THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017に行ってきたのよ

去年のメカラの終演後の特報で公演を知らされてからほぼ丸1年、とうとう東京ドームのライヴがやってきましたよ!公演までのタームが長すぎてなんだかテンション迷子みたいな感じになりつつ迎えた当日でしたが、いろいろと予想の斜め上だったり斜め下だったりに展開するライヴで気持ちよく振り回されました。愛と笑いの夜だったね。

 

1日目は1階スタンドのほぼ中央の後方で、2日目はエマ側のスタンド前方で見ていました。1曲目何かなっていうのはずっと想像してたんだけど、メインステージにいると見せかけての卵から登場、そして犬小屋という入りで、メカラ8のラストの曲から今に繋げたスタートというのはまあ予想の範疇だったかなーと思います。

 

1日目は緊張からなのか吉井の声の調子も序盤いまひとつで、そうするとまたぞろ心配の首が頭をもたげてしまうし、あと音響的な配慮?だったのか、サイキックやSPARKがえらくテンポが遅くなってたり、音圧的にも1階後方ではビシバシと来ず…となんだかこう「ライヴの楽しさ」との間に一枚薄い膜があるようなもどかしさがありましたが、2日目にはまず吉井が完全にギアをあげてきてて(自分で「調子がつかめました」とか言っちゃうのがあいつクオリティ)、ドームのサイズでの客へのアピールや演出を踏まえた間合いの取り方、ツッコミ、そしてモニタのカメラ位置などを完ぺきに把握していたのに唸りましたし笑いました。さすが2日目男だよって感じだし、どれだけサイズがでかくなろうとも1日でアジャストできるその能力なー!っていうね!

 

ドームだからってことでおそらくシンプルに見せきるんじゃなくて1曲1曲に趣向を凝らさなきゃ!という思いがメンバーとスタッフにはあっただろうと想像するんですが、みんなが驚いて喜んでもらえるやつ、を考えているうちに喜んでもらえるより驚かれるやつっていう方が先に立ったようなあれこれが盛り込まれており、最初これはどういうテンションで受け取ったらいいのかと思ったんですけど、「太陽が燃えている」のアレで完全に吹っ切れましたね。なにしろ絵面が破壊的に面白すぎた。吉井のたいようがー、もえているー!でモニタに炎に包まれるエマが映った時のあのインパクト、今思い返しても新鮮に爆笑できます。しかも1曲中ずーっとあの絵面なので、メンバーが映ると背後に映っている炎も相俟って完全に炎に取り囲まれてるやないか!って状態なので1曲中ずっとひーひー言いながら笑ってました。この曲で吉井が「同じ場所でまた会おう」でここ、とステージを指さす仕草をするのが大好きで、見逃したことないのに、1日目はもはやそれどころじゃなかったですもんね。吉井も2日目には「ヒーセが、燃えている、いや焼けている!」とか言ってて笑いましたしそうか…太陽フレアってこういう…いや違うだろ!どっちかっていうとこれはBURNだろ!と思ってたらBURNでは燃えへんのかい!という心のツッコミが随所で炸裂しました。いやーホントあんなに笑うとは。意図したものかどうかはともかくこれから東京ドームのことを思い出す時、あの炎に包まれるエマの絵面はぜったいにおもいだしちゃうし、そのたびにきっと笑っちゃうし、そういうのもなんだかTHE YELLOW MONKEYらしいなって思いました。

 

個人的にダメだしというか、惜しいと思ったところは、各曲に演出・趣向を組み込み、かつ花道への出ハケを繰り返すので、セットリストの流れがいまいちよくなかった点です。吉井って、そういう嗅覚が異常に優れてて、曲間のつなぎにもめちゃくちゃこだわるし、そのこだわりから生まれた美しいセットリストの流れが過去にいくつもあるわけで、そういう部分を堪能できなかったのは残念でした。BURNからASIANに行くよりもラブショ―からのASIANのほうが盛り上がりとしてはうまく階段を上がれると思うけど、それはラブショ―のあの演出からすると組み込めないよなーとか、後半に甘い経験や見てないようで見てるみたいな、観客をしぬほど踊らせるアッパーな曲をもう1、2曲かませてくれたらなと思うところがあっても、演出の流れがやっぱり優先されてしまうという感じがありました。まあ映像そのものも特に後半あまりにも主張がすぎてどうかっていうのもあったんですけどね。なんでもかんでもやればいいというものじゃないなーと。MY WINDING ROADが久しぶりに聴けて文字通り大歓喜の舞を踊った私ですけど、映像でミラーボール出してどうする。そういうことじゃねえんだ!あれじゃディスコじゃなくてパチンコだ!

 

とはいえ、あの周回花道を作ったのも、これでもか!と趣向を盛り込んだのも彼らのサービス精神のあらわれにちがいなく、あの年齢になってあの長さの花道を縦横無尽に動き回るのはさすがにキツかろうし、演出に凝る=リハを重ねる必要があるってことで、あそこまでに持っていくのには多大な時間と労力をかけてることは間違いないと思います。シンプルにやったほうがそれは本人たちだってきっとラクではあるんだよね。その行き過ぎたサービス精神ゆえに若干トンチキな佇まいになっているところがあっても、こういう何しでかすかわかんないところも好きだったんだよなーって改めて思い出しましたし、そして2日目のドームでは、そのトンチキを「カッコイイ」にねじ伏せるような勢いがあったのもすごくよかった。この、笑っているうちにまたどんどん好きになっちゃう感じ、懐かしい、懐かしいし、そういうステージを東京ドームで出来ているということがまずもう、すごすぎる。

 

セトリ的にはメカラ8の肝になった曲がけっこう選ばれていたなーという印象なんですが、とはいえメロメやんなかったね…吉井ちゃんがあんな思わせぶりするからメロメはやるもんだとおもってたよ!ロザーナもようやくライヴで聴けた~~でもメインステージいっぱつめはStarsのほうがハマったような気がしないでもない(ようこそこの場所へ、って歌詞もあるし)。再集結後初披露になった過去曲は嘆くなり我が夜のFantasyとMY WINDING ROADかな。嘆くなり、あのイントロでぴゃっ!って飛び上がったし、嘆くなりがきたということは追憶のマーメイドワンチャンあるのでは…!と滾ったけどなかった…(しょぼん)。こうなったら福岡のメカラでやりなはれ。なんなら追憶やるの匂わせまくって客を釣りなはれ。

 

MY WINDING ROADはぜったいドームでやって欲しい!と思っていたので、ROCK STAR終わりでエマがサブステにひとり残った時点でキターーーー!と心の中で大拍手でした。エマボルタさま御降臨。ありがたい。ありがたい。2日目は花道が近かったので、これは、エマさまの「セクシー」がいただけるポジションなのでは!?って浮かれてひさしぶりの両手を広げて「えーーーーまーーーーーー」をやってしまったわしじゃよ。セクシー、遠いとはいえ正面で頂けて感無量よ。花道を歩きながらおなごをばんばんころしていくエマが堪能できて言うことなしでした。しかし、この曲に限らず、エマの大舞台での強さはほんと天井知らずだな!2日目に確実にアジャストしてくる吉井もすごいが、1日目から完全にできあがっているブレない男エマさまゴイス。ハコが大きくなればなるほど緊張しないつっただけあるわ…。SUCKの吉井のマイクスタンドぶん回しを見逃したことのない私でも2日目はついついエマを見てしまったもんね!

 

日替わりになったのは1日目I LOVE YOU,BABYで2日目がTVのシンガーってとこだけでしたね。I LOVE YOU,BABY、去年のホールでもやってくれてたけど、私が見たときは吉井が「感じる?」を歌ってくれなかったつーてぶーたれていたので、この日はシッカリ聴けて嬉しかったです。TVのシンガーはね、中継といえばこの曲っていう吉井ちゃんの律義さよ。そういうとこ推せる。まあ、途中のMCでスカパーとWOWOW間違えちゃったけどね!さすがに「スカパーだよ!」ってツッコミが声に出たけどね!WOWOWで中継したの17年前のドームですから!残念!あとで怒られたかな~最後はしれっとスカパー言い直してたからアンコール前にツッこまれたんだろうな~イヒヒヒ。

 

天国旅行から真珠色という中盤の流れ、真珠色もセトリの位置としてはもう少しあとのイメージだけど、ここでストリングスがはいってアウトロがあってお着替えという趣向があったからこの位置なんだろうなー。真珠色でストリングスのアウトロが続くと「まさか…アレ…!?」みたいなこと思いがちだけどさすがにドームでそれはないと思い直した私だ。いや着替えてはきてたけどねみんな!アニーも!予想の斜め上すぎるわ!前半がみんな黒のジャケットで、後半は明るいトーンの衣装だったのは過去と未来みたいなアレだったのかな。単にどっちも着てみたかっただけかな。1日目はあのギターソロで吉井がエアーでエマの手を追いかけるやつしなかった(どうぞどうぞと手で前に促しておしまいだった)んだけど、2日目はやってくれてたな。ふたりともすごくいい顔してた。天国旅行、モニタがずっと砂嵐でうっすらメンバーが映る、みたいな趣向だったんだけど、逆に吉井の声に集中できた感じ。カウントのあとのアニーの入りが若干ずれたような気がしたけど気のせいかも。やっぱりパワーのある楽曲だし、この舞台でまた演奏されるのが格別という感じでした。

 

後半はホーンやコーラスも入ってお祭り気分全開、メンバーも花道にどんどん出てくるし(というか、ボーカルよりも先にギターとベースが花道を闊歩するのがTHE YELLOW MONKEYクオリティですし最高に好き)、SUCKのときなんか花道が紅白に光ってどんだけおめでたいんだよ感すごいし紅白歌合戦より紅白歌合戦だった。花道を歩くヒーセとエマがぜんぜんスタイルが違うのもいいよね、ヒーセは基本、ちょこちょことかわいくラヴリーな笑顔を振りまいているし、エマはまじで私が大向うなら「菊地屋ァ!!」「たっぷり!!」と声をかけたさ満載の真打ち感あったな~。でも花道ですれ違う時のかわいいふたりが一番スキ…うふふふ…。ラブショ―の世界のおねえさん勢揃いも、もはや「太陽が燃えている」のあとでは何を見てもおかしい病にかかっていたのでうひゃうひゃ笑いながら見ていました。吉井くんもっとぐいぐい絡めばいいのにと思いつつ、一瞬おねえさんからつば広の帽子をお借りしてかぶったときが一番テンションあがったとか内緒だ。ああいうのたまらんよね。

 

MCはほとんどなかったけど、バラ色の前にメカラ8のときのことに触れてて、1日目はそこで「悔いのない人生をってあのとき言ったけど、みなさんどうでしたか、おれはね…小さな過ちはおかしたけど…」私の心の声「(リ、リアル…)」みたいな発言があったり、2日目は2日目でこんなダメ男だけどー!またここでできたからー!みんなに会えたからー!アナタガスキダカラー!(後半ほぼ嘘)とかいってて結論としては愛いやつでしたね吉井は。1日目のバラ色の時、気持ちよさそうに歌ってるなって思ったら気持ちよさに酔いしれたのか2番の入りを忘れるというね!あっはっは!

 

ALRIGHTのときにね、ヒーセが上手花道の七三あたりの位置にいて、エマがその逆、吉井がサブステにいてアニーはメインステージ、そこでそれぞれが向かい合っている場面があって、あれはほんとうに美しく、すばらしい光景だった。4人の形がちょっとダイヤモンドのようにも思えたし、あの大きなアリーナで円を囲むようにお互いを見合ってこの曲を奏でるということ自体が、歌詞にもある「何よりもここでこうしていることが奇跡」そのものだったとおもう。

 

本編終わりのあとはHorizonがフルで流れて、ここでフルで流れるってことは演奏しないのか、ざんねん、でもPV(?)かわいいなーと思いながら見ておりました。そのPV明けで間髪入れずにアンコールスタートで、ほんとどんな隙間にもおかずを詰め込むTHE YELLOW MONKEY魂なー!2日目のSO YOUNGのときに、エマと吉井がかなり長い間視線を交わしながらアウトロを弾いていて、その時の吉井の顔がほんといい顔だった。楽曲が楽曲だけに、この曲をこんなふうに演奏するときがくるなんて、という意味でも忘れがたい一瞬だった。

 

しかし、太陽やラブショー、犬小屋、バラ色やBURNや真珠色といった「俄然強め」の楽曲を出し切っても、最後にASIANというカードを切れる、この頼もしさったらない。ほんとうにASIANとROCK STARはこのバンドに尽くして尽くして尽くしまくっている楽曲だとおもうし、なんなら盆暮れの付け届けだってしたいぐらいだよ。このバンドが解散したとき、どんなレアな楽曲よりも、いつもそこにあって聴けることが当たり前だったこの2曲が失われたことに心底打ちのめされたもんだったよ。そうそう、ROCK STARでは「死んだら新聞、死んだら新聞」からの「新聞とりませんか」な勧誘が入って笑ったし、2日目には「読売」のダメ押しがあったのも笑ったし、何気にその前の「あたまはー、ひっぱってもとれなーい!」も笑いました。\ヨカッタネー!/←私の心の声

 

ASIANではきっと、吹上げの紙吹雪をやってくれるだろうなって思ってて、ピンク色の紙吹雪がいつまでもひらひらと舞い散る中、まさに桜舞い散る九段下…じゃなくて後楽園だけど、あのときと似ている光景でも、こんなに違う気持ちで美しいステージを見られたこと、忘れません。

 

ここからはあまり当日のライブのことというよりは、自分のひとりがたりというようなものです。いや、ここまでも十分ひとりがたりだけどね。

 

ドームでなにをやるか、というのを予想しているときに、ぜったいJAMはやるよね、いや、やってもらわねばこまる、そう思っていて、でもJAMをやる前に、あのメカラ15の、解散のときの最後のステージを、2004年12月26日のことを、ことさらに何かMCで言われるのも、いやだし、だったらもういっそのこと、最後の曲だったJAMを最初にして、あとはドカーンとお祭りムードになったらいいじゃない!なんてことを友達と話したりしていた。最後の曲が最初の曲へ、という流れはあながち間違ってもいず、ただ彼らにとっての「最後」だったのはメカラ8のWELCOMEだったということなんだろう。

 

JAMは本編の最後に演奏された。その前のMCで、1日目のとき、吉井は「ここでこの曲をやるのは本当に感慨深い」とだけ言った。そしてあのハイハットの音。あのとき、演奏するかしないかわからない、そういう気持ちでドームにきて、メンバーが現れて、エマが髪を切ってパーカーを着ていて、ギターを手に取った瞬間のぐらぐらと頭が揺れるような気持ちを、私はあえて思い出そうとしていた。もう否定された過去をずっと愛しているつらさを抱えていかなくてもいい、あのときのわたしへの弔いのような気持だった。このJAMという曲が結局のところ、わたしをここまで連れてきた、この曲にはじまってこの曲におわるのだ、そう思ったときの気持ちを。

 

JAMは本当に強大なパワーを持った曲だから、解散したあとも何度も演奏されたし、再結成後のツアーでも勿論セットリストに入っていて、そういう年月を重ねていくにしたがって、みんなと共有するロックアンセム、としての側面が際立ってきたとことがあるとおもうけれど、この日の東京ドームで聴いたJAMは、かつての、世界にたったひとりのためにうたわれるパーソナルな楽曲として私の胸には響いた。くしくも、吉井が2日目に言ったように、みんなに聞いてもらいたいけれど、ひとりひとりに向けて歌いたい、と言った言葉そのものだったとおもう。モニターの左半分に映し出される吉井の顔と声は、どこか必死で、かれの魂のかけらがはいっているように感じられた。いや、それとも、あのときここに残していった魂のかけらを拾おうとしていたのかもしれない。

 

この東京ドーム2日間で、過去はすっかり上書きされ、楽しい思い出だけがつまったものになるのか、と言われると、そういうわけでもないだろうと個人的には思う。あれもこれもぜんぶふくめてわたしとTHE YELLOW MONKEYだから、また素敵な模様が心に一つ増えたし、その模様のおかげで、見るのがつらかった模様もいいものに思えてくるような気がしている。そういう模様をこれからもどんどん重ねていけたらいいなと思う。少なくとも、この曲にはじまり、この曲におわるのだと感じながらJAMを聴くことはこれからはもうない。特別な1曲でなく、消費されて、消費されて、それでもわたしにつきまとう腐れ縁のような楽曲としてつきあっていきたいし、JAMだけでなく、THE YELLOW MONKEYのどんな曲も浴びるほど聴いて、飽きるほど聴いて、それでも私の人生に腐れ縁のようにつきまとう、そういうバンドとして一緒にいられたらいいなとおもう。2日間おつかれさまでした。大きな犬小屋へ、ようこそおかえりなさい。これからも、どうぞよろしく。