君たちもなにか始めるんだろう

今日はわたしの、うれしかった話をします。

去年の暮れ、ある方から一通のメールをいただきました。その方には以前にもメールをいただいたことがあって、もっといえば過去に何度かこのブログで行ったアンケートにもご参加いただいていて、暮れのメールは、そこから始まったお話の最終報告、といったようなものでした。

昔から読んで下さっている方にはいまさらな話ですが、私は一度このブログをお休み(というか、一時的に非表示)にしていたことがありました。その時はほんとに「行こかもどろか」じゃないけれど、やめるか、やめないのか、それが問題だとばかりに自家中毒よろしくぐるぐるしていたことを思い出します。

そのアンケートのなかでいただいた言葉については、以前どこかで書いた気もするのですが(記憶喪失ですか?)、ほんとうに今でも折に触れて読み返すものもたくさんあり、どれもがわたしにとってほんとうにありがたいものばかりでした。

なかでも、今、資格試験に向けて勉強中ですと書かれたそのメールの中にあった「その愛情に居心地の悪さを感じさせないブログでした」という言葉を読んだとき、私はすこし泣きました。そうありたいと思っていたし、同時にそうではなくなってしまってきつつあるのではないか、と怯えていたこともあって、その言葉をかけて頂いたことがたまらなく嬉しかったからだと思います。

一昨年、つまり09年の年末、その方から長いメールが届きました。挑んでいた資格試験の大きな山を越えることができたこと、そして09年12月のあのTHE YELLOW MONKEYの20周年をめぐる「区切り」のあれこれもあって、何かの節目のような気がして、とそこには書かれていました。

君たちもなにか始めるんだろう。

2005年の夏、吉井和哉がライブで言ったそのひとことがすべてのきっかけでしたとその方は書いていました。この強い気持ちを形にしなくてはと。

それから始まった長い受験勉強のなかで、わたしのブログを読むことがひとつの支えだったと、だから、試験に合格したら、気持ちを伝えようと思っていたのです、と。

そのメールを読んだときの、わたしの気持ちを上手く表現することはとてもできそうにありません。私は泣いたし、何度も何度も読み返したし、今でも読み返しています。それは、支えだったとまで仰ってくださったことももちろんだけれど、そのすべての出発点が、「君たちもなにか始めるんだろう」という吉井和哉の言葉にあったこと、そこからすべてが始まり、ついにそれを形にしようとしている人がいること、そして、自分がその手助けをほんの少しできたかもしれないこと、そのことにひたすら胸を打たれたのです。

書くことはいつでもこわいです。年々、それはこわくなる一方です。私は自分のサイトを始めてもう10年が経ちますが、あの頃の気楽さは今はもうどこにもありません。それは悪いことなのでしょうか?そうかもしれない。素直な、正直な気持ちを誰の目に触れることもおそれずに書く、そのことにこそ意味があるのかもしれません。だとしたら、ここだけではなく、私のサイトも、芝居の感想を書いているブログも、すべて意味のないものだと言われてもしょうがないのかもしれません。でも私はその道を選ばなかった。正直な気持ちを書くことよりも優先したものが、私にはあるということです。正直な気持ちをそのまま書くことでなくても、書きたい気持ちを自分なりのルールで昇華する方を選んだということです。

それによって、そのサイトなりブログなりが「つまらない」ものになったとしても、それはしょうがない。

その気持ちは今でも変わりません。

ですが、変わらないからこそ、その思いを汲み取ってくださった方がいたことがうれしかった。たとえ誰に届いていなくてもそれでいいんだと思い続けていたからこそ、届いていると旗を振って下さった方がいたことがうれしかった。そして、そこから何かが始まったことがほんとうにうれしかったのです。

去年の暮れに届いたメールは、とうとう、目指す資格試験に合格し、新しく自分の道を切り開く第一歩を踏み出されたこと、そのことをご報告して下さるメールでした。

私は一年前と同じようにPCの画面を見ながらぼろぼろと涙をこぼし、5年という歳月の重さを想い、それをこうして共有することをゆるしてくださったことに感謝して、しあわせ、というのはこういう気持ちなのかもしれないなあと考えては、また頂いたメールを読むということを面白いほど何回も繰り返していました。

君たちもなにか始めるんだろう。吉井さんはその言葉を覚えているだろうか。いや、覚えているかどうかなんてきっと関係無い。すべての表現は誰かが受け取ったその瞬間に走り出すのだ。そのことを、こんなにもあざやかにみせてくださった。

おめでとうございます。そして、ありがとうございました。

直接お伝えもしたけれど、この場所でもういちど。

ほんとうに、ありがとうございました。

わたしもこれからがんばります。

いつも、どんなときも、ただ自分のために。そのことを、心からお約束します。