THE SILENT VISION TOUR 2021@Zepp Osaka Baysideに行ってきたのよ

ツアー3か所目!個人的に初ベイサイド。なるほど確かになんもねえ!ユニバは近いけど!スタンディングライヴはもうマジで足腰がしぬんでございます、な年齢ですが、今回は椅子ありZEPPなので老体にとてもやさしかった。むちゃくちゃ後ろの席でしたが、後ろ過ぎて視界は良好だった(段差があるため)。

まったくセットリストを知らず、かつ予想もぜんぜんつかないまま(新曲はやるだろうという予想とも言えない予想ぐらい)だったので、いやーーーいろいろビックリしたし面白かった。ぜんぜん知らないままでいたいな!って方はなのでこの先はまだ見ない方がいいかもだ。

吉井ちゃんお召し物は黒革のジャケット、ドレッシーなシャツも黒、パンツも黒とこんなに黒で固めてるのにまったく地味じゃないのがすごい。なんで?本人が光り輝いてるから?(ええようにゆうた)

しょっぱなに新曲の「〇か×」もってきたのも、あんまり吉井ちゃんに無いパターンだなー!と驚いたのに、そのあとに続くのが無音db、Biri、そんでフロリダときたのでひえ~~とひっくり返りそうになってしまった。どれもこれも久しぶりすぎる。いや、バンドの活動があったから…とかそういうことじゃなくて、ソロの楽曲における定番というか定石というか、そういうのを一歩も二歩も外してるんですよ。いわゆるやりこんでない曲たちばかり。フロリダとかマジで…いつぶりなんよっていう。

ライヴの後半ではさすがにお馴染みのセトリがいくつか並んだが、前半はもう、驚きの連続、ワンダーの釣瓶打ち、さすがに知らない曲はないけど寄る年波で咄嗟にタイトル出てこねえ~!となる曲もあったほど。しかし吉井ちゃんの曲はたいてい歌詞にタイトルが入っているのでご老体に優しいよね。

しかし久しぶりでも勝手に身体が反応するのは自分でも面白かった。踊りながら頭の中で吉井ちゃんのディスコグラフィーがザザザザザとめくれていくような感覚だったなー。

こうなると、このセットリストをどういう基準でチョイスしたのか気になるところだけど、どこか一貫性はあるような気はしてて、なんというか、内省的な色合いの濃い楽曲よりも攻撃に転じたような勢いのある楽曲が多い気がする。歌詞もそういう意味のこもったものが多いというか。しかも、ナポリタンズに真壁さんが加わって、かつ久しぶりのツアーでまだちょっとバタバタしているようなところもある中、吉井の「誰ひとり置いてかない」とでもいわんばかりのぐいぐい引っ張る力が最初から最後まで一貫してて、むちゃくちゃ頼もしかったし、過去に手の内に入った曲ばかりじゃなくても、絶対モノにできる、というような高め安定のパフォーマンスが見られたことになんかちょっと感動さえしてしまった私だ。

Biriなんて、あんな浮かれパーティーチューンに見えて、こんなに肚の据わった決意表明楽曲でしたっけ?って自分でも驚きだった。観客から声は返ってこなくても、「君もすきじゃん」のとき、あいつ絶対いい顔してたにきまってる。あと個人的に前半の白眉はSIDE BY SIDEで、ありがとうございます、途中でお手本のようなジャケットプレイ、ありがとうございます。右肩はずして引っ掛けてうずくまって歌って立ち上がりざまターンして左肩を落とす。完ぺきでございます。しかもそのあとボウタイをゆるめて袖のボタンはずすとこまでやってくれた…とんだサービス過剰だぜ…いいぞもっとやれ…。いや、それはさておいても(置くな)、SIDE BY SIDE改めて名曲。最後「無理に笑うのよせ」のとこ、いつ何時でも最高。

黄金バット当て振り大好き吉井ちゃんが炸裂してたし、RAINBOW!クランベリー!なつい!!ともうイントロのたびに心の中できゃいきゃいはしゃいじゃいましたね。シュレッダーで思わずホッとしたもん。そうそう、これこれ、聴きなれた味…って感じで。しかし、今日のセトリの中でも1,2を争うほどにやりこんでいるはずのシュレッダーと点描がいちばん歌詞がふわっふわだったのはどういうことだってばよ(笑)

後半戦だよーと言われて始まったのがロックンロールのメソッド、MUSIC、点描のしくみ、Hattrick'n(!!!)、PHOENIXビルマニアっていやマジで踊らすやん。吉井の過去のソロのライヴと比べても相当に踊らすやん。ロックンロールのメソッドってこんなカッコいい曲だったっけ?あと…Hattrick'nってこんなに!!!!かっこいい!!!曲だったっけ!!??いやもう後半の白眉はこれよ。ど派手な照明の中でマイクスタンド従えて立つ吉井のシルエットのガンギマリさったらない。いやマジで…こんなにかっこいい曲だったっけ!!??(2回言った)

アンコールはドラムのキックの効いたアレンジのWINNER、でもってWEEKENDER。いつものコール&レスポンスのところで、吉井が「こころで!」って煽ったのがすごく、よかった。あの瞬間なんか、聞こえない声が聴こえるような気がしたよね。観ている観客としては、歓声がないのは物足りなくないのかな、とか心配しそうになるけれど、吉井はこういうところで本当にタフというか…観客の生きている反応を力に変えるってことに天賦の才があるんだなと思い知らされます。絶対にやられっぱなしじゃ終わらねーぞ、というか…そう、今回のライヴにはそういう、吉井のなにくそ精神が形となって現れたようなところがあるなとおもう。

最後は「みらいのうた」。この日はMCらしいMCはほとんどなかったけど、この曲の前のときはわりとしっかりと言葉にしていたように思う。

自分の半生をまとめたといったら変だけど、難しくない、簡単なことばで曲をつくった。あえて外部のアレンジにおまかせして、自分は詞と曲を提供して、あとは歌うだけ。
ぼくにとっての歌は、これがあれば生きていけるというか、これがないと、ちょっとやばいぞ、となるようなもので、勿論ここにいる皆さんにとっても歌は大事なものだろうと思うけど、僕にとっての「歌」にあたるものが、きっと皆さんそれぞれにもあるんじゃないかと思う。その皆さんにとっての「歌」を、思いながら聴いてもらえるとうれしいです。

そういう言葉に続いて聴く「みらいのうた」は、ほんとうに、どんな薬よりも日々の疲れやいろんなものでひび割れた心に沁みた。ただ機械を通して聴いたときとはちがう、全部の歌詞の意味が沁みとおるようだった。これが自分の半生だ、という言葉のあとに響く「この場所のここからたまらなく好きだよ」、「いつかすべてが変わるなら今日もただ耐えよう」、そして「いつかここから消えるなら 今日もただ歌おう」。君と僕を繋ぐメロディになるなら、こわくはない、みらいのうた…。涙があふれた。

今回のセットリストでは、バラードらしいバラード、メロウな楽曲は最後の「みらいのうた」だけで、静かな演奏に、ほんとうに歌の力だけに何かを賭けている、と感じさせる圧巻のパフォーマンス、いやもう見事な構成すぎたし、これをやってのける吉井和哉というひとよ…おまえの、そういうとこやぞ!そういうとこが、好きなんやぞ!

最後はバンドメンバーの退場を先に促して、吉井がひとり残り、大きく手を振って、オフマイクでひとこと叫んで、笑って去っていった。いい顔してたよ。たぶん。きっと。

懐かしく、久しぶりに聴く曲もたくさんあったからか、何度か、ホント私の人生、この人とこの人の楽曲に沢山助けてもらってきたな…としみじみしてしまう瞬間がけっこうあって、どうも、あの時助けていただいた亀ですじゃないけど、恩返しもできないけど、相変わらず飽きないし、好きだし、これからもたぶんそうなんだろうなって思います。バンドがいない頃は、どこか足りないものを探すような、そうした残像を引きずるような感傷がどこかにあったけど、それがなくなっても、やっぱり吉井和哉はわたしにとって驚きに満ち溢れたひとなんだなあとしみじみ思う夜でした。むしろシンプルに「かっこよさ」に磨きをかけてきつつるんじゃないかという気がして、相変わらず衰えない吉井和哉のカッコよさの速度を堪能できた夜でもありました。
THE SILENT VISION TOUR 2021@Zepp Osaka Baysideセットリスト
1.〇か×
2.無音db
3.Biri
4.フロリダ
5.欲望
6.黄金バット
7.SIDE BY SIDE
8.RAINBOW
9.クランベリー
10. シュレッダー
11. ロックンロールのメソッド
12. MUSIC
13. 点描のしくみ
14. Hattrick'n
15. PHOENIX
16. ビルマニア
アンコール
17. WINNER
18. WEEKENDER
19. みらいのうた