しました。立ったままだと弾けないのでモニタに腰かけるエマとヒーセ。吉井は吉井でアニーに「アニーも逆の手で叩いて」それにアニーが「うん、地味だけど…」吉井「足はさすがに無理だから…」アニー「足も逆にしようか?」アニー!吉井を甘やかしすぎだぞ!で、吉井はなにをやるかつったら「俺はマイクを逆の手で持つ」。メンバー3人の手がサッとあがって吉井を指さしたの、いい光景でしたね。いやもっともなツッコミだよ!吉井「いやマジで歌いにくいんだって!ホントホント!歌本めくりにくいし!」いやおまえがいつ歌本をめくったんだよ、絵に描いたようなような吉井の「ホントホント」事案、笑いました。

 

で、「じゃあチェルシーガールね」つって始めたんだけど、いやもう始まらない始まらない。エマのギターが始まらない。ヒーセはヒーセでとりあえず「ぶおぉん」っていう最初の一音だけ構えててギターお構いなしに弾いて吉井に「ちゃんと聞いて!」って叱られて(おまいう)、アニーはアニーで「どこで入ったらいいかわかんない~」つってニコニコしてるし、いやはや楽しいバンドですよ。しかし、メンバーにやらせる肚なのにその前のMCで「大したことない」とか言っちゃう吉井、マジ吉井。おまえのそういうところが大好きだよ。順手に持ち替えた後3人がちろっとチェルシーのイントロやってくれて、吉井はそれにのっかって歌詞を前後テレコにするっていう今なぜそのチャレンジ精神!?みたいなのを発揮してて最後の最後まで爆笑でした。ホントに愉快な人たちだよ!

 

SUCKの絡みのときにエマが首に貼ったタトゥーシールに吉井ががっつりキスしにいったり、そのときにモニタに抜かれたエマの顔が最高だったとか、向かい合ってキス(これ最近このスタイルだけどなぜ隠す?まさかの宝塚スタイルなのはなぜ?)するときにエマが吉井の頭をかき抱いててもはや完全にギターから手を離しとるやないかと笑いつつ、後ろのおねーさんがこれ以上ないぐらい(やめないで)の意味の「や~め~て~」と叫んでて面白かったなー。

 

そうかと思えばバラ色のときのMCで、「昔は自分をネガティブに見ちゃうところがあったけど、このメンバーと出会ってからはそれを肯定してもらえて自分の世界が一気に広がった気がした、このバンドはマイナスもプラスに変えてしまうような何かがある、ファンの皆さんにもそういう存在であるといいなと思う」と真摯に言葉にしてくれたりして、この笑いとシリアス、おふざけと感動のツートンカラーの縞模様の波、これこそTHE YELLOW MONKEYだよな…!なんて思ったりしました。でもほんとう、このバンドのもっとも美しいところのひとつですよね。世間からみればマイナスに思えるようなことが、自分だけの宝に思えてくる、そういう魔法をかけてくれるというところは。

 

あとそう!これ武道館のときも書こうと思って抜け落ちてたんだけど、アンコールいっぱつめの「毛皮のコートのブルース」。吉井のシアトリカルな空気もすばらしいし、こういうとき一瞬で淡々と職人…!みたいな佇まいになるエマとヒーセもぐっとくるんだけど、この初期THE YELLOW MONKEYの雰囲気を決定づけるような楽曲の空気って、アニーのドラムがむちゃくちゃ大きいんだなって思ったんですよね。やっぱりアニーのドラムってすごくドラマチックなんですよ。それが毛皮のコートのブルースもそうだし、もっといえばシルクや4000粒みたいな楽曲は、アニーのドラムが大きくサインしてるんだなっていうのを改めて思い知らされた感じがします。

 

さてこういうレポではないただただ思いの丈だけ縷々書く、みたいなのも久しぶりなので、調子に乗ってもうちょっと書いてしまうけど、この先GSツアーの話はビタイチ関係ないので別に読まなくてもいいやつだよ。

 

私はやっぱりなにをどう転がってもパンチドランカーの女なので、ひときわ思い入れが強いんですけど、この日の神戸での「パンチドランカー」、113本、いいときもわるいときもこのバンドに付き合ってきた楽曲のタフネスさに、どうにも胸が熱くなってしまったんですよね。これは私の悪い癖なんだけど、あまりにもこのバンドに思い入れ、執念を燃やしすぎて、メンバーやバンドそのものだけでなく、楽曲にまで物語性を見出すようになってきちゃっているのがたちが悪い。

 

あのツアーが過酷で、良い思い出ばかりではなくて、多大なる疲弊を引き起こした、そういういわば鬼っ子のようなところがあるのも、わたしにとって肩入れしてしまう要因なのかもなと思う。そういえば、この間発売になった雑誌のインタビューで、吉井さんが「ずっと好きでいてくれたファンの怨念」と表現していて、やっぱりわかってるなーと思ったんでした。愛情じゃないんだよね。少なくとも私は愛情だけじゃもたなかった。これはこの間久しぶりに再会した友人にも言ったけど、愛情じゃない、執念だったんですよ。執念があったから私はこのバンドをずっと心の中で燃やし続けていられた。そしておそろしいことに、パンチドランカーを聴くと、やっぱり今でも私の執念に火がつく。まだまだまだ見えないまだわからない、まだまだまだ消えないまだ倒れない、まだまだまだやめないまだ眠れない…。

 

かつてこのブログでTHE YELLOW MONKEYの全曲感想なんてエントリを書いていた時、パンチドランカーの項を私はこうしめくくっている。「奇跡でも起きない限り、この曲をライブで聴くことは多分もう、二度とないだろう。」奇跡は起きた。こうして、新しいアルバムを引っ提げたツアーのいちメニューに加わっていることが、いまだに夢のように思える。ある女性歌手の「歌わなかった方がよかった歌なんてない、歌手を悪くした歌なんて絶対にない、絶対にね」という言葉を借りれば、どんなアルバムもどんなツアーもどんなライブも、アーティストを悪くしたものなんてないのだと思うし、こうして新しいツアーで私の執念の火種となっている楽曲に出会い直すことができることに、毎回しびれるほど感動している。

 

GSツアーも残りいよいよわずか、私はオーラス熊本2daysに参加する予定です。熊本、お初におじゃまします!楽しみです!  

 

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL- @神戸ワールド記念ホール スペード セットリスト 

1.この恋のかけら 2.天道虫 3.パール 4.Love Homme 5.サイキック No.9 6.Breaking The Hide 7.砂の塔 8.Tactics 9.Changes Far Away 10.JAM 11.Balloon Balloon 12.パンチドランカー 13.ROCK STAR 14.ALRIGHT 15.Titta Titta 16.甘い経験 17.SUCK OF LIFE 18.I don't know アンコール: 19.毛皮のコートのブルース 20.バラ色の日々 21.悲しきASIAN BOY