THE YELLOW MONKEYライヴ映像・独断と偏見でしか選んでないエポック10【後編】

では後編5曲です!前編はこちら!
tify.hatenablog.com

フリージアの少年/「メカラ ウロコ・7」収録

この企画やるにあたって、当然まず10曲候補を絞るところから始めたんですけど、9曲までは何の迷いもなくスパッと決まったんですよ。でも残り1曲が決まらない。帯に短し襷に長しじゃないけど、これを入れるならこっちはどうなの?あれは?となってしまい、つまり同率10位がむちゃくちゃたくさんいる状況。それで再集結初日のプライマル。(9999の先着特典)とか、RED TAPEの人生の終わりとか、メカラ9のメリクリとか、いくつかの候補を順繰りに見ていって(そんなことしてるから時間がかかるんだよ)、見始めた瞬間に「これだな」となったのがこの曲です。だからこれはその日の気分で変わるのかもしれないね。

メカラ7のVHSは発売されたのが実際の時系列よりも遅くて、RED TAPEの方が先にリリースされてるんですよね。でもずっとメカラ7を出してくれって要望はめちゃくちゃあったんだと思います。98年10月のリリースですから、つまりパンチドランカーツアーの真っ最中ですから、そりゃもう飢えに飢えたファンにとってこれ以上のご馳走があろうかという。

吉井和哉のドラマティックなところ、シアトリカルなところがここまで形となって現れている映像もなかなかないと思います。またこのカメラワークがそれを後押ししている。乱れた前髪の隙間から吉井の左目だけがのぞくショットとか、執拗に画面の半分に吉井を見切らせ、片目だけを追うカメラワークも勿論なんですが、特筆すべきはあのアウトロで、マイクから遠ざかり歌い続ける吉井和哉を捕らえ続けるところ。音としては歌っていないわけだから、エマやヒーセにカメラを振りたくなりそうなものですが、ここは吉井和哉を追わないとわからないドラマがこの楽曲にあるわけで、いやもうさすがですわー!と大の字になって天を仰ぐ心境です。

私は自分がもともと演劇好き、シアトリカルな演出大好物人間なので、はじめてこの映像を見た時、大袈裟でなく画面に吸い込まれるかと思いましたし、はちゃめちゃな興奮とこうしたドラマが共存しているパフォーマンスに、まじで一生ついていきます…!と心に誓ったことを思い出します。

天国旅行/「『9999+1』-GRATEFUL SPOONFUL EDITION-Disc2」収録

ニューアルバム「9999」を引っ提げたツアー、GRATEFUL SPOONFULの4種類の公演から、ダイヤマークの最終日宮城公演を収録した特典ディスク。なんで数ある天国旅行の名パフォーマンスの中からこの盤をチョイスしたかというと、そりゃ吉井和哉が泣いてるからですよ!わあ!なんてゲスい理由!

ツアーの宿命というか、ファンって往々にして「違った探し」をしてしまうところがあると思うし、まあそんなことをしてもなんにもいいことねえよとしか言えないんだけど、なんかこう、アーティストにとっても特別な瞬間を分かち合いたいみたいな欲がね、抜きがたくある。でもって、このアーティスト側のエモさをはかる物差しに「涙」を持ってくる一派ってぜったいいるじゃないですか。アーティストによっては、本当にはっきり落涙する、しゃくりあげる、声が詰まって歌えなくなる…みたいなひとももちろんいますが、吉井は(彼の内心はもちろん知りようもないが)そういうエモさを律するのに非常に長けていて、エモに浸りきらない、みたいなところがあると思うんですよね。

で、私は吉井のそういうところがむちゃくちゃ好きなんだけど、でもこの天国旅行はなんつーか、あっ、このひと、こんな顔して泣くんだ…という新鮮な驚きがあった。もちろん、びえーんと泣いてるわけじゃないが(そりゃそうだよ)、見ていると「泣いてる」としか言いようがないし、ご本人もそれを自認してらっさる。私の学生時代からの友人で、異性のタイプを聞かれた時に「泣き顔が想像できる男」と答える猛者がいるんですが、一瞬彼女の言うことがわかる…!と思ってしまうほどに性癖のどっかに刺さるやつです、これは。しかもね、それをこうして「盤に残していい」と思えているのがまた、すごくいいことだと思うんですよね。

それにしても、この楽曲をやっているときの4人の没入感というか、吉井だけじゃなくバンドにとって、この曲をものすことが出来た、というのが途轍もなく大きな財産になってるんだなということに感じ入ってしまいますね。エマも、天国旅行がセットリストに入っているときはそこを核にしてた、って言ってましたもんね。リリースから時を経ても、この曲をやっているときの誇り高さは昔とちっとも変わらないなと思います。

甘い経験/「PUNCH DRUNKARD TOUR 1998/99 FINAL 3.10 横浜アリーナ」収録

例によってこれを書くにあたり律儀に当該楽曲を見返しているんですけど、なんでこれを選ぶかっていうと、パフォーマンスとしてのクオリティとかそういうのじゃなくて、スタッフがステージに出てきて踊るっていうスペシャルな演出があるからでもなくて、ひとえにこの「おれと同じ踊りを踊れ」と言われてきた長いツアーの、鍛え上げられたオーディエンスのぶち上がるさまを観るのが好きだから、それに尽きます。

今日はスタッフが全員で踊るぜ、と吉井が言って、そのスタッフの阿鼻叫喚を観るのももちろん楽しいですが、あの間奏に入った瞬間のうねる客席、あの中の何割かはもうステージすら見ていないと思う。あの光景を見るたびに、のちのちに内外から色んなことを言われ、鬼っ子のような(言いすぎ)パンチドランカーのツアーが、でも最高に楽しい瞬間があったし、私たちは全力でそれを享受していたんだってことを思い出させてくれるような気がします。

本当に、「鍛え上げられた」っていうのは誇張でもなんでもなくて、オープニングSEの「オマル」が流れてきたらみんな歓声よりも何よりも先に上着脱いで準備運動始めかねない、そんな雰囲気があの頃の客席にはありました。この映像にはその頃の「楽しさ」を凝縮した一瞬が閉じ込められているようで、私にとっては忘れがたい一曲です。

悲しきASIAN BOY/「RED TAPE "NAKED" ARENA TOUR ’97 “FIX THE SICKS” at 横浜アリーナ」収録

単体RED TAPEには収録されていなくて、FIXツアーの横アリ最終日をまるっと収録したNAKEDの映像です。WOWOWで生中継もされていて、その録画したやつを大事に大事に、VHSからDVDに焼き直して大事に大事にしてました。大好きなライヴ。

ASIANなのに武道館の映像じゃないの?というツッコミがあるのかないのかわかりませんが、そう、そのツッコミは正しい。ASIANといえば武道館ですよね。私もバンドが解散して以降は、このASIANをまたあの4人で、武道館で聴ける日がきたら、そういう夢にとりつかれてましたもんね。そんな妄執を差し引いてもこの横アリのASIANを選んでいるのにはもちろんいろんな理由がありますが、やはり電飾、特効、そしてなにより最後の「We are №1 Rock’n Roll Band, THE YELLOW MONKEY!」のコール。これらがすべて、最高の条件で揃っているというところが大きいかもしれません。

このFIXのツアーは彼らにとって初めてのアリーナツアーで、最高のアルバムを引っ提げてのツアーでもあって、まさに「向かうところ敵なし」という、バンドの全能感がこれ以上詰め込まれたライヴ映像はちょっと他にはないんじゃないかと思います。今改めて見ても、さすがに自分の原点を確認するというか、いやこれ、好きになるはずだわ…としか思えないショットの連続です。ASIANでのお約束の数々も、ここを標準値として自分に刷り込まれているんだなと。満員の横アリのワイパーも壮観ですし、こののち、彼がここ横浜アリーナを「聖地」と呼ぶ第一歩を感じることができる映像になっていると思います。

吉井和哉はもう、この先ASIANでWe are №1 Rock’n Roll Band, THE YELLOW MONKEY!というコールをすることはないのかもしれませんが、それでも私は心の中でいつもこの言葉を唱えてますし、今でもそのコールに相応しいバンドだと心の底から信じています。

Sweet & Sweet/「TRUE MIND TOUR‘95-’96 FOR SEASON in motion」収録

ベストじゃないですー言うといてなんなんですけど、もしベストの1曲を選べと言われたらこれになるかもしれません。楽曲の半分以上が客席のリアクション、おそらくメンバーが映っている時間がもっとも少ないライヴ映像ではないでしょうか。その昔全曲感想の時にも書きましたね。「曲として好きな楽曲を10曲選べといわれたらSweet & Sweetはその中に入らないかもしれないが、ベストライブ映像を10曲選べといわれたら、間違いなくこのTRUE MINDのSweet & Sweetはランクインする。」いやもうそのまんまだよ!!

最初にこの映像を見たのはTRUE MINDのVHSじゃなくて、たぶんNHKで放送されたTHE YELLOW MONKEYの特集番組(ROCK ON MY MIND)だったんじゃないかと思います。思えばあの番組、当時は盤にすらなってなかったメカラ7のSLEEPLESSを流してくれたりしてレア度この上なかったわけですが、このSweet & Sweetも発売されている映像をまるっとフルで流してくれてましたね。

なんて楽しそうなんだ、このひとたち。初めて見た時そう思ったし、それから20年近い時を経た今見ても同じことを思います。ある事象を表現するときに、事象そのものをとらえるよりも、その周囲を見せることで浮かび上がってくるものって絶対あると思うんですが、この映像はメンバーだけを映していたのでは絶対にわからない、THE YELLOW MONKEYのライヴの本質を期せずして掬い取っていると思うわけです。映る観客の層もバラバラ、ライヴに対するリアクションもバラバラ、拍手もあれば捧げもあればヘドバンもある、みんなが好きなことしかしていない、ただそれだけで繋がっている、最高に興奮する空間。

なかでも、「ギターは君の手を縛り」で差し挟まれる、ほぼ最後列と思しきファンの手が束ねられたアクション越しのステージ、あれは文字通りのベストショットなんじゃないでしょうか。吉井自身が手を縛り、で当て振りをしても、そもそもギターを持っているのでああいう両手を掲げたアクションにはなりようがない。けれど、あれほど最高に絵になる構図はなかなかない。あの一瞬を抜いたカメラも、それを編集したディレクターも、文字通り最高の仕事をしていると思います。ちなみに、TRUE MIND NAKEDは、同じライヴですがカット割りがまったく違っていますので、この神編集を見たい方は単体DVDか黒箱をぜひゲットしてください。



以上、独断と偏見で選んだ好きなライヴ映像10曲でした!もともと彼らのライヴ映像を見るのが三度の飯より好きというたちなので、ここにあげた10本はそもそも思い入れがハンパじゃないし、書いてるうちにどんどんどんどん長くなるいつもの病が炸裂してしまいましたね。てへ。こうしたエントリを書くときは必ず原典(DVD)をおさらいすることにしているので、中には「久しぶりに見たぜ~!」というものもありましたが、久しぶりに見てもまったく記憶が薄れていないことを実感しました。こんなんだったっけ?って全然ならない。そうそう、これこれ、これだよこれ!!の連続。いやー楽しかったな!長々しいエントリにお付き合いくださり感謝!どうもありがとうございました!

THE YELLOW MONKEYライヴ映像・独断と偏見でしか選んでないエポック10【前編】

なんか仰々しいタイトルついてますが早い話自分が好きなライヴ映像ベスト10です。いつかやろうと思っていたけれど、このゴールデンウィーク、マジで!一切!何の予定もないこの5連休、さすがに何か自分にタスクを課さないと本気で5日寝太郎で終わってしまうという恐怖に駆られ手を付けることにしました。エポック10としたのはなぜかというとベストって言っちゃうとなんか違うし、フェイバリットってのも違うし、なんかこう自分にとってこれは忘れがたいなっていうか、いや忘れがたいのは全部なんだが、コンマとかピリオドとかを打ちたくなるような映像をまあ選んでみようじゃないのという趣旨です。

最初は1つの円盤に1曲だけの縛りをかけようかなと思いましたが、そうそうに挫折しましたので、大した縛りはなく、あるとすれば公式に販売された円盤に収録された映像から選ぶというぐらいです。ではいってみよ!まずは前編5曲!順不同です!

ROMANTIST TASTE/「TRUE MIND TOUR‘95-’96 FOR SEASON in motion」収録

間違いなく人生で一番繰り返し見たライヴ映像です。THE YELLOW MONKEYの、今風に言えば「沼」に落ちて、最初に買ったVHSのビデオ。これを買ったのはJAMが収録されていたからなので、そういう意味でもメジャーな楽曲を収録することの大事さを思い知りますね。

ともかく、買ってきたこのVHSを頭から通して見て、お目当てのJAMはもちろん、FOUR SEASONSや空の青と本当の気持ちや、最後に4分割で出てくるSUCKなんかに目を白黒させながら見終わって、わーーかっこよかったな、おもしろかったな…で、終わらなかった。次の日から、何をしてても、このブルーのシャツを着て、サングラスをかけた吉井和哉が、くちびるをゆがめて嗤いながら喉を掻き切るアクションをする吉井和哉が、脳裏から離れない。家に帰って、また見る。うん、うん、かっこいい。でもどれだけ見ても、何度繰り返しても、あの吉井和哉が見たくて、見たくて、何度でもビデオを再生してしまう。その頃の実家の親の悲痛な叫び「またイエローなんちゃら見るの!?」うん、ごめんねお母さん。こんな娘に育ってしまいました。

とまれ、この1曲はあまりにもすべてが好きすぎて、吉井の動きを完コピできるし、これも何度も言っているけれど、「終わらないために君のために」と歌詞を変えて指をさされる客席の女の子に生まれ変わりたい。たぶんそれだけで成仏できるんじゃないかと思います。

TRUE MINDの単体DVD、黒箱DVD BOXがオリジナルですが、TRUE MIND NAKEDはこの日のライヴがまるっと収録されているので、単体では見られないオープニングが、そして吉井ちゃんの「アハ~ン?」が聴けます。曲終わりにはそのまま「ハピーニューイヤー。すいーえーんすいー!」でSweet & Sweetになだれ込めます。お得ですね!(何が)

WELCOME TO MY DOGHOUSE/「メカラ ウロコ・7(完全版DVDBOX)」収録

単体DVDの方には犬小屋入らなかったんですよね。信じられます?なにがどうなってこれが収録曲から落とされることになったわけ?(尺の関係では?)完全版メカラウロコBOXが実現しなかったらこの映像は永久に陽の目を見ることもないままボインマンの倉庫に眠っていたかもしれないわけですよ。なんつーおそろしい話や。

驚くべきことに、この日のWELCOMEはフリージアの少年のアウトロからそのままイントロのドラムに繋がっていて、いつものあのSEと遠吠えから始まるスタイルじゃないのもまたすごい。温度差えぐすぎなんですよ。メカラBOXが発売になって、友人たちと10→9→7の順番で見て、このWELCOME見た時本当、椅子から転げ落ちましたもんね。こんなにすみずみまでカッコイイが行きわたった映像ほかにありますか?しかもそれが今ここに至るまで倉庫に眠っていたとは一体…?(しつこい)間奏で上手と下手の花道にエマとヒーセがゆっくりと歩いていくところ、ピックをくわえてアコギを叩く吉井、もうあのあたりから日本武道館が彼らのものに、4人の手のひらにぎゅーっと吸い込まれていくようで、身震いがするほどです。

華やかに見える道化師の黒い見世物小屋へようこそ、日本のバンドにとってある意味象徴的ともいうべき日本武道館というコヤを、この一曲で一瞬にして「黒い見世物小屋」にしてしまい、「ここから早く出たいよ」の歌詞のまま、このあと彼らはさらに大きな舞台へ挑んでいくわけで、そういう意味でも、THE YELLOW MONKEYの初期衝動が最高の形で結晶した1曲なんじゃないかと思います。

“I”/「ライブ帝国」収録

いやこれが入らないわけないでしょ、だって私が選んでるんだから。って開き直ってどうする。この話ももう何回もしてますね!もともとは1995年12月31日に渋谷公会堂で行われたカウントダウンライブ(LIVE DI;GA)で、ウルフルズハイロウズとの共演でした。THE YELLOW MONKEYにハマった当初、当時放送されたものを録画したVHSを見せてもらったのが最初。この日のライヴの吉井和哉はロビンというより18禁和哉で、まあ全編にわたってエロい(太陽が燃えているの間奏なんかマジですごい。これどんな気持ちでやってたのって今本人に聞いてみたい)。

そんでこの“I”ですよ。いやもちろんこの映像を見る前にも、アルバムも聴いてたし初武道館のVHSも見てたし、これが初見てわけじゃなかった。駄菓子菓子!この日の"I"を見て、初めてズドンときたというか、金切り声で幸せってシチュエーションを飲み込ませるのにこんなに説得力あるパフォーマンスもないというか、もうとにかく、こんなに生きるためのエロスが凝縮された獣のようなひとから、どうやって目を離しておける?いやおけない!っていう、衝撃の楽曲だったんですよ。

ライブ帝国が発売されるまでは、友人にもらった孫コピーどころではない玄孫コピーの映像を後生大事にしていたので、これが収録されると知った時は文字通り飛び上がって喜びました。DVD全体としてもTHE YELLOW MONKEYと縁の深いTVKで放送されたライヴ映像がぎゅっと詰まっていて、お気に入りの一本です。

パンチドランカー/「『9999』初回限定盤DVD」収録

Subjective Late Showツアーの最終日、岡山・倉敷公演のもの。いやー申し訳ない、なんだかんだいってもパンチドランカーの女だよあたしゃ。映像も、盤として発売するためにしっかり録ったものというよりは記録映像的な意味合いが強いのかなって感じだけど、そんなことは気にしません。

ニューアルバムの特典DVDを作ろうってなって、そこに再集結からリリース前までのライヴのベストセレクション映像を集めますってなって、この曲が入る嬉しさ、たとえられない。しかもね!岡山の公演のものを選んでいるっていう、ここですよ。間違いなく過去の「失敗でした」発言踏まえてのあれじゃないですか。この地だからこの曲なのか、この曲だからこの地なのか。いや公言されたわけじゃないですけど、そういうドラマをなおざりにする人たちじゃないんで、これはもう私の中で勝手に決めつけてます。

113本のツアーで当然ながらすべてのライヴのオープニングだった曲で、そういう曲っていちどアルバムから離れるとなかなかセットリストに入らなかったりするし、解散してからは「これをライヴで聴くことはもう二度とない」と思っていたし、再集結となっても、この曲にスポットライトが再び当たるなんて予想もしていなかった。でもね、ほんと、どうですか。再集結した年の秋のツアーだけれど、完全にあの頃の「淡々とすごいものを積み上げていた」佇まいはそのままで、でも間奏でぎゅっと全員が集まる時のグルーヴは間違いなく2016年のもので、大袈裟でなくこれを見ていると「奇跡って、起こるもんだなあ…」と感じ入ってしまいます。あのアニーを挟んで両隣に立つエマとヒーセ、現代の風神雷神というか阿吽の仁王像というか、ともかく完成された美を感じる構図で、何度見ても飽きません。

バラ色の日々/「30th Anniversary THE YELLOW MONKEY SUPER DOME TOUR BOX」収録

最新BOXから1曲選ぼう、と思って選んだわけではなくて、これはもう、選ばざるを得ない、少なくとも2021年5月の今の段階では、これほどエポックな映像はないんじゃないか。そう思います。

バラ色の日々という曲は、今更私が解説するまでもなく、バンドの後期に初の外部プロデューサーを入れて作られたチャレンジシリーズの第1作で、吉井和哉が休み明けにもじゃもじゃのパーマで出てきたという衝撃も強いけど、この外部プロデューサーを入れたってのがね、もうその時点でバンド的には黄信号というか、「音楽性」「新しい風」とか言い出したら大抵そこはもう地獄の三丁目じゃないですか。だからリリース当初から圧倒的にファンに支持されたとか、そういう楽曲では決してなかった。その後バンドを解散し、吉井和哉が初めてソロのステージで演奏したTHE YELLOW MONKEY時代の楽曲がこれで、それが大きな分岐点のひとつだったと思う。そこからの、バンドが不在であった時間にこの曲はどんどん存在感を増していって、今やファンクラブの名称もここからとられるまでになった。

けれど、この2020年11月3日の東京ドームでの「バラ色」は、大袈裟でなく違うフェーズあるというか、もっと大きなものが託されているし、それをファンもメンバーもみんなわかっている、そういう一曲になったと思うんですよね。このその場にいないファンからも歌声を募るSing Loudという企画は他の楽曲でも実施されているわけだけど、歌詞の内容も相俟って、歓声という言ってみればファンとしての手足を縛られても、ウイルスによって出歩く自由を失っても、それでも届け!という一念が現れているのは、このバラ色の日々なんじゃないかと思います。それは奇しくもこの楽曲が、バンドが不在の間にその根を深く伸ばし、幹を太くしていった楽曲であったことと無関係ではないのではないでしょうか。それだけ「託す」ことのできる楽曲だった、それはリリース当初にはわからなかったこの楽曲の持つポテンシャルだったんだと思います。アウトロを奏でる4人がお互いを見る目線のやさしさ、届けられたファンの声に耳を傾ける顔、まさにこのときのTHE YELLOW MONKEYの現在地を示すのに、これほど相応しい一曲はほかにありません。

THE YELLOW MONKEY 幻の東京ドームリハーサル音源を聴いているのよ

Live Loudと30周年ドームライヴのDVD/ブルーレイの両方を購入した人に、ちょうど1年前、2020年4月4日と5日に行われるはずだったTHE YELLOW MONKEYの30周年ドームツアーファイナル東京ドーム公演の、そのリハ音源をストリーミング配信で公開しちゃいますよってことで、それを聴きながらブログの更新をリアルタイムでやっていくっていう、昔そういうこと…やってましたね…(ヒーセのミッドナイトロックシティの時とか)と思いながら老体に鞭をビシィィ!!と音が鳴りそうに入れながら頑張りたいと思います。そんなこんなであと1分だよ!まじか!

 

1.真珠色の革命時代

5日のオープニングが11月3日に反映された感じなんだな。4日はメロメ始まりの予定だった?んだっけ?パンフでゆってたような。しかし実際のライヴの時も思ったけどとっぱちが真珠色なの新鮮すぎるな。ボーカルはまだなんかリハっぽさある気がするけど、それ以外は全然そんなことない。このレベルのを2時間半聴けるの、それはもうほぼライヴ盤なのでは…?

 

2.SUBJECTIVE LATE SHOW

真珠色からのSubjectiveってもうそれメカラ7思い出しちゃうやつやないかーーーー!!!!これーーーーーこれをーーーーーばかーーーーーコロナのばかーーーーー(はあはあ落ち着こうか)(いや無理!!!)あの繋ぎ…ドームで聴いたらいったん倒れて即生き返ったこと間違いなしだわ。あっ吉井いま下で歌ったね。そしてエマの自由闊達という名の好き放題ギターの輝きったら。フェラチオって歌うときの吉井がいやらしかったので今日も元気です

 

3.追憶のマーメイド

あーここで追憶だったのね。ストリングス入ってる?ストリングスでオープニング固め打ちにしたのか?しかし、この話私のサビなので何回でもするけど、あれだけ冬の時代が長かった追憶がよくぞここまで…(ほろり)間奏の入り方ちょっと面白かったな。すっかり定番曲になりつつあっておばちゃんうれしいわよ

 

MCもいちおう形だけはやるのね。「不思議な雰囲気の中やらせてもらいましたけども」っつーのがリアル。

 

4.Balloon Balloon

なにげにドームツアー皆勤のばるんばるん。最初のジャコウネコの歌い方がじゃっかんやけっぱちでよかった。高音ちょっとキツそうだなー。ライヴでここまで詰まることないからやっぱリハと本番では違うっていうところか。しかし私はこれはこれでセクシーですきなやつ(病膏肓)

 

5.FAIRY LAND

FAIRY LANDやっとるんかいーーー!いややってないけど、やるんやったんかいーーー!!ドームで!げっだーん!!!くそーーーー!!!ばかーーーーーー!!コロナのバカーーー!!これなんべんいっても飽きたらんわーーー!!!ああ~~~~やりたかった…そして映像にも収録してほしかった…っておいよしい今のなんやったんwwいつ何時でもうれしいFAIRY LAND、リハ音源でも最高です、あああ………

 

6.Tactics

「心の声でけっこうです」って言ってるってことはこの時点で「声出しNG」想定してたってこと?なにげにすごない?「めっちゃいい声です」ってこの時点で言ってるのもすごい。あとライヴ音源で聴く吐息のありがたさ。たぶん寿命伸びる。たまに見せる…のあとなんて?いやそういうところもリハ音源のありがたさ。お前のくれる飴をなんでももらう俺だよ。最後のギターの掛け合いも最高~~~

 

7.球根

もう、エマのギターがリハからやり放題です!エマのそういうところが好き!!球根ってやっぱそうとうボーカル力がいる曲だし、なんとなくその日の調子を球根ではかるみたいなとこあるけど、吉井ちゃんも球根を境に本調子、みたいな感じになること多いよね~。

 

なんかもっと雑談とかすんのかなと思ったらそうでもないと思ったらアニーがしゃべった!クララが立った!アニーの声だけはっきり聞こえるのはアニーがマイクの近くにいるから?

これ時間計ってるんだな~移動も含めて。ここからセンステ

 

8.花吹雪

 バンドがもっとも熟れていたときの楽曲でございます、の曲紹介。熟れて売れてたわよね~そうだわよね~。これは演奏する時期をふまえての選曲だったんだなきっと。だってまさに今日、どこもかしこも花吹雪だものね…そういう季節感大事にする子だもんねうちの子…。

 

9.FOUR SEASONS

ここのあたりは11月3日と同じ流れだね。いやこれドームの映像がまず素晴らしかったじゃないですか。花吹雪からの流れも今この時期に聴くとまた違う意味合いが感じられて大変よいです。いやしかしリハでこれか吉井。すごいなおい。やっぱり完全に球根以降本意気に入ってきとるやないか。いまの「ああ、ああ」のとことか…最高かよ…えっ最高かよ…どんどん最高になっていくんですけどどうしたらー!

 

受けてる!MCがスタッフに受けてる!アニーが2回ホコ天やったことをいじってウケてる!「キラーメイでやったの?昼間?バカか!」のとこよかった

 

10. FOXY BLUE LOVE

え?いまタイトルのとこエコー入った?そんなことない?つーかリハでこれかよ…そりゃステージのうえでやってるの聴いて腰砕けになるはずだよ。または骨抜きになるはずだよ。自宅にいるけどハンドクラップしちゃうよ。「内緒の夢が欲しい」のとこストレートに歌ったのもイイ~~たまにはこっちもイイ~~~。きつねっぽーい!じゃなかったw「いつもそばにいる」じゃなくて「いつもここにいる」っていうの最高

 

11.SLEEPLESS IMAGINATION

この繋ぎはほんと…マジ文化遺産指定すべきだから…あのイントロのヒーセのベース!なんなのもう!!しかしマジでどんどん調子出てくるな。ほんとバケモンだなこれ全員。いやそんなファルセット、リハから飛ばします!?マジでこれ売れるやん…ってちょお!その吐息の合いの手なんなん…!?そんなん本番でもやらんやん!ちょっと!これもう身が持たない!

 

奇妙奇天烈wwあっ喫茶店のミーティングの話。宗清さんも書いてたよね!

 

12.熱帯夜

そんな愉快なMCをぶった切るアニー面白すぎるだろww吉井「わかりやすーい!売れそー!」ヤケになるなよwwこういうの、こういうのが私の想像していたリハっぽさ!あとリハ音源のいいところは吉井がいつもアレンジして歌うところも楷書で歌ってくれるところだなーという新しい発見がありますね。

 

13.ホテル宇宙船

「チョット寄っていきませんか~」からの「かーぎっ」が最高にかわいくて今日も飯がうまい。「ほしぶど~う」のところも最高にかわいい。っていうか楽しそう。決して楽しいだけではなかったと思うけどでもそうやって楽しむ姿勢を見せてくれてることがよくわかる。あとわたしホテル宇宙船歌ってるときのなんか独特の吉井の声好きなんだよね。天然のリバーブがかかってるかんじっつーか。最後の声の回転数自主的に落とすの本番でもやってみてほしい!

 

14.SPARK

「売れそう~~~!!!これは売れるわ~~~~!!!」気に入っとるww笑っちゃって最初歌えないの、そうそう私の思ってたリハっぽさこんなのだったwwしかし立て直すの早いな!そしてトップスピードに持っていくまでが早いな!!マジで盤石なリズム隊、自由闊達なボーカルとギター、リハでも私の愛するバンドは愛するバンドのままだった…みたいなエモを感じて泣きそうになる前に興奮で情緒がめちゃくちゃです

 

SPARK終わった瞬間の吉井の吐息にヒーってなったぜ…

 

15.JAM

さっきあんなふざけてたのに今度のMCは「一番の出会いは皆さんとの出会いでした」とか言ってくるからほんと油断ならない。シンガロングのないJAMもいいな。いまの、みんなで歌うJAMはもう違うフェーズにいってる気がするけど、こういう原点回帰みたいなのもいい。この最後のフレーズで吉井がこの楽曲を自分のものにする瞬間があって、そこは本当にいつなんどき聴いても涙がでる。

 

センステから戻る時間(とその間に流れる映像)込みの時間計測がそのまま入ってるのもなかなかシュール。リハ音源として臨場感ありすぎである

 

16.DAN DAN

さっき無音のときに「2日目はなしです~」つってたのはなんだったのかな~。そして本当だったら東京ドームでもチンドン屋さんに出てもらう予定だったのね。ヒーセの「たすけて~~~」がかわいい。「あっちーへいかーなければ」ってなんなの吉井ちゃん。楽しそうだな。

 

17.パール

おっここでパール。そうかパールの間奏のところの煽りは言わないんだな。あれはいつもその時に思ってることがこぼれる感じなのかな。しかしこの曲は逆境にいればいるほど輝く曲だよ。この曲ができたときのことだけじゃなくて、そのあとでもいつでもそういう位置にいた楽曲だよな~。しかし最後の「逃げて行った」の歌唱のすさまじさ!

 

18.天道虫

走りがちな曲はリハでも走りがち。ぴーと覚えた。というか天道虫のかっこよさ、スパッと音が集まる感じ、今のバンドに合ってる曲なんだろうなーと思う。お、ここはオーディエンスのコール想定して歌わなかった。その都度で違ったりするんだろうな。特効のない天道虫、もはや新鮮。

 

19.SUCK OF LIFE

メインステージに戻ってからのセトリは11月3日と結構流れがちがうのね。あーこのSUCKいいな~~。ライヴではいつも最高潮なところでやるから、そのいろんな汁がでまくった感じに慣れ過ぎてるので、むちゃ新鮮だ。「幸せなんて言葉はない」の歌い方とかさー。そしてこうして聞くと一層はっきりデッカイイチモツベイベーが堪能できるのであった。鶴ちゃんの鍵盤もすばらしーい!ラララライ楽しそうww

 

20.Horizon

お、なんだなんだ?と思ったらHorizonだった。そうかこれやる予定だったのね。やっぱだいぶこのあたりの構成違うな~。それにしても2時間歌いっぱで、しかもリハでこの声量。えらいよ。「いつも君の味方だよ」でコーラスが入るの、いつも以上になんか感動するわ…

 

21.Father

あら!このあたり名古屋の流れ踏襲してる。(パンフで「おとうさん、おとうさんだね」つってたのよかった)あらためて各楽器の音がよく聞こえて、そうそうここのベースが好きなんだよ~~ってなるし、音だけ聴いてるとどうしても脳内の吉井ちゃんがくるくる回ってしまうわ…

 

22.未来はみないで

この前のMCからのこの曲、あの音頭で「お元気で」のあとに続いてたらこれけっこうくらったかもしれんな…としみじみ思いました。まあこの時はやれるかやれんのかもわからん、って状況だったからむべなるかなではあるんだけど。

 

アバンギャルドとバラ色のつなぎはなごやのやつだそうでーすって吉井ちゃんが言ってます(ってことはこのあとアバンギャルドとバラ色やるのね)

 

23.アバンギャルドで行こうよ

始まり方wwリハでいつもこんな風なの!?おそそからやんないのね!?つーかそれであのおそそからのコール&レスポンスで鬼ほど盛り上げるのすごいなマジで。そして今ためしにワイパーをしてみたけど秒で腕が疲れたのでライヴ筋が…息してない…。「シーズン3もよろしく~~~!!!」

 

24.バラ色の日々

この繋ぎ…好きです!!!!バラ色は最近は常にイントロからMCも込みの展開、っていうのが多かったから、こういうタイトなやつ珍しいし大好物ですよ正直。シンガロングのとこ、JAMは歌ってたけどバラ色は歌わず。こういうのは本人の感覚的なものなんだろうな~。

 

25.ALRIGHT

アンコールここまで名古屋と同じ流れ。バラ色と、多分このあとに続く曲の間に来ても十分なポテンシャルのある楽曲になったよねALRIGHT。これがえらいことにまた大きな会場であればあるほど映える。メンバー紹介もちゃんとやってくれるのありがたいな~。

 

26.悲しきASIAN BOY

リハだってわかってるんだけど、これを吉井ちゃんがスタンドマイクで歌ってる姿ってぜんぜん想像できない~~!!走り回ってるとこしか見てないもんな~~!!!一回その姿も見てみたいような!そうでもないような!ここで匍匐前進してないのか…と思いながら聴いてもひとり。いやでもやっぱこれはステージでの異常な(異常っつっちゃう、もう)高揚感は、あれはステージのものだなあとおもった。それにしても最後のコール、ザ、イエロー、まで言って「モンキー」を言わないの、ぐっとくる案件すぎるのでは!?

 

27.プライマル。

やっぱり、セカンドシーズンの最後の曲はこれにするつもりだったんだね。セカンドシーズンの最初と最後をプライマル。で閉じるつもりだった。わたし、そういう、円環の構図大好きだよ。やっぱわたしとTHE YELLOW MONKEY趣味が合いすぎるんじゃない?それにしても、これ以上ないほど突き放された別れの曲から、最高の再会の曲になって、こうしてしばしのさよならのために大きく手を振るような楽曲になるって、プライマル。もどんだけポテンシャルある楽曲なんだよマジで。

 

ありがとう絆と先々の長い願い

花柄の気分もまた一日のうちたった6秒

 

さようなら きっと好きだった

 

 

はーーーおわった!と思ったら最後の最後、

 

「ライヴやりてえなあ!」

 

で終わった。泣いちゃうだろこんなん。ばか!うそ!すき!ライヴやりたいよねほんと。わたしもライヴいきたい。THE YELLOW MONKEYってほんとうにライヴが最高だから、そのライヴが思いのままにならないのきついよね。でもこの2020年3月のときから、少なくともそのあと実現できたライヴがあったのはよかった。この先もって信じたい。2時間42分の充実のリハ音源、いやもうこれリハじゃねーよ!ライヴ音源だよ!むちゃくちゃ興奮したし貴重な体験でした。老体に鞭を打ちすぎたので今日はこの辺で唐突におわります!!皆おつかれ~~~!!!

 

 

 

唯一無二の

先ごろ公開されたTHE YELLOW MONKEYのFCコンテンツ「TYM TRAVEL」の話をいまさらしようと思う。今回取り上げられたのは2016年。言わずもがな再集結の年だ。FCコンテンツなので全文を引用するわけにいかないが、要旨としてはこんなところだ。吉井が自分たちの再結成について話を振り、あるミュージシャンのインタビュー記事を引いて、再結成したとしても昔のようになれるわけではないし、ファンは当時の自分になぞらえて聴く(ノスタルジー配給係としての役割というやつだね)ことになる、そういう側面は確かにある、と言い、アニーはそれについて、昔美味しいと思っていたお菓子を大人になって食べてもそうでもなかったりすることってある、と言葉を重ねている。

 

それに対してエマは、じゃあ続けてたらどうだったんだという話になる、ずっと食べ続けていたらそうは感じなかったのでは、と返しているのだ。

 

私はこのエマの返答を見た時に、エマはほんとうに変わらないな、と思い、そしてそのエマの変わらなさに、わたしはずいぶんオタクとしての命を助けられてきたな、と思ったのだった。

 

ちなみに、アニーはこの「昔のお菓子」のたとえと全く同じ話を過去にもしている。ちょうど10年前、バンドの結成20周年を記念して、解散した、既に存在していないバンドにしてはかなりにぎにぎしく行われたリリースやイベントと共に発売された音楽雑誌のインタビューで、かれはこう言っている。

 

「ファンの人もさ、時間が経てば経つほどさ………たとえば昔大好きだったお菓子があります、20年ぶりに食べました、『あれっ、こんなんだっけ?』って思うことあるじゃない?自分の中で誇張していっちゃう部分ってやっぱりあると思う。(中略)時間が経てば経つほど、ハードルは上がってっちゃうような気もするよね。」

 

バンドが再結成する未来はまったく見えていなかったときにも(同じ雑誌のインタビューで吉井はインタビュアーの井上貴子さんに向かって「(再結成を)ホントに観たいのかな?井上さんだけじゃないのそれ」と発言している)、こういう話をしているということは、アニーはバンドというものを考えた時に、こうしたある種ノスタルジーととられるものとの向き合い方をずっと考えていたということだし、それはすごく誠実なことだ。

 

それに対するエマの「続けていたらどうだったんだという話になる」という言葉、それに続く「続けていたら過去は過去のまま、今も今がある、そこにブランクがあったからといって差があるのか」という言葉は、解散して、再集結して、そこから過去を振り返った発言というよりも、解散しないですべてが地続きであったとしても、という、現実にはなかった、使われなかった人生への視点が入っている言葉だ。とはいえ、現実にはバンドは解散したのだから、そんな使われなかった人生に目線を送ることはあまり意味がないのかもしれない。「あの時解散していたから今がある」「解散していなかったら(こんな幸福な今は)なかった」という文脈のほうが、ずっと飲み込みやすい。

 

私がエマは変わらないな、と思ったのは、あの解散を知らせる手紙のことを思い出したからだ。夏の暑い盛りに届いた白い手紙。吉井、エマ、ヒーセ、アニーの順でそれぞれのコメントが書かれていた。エマのコメントはこう始まる。

 

「この4人で音を出せば唯一無二のTHE YELLOW MONKEYであると今でも自分は信じています。それだけで十分とは言いませんが、あの時よりパワーアップするだとか、上を行くだとかいうことは、あまり重要なことではないと今の自分は思いますし、何をしてそうなのか難しいところです。」

 

あの文面に書かれたこのエマのコメントは、たぶんエマが思っている以上に多くのファンの情熱を、情熱というのはつまりファンにとっての命のようなものだから、その情熱を救ってくれたのじゃないかと思う。すくなくとも私はそうだった。これはささやかな抵抗というようなものだったのかもしれないが(解散に際したインタビューで、解散とは違う感情が育ったことを言っておかないとな、という気持ちがあったと言っている)、そのささやかな抵抗を示してくれたひとがいたということが、どれだけありがたかったことか。解散の是非とかそういう話ではもちろんなく、抵抗を言葉にしてくれたというありがたさ。

 

続けていたら過去は過去のまま、そして今は今がある。どちらの分岐をたどったとしても、変わらないのは、そして大事なのは、4人がTHE YELLOW MONKEYとして音を出すことだ、とエマはずっと言っていて、それは「ちょっとした負い目があった」という吉井にとっても、そしてもちろん再結成とは切り離せないある種のノスタルジーとの向き合い方を考えていたアニーやヒーセにとっても、そういう存在がバンドにひとりいてくれることは、すごく大きなことだったんじゃないかと思うのだ。

 

なんて、もちろんこれはわたしのヲタヲタしい妄想にすぎないわけなのだけど、その妄想の源となるのはファンとしての情熱で、そしてやっぱり、わたしはそのファンとしての命ともいうべき情熱をエマによってずいぶん助けられてきたわけです。

誰が何といおうと、それだけは間違いない。

 

THE YELLOW MONKEYライヴ映像収録数総選挙【アルバム編】

せっかく集計したんだから味なくなるまでしがむタイプのオタク、それが私。「THE YELLOW MONKEYの楽曲で販売された円盤のうちもっともライヴ映像として収録された回数が多い曲」のデータ(このいっこまえのエントリを見てネ)から、9枚のオリジナルアルバム+インディーズのBUNCHED BIRTHを加えた10枚それぞれの収録数について架空の解説者がああでもないこうでもないいうやつです(どんなやつだよ)。アルバムご本人からのコメントも交えてどうぞ、ってアルバム本人…?架空の解説者とは…?みたいな真顔になってちゃこの先ついていけないぞ!君もいますぐ目をぐるぐるさせてこの粉を吸うんだ! 

BUNCHED BIRTH

「総得票数24票、収録楽曲7曲、平均3.4ポイントで、収録楽曲の少なさから総得票数では全体の10番目でも平均は第7位につけています」

「WELCOME TO MY DOGHOUSEが稼ぎ頭であることは間違いないですが、SLEEPLESSにLOVERSと良い看板が揃ってますね。ただこのアルバムは収録される曲はめっちゃされるけどされない曲はまったくされないという面があり、7曲中1度も収録されてない楽曲が3曲あるというのもインディーズ盤ならではの特徴といえるでしょう」

「ご本人の談話入ってきています。『3枚看板は言わずもがなだが、FAIRY LANDにももう一延び期待したい。PENITENTが30周年に突然スポットライトが当たったことを考えれば、HANG ON TOやカメレオンの涙にも十分ワンチャンあると思っています。』」

「個人的にもTEARS OF CHAMELEONの巻き返しは期待したいところですね」

 

THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE

「総得票数44票、収録楽曲11曲、平均4.0ポイント。総得票数第6位、平均で第5位につけています」

「ROMANTIST TASTEが一枚抜けてるといったところですが、初期のころから名曲と名高いTHIS ISや真珠色、再集結最初のリハでやった曲としてツアータイトルにもなったSubjectiveが平均して高いポイントを取っていますね。」

「FOXYやCHELSEA GIRLなど、ライブでの定番曲もなかなかの高得点ですよね。一方で収録数0または1という楽曲もいくつかありますが…」

「その中にNeurotic Celebrationがあるのが意外ですねえ。ほんとにメカラ9だけ!?と集計者はDVD BOXをひっくり返して調べたそうです」

「コメントです。『ま、ま、こんなところなんじゃないでしょうか。個人的には満足しています。名曲が多いんで今後も順調に票を伸ばしていけるメンバーじゃないかなと。SLEEPLESSさんとうちのFOXYの抱き合わせには今後も期待しています』とのことです」

「名曲が多いって自分で言っちゃうところがさすがデビューアルバムの貫禄ですね!」

 

EXPERIENCE MOVIE

「総得票数55票、収録楽曲13曲、平均4.2ポイント。総得票数で第3位、平均で第4位の成績です」

「言うまでもなく、SUCK OF LIFEの票がかなりの割合をしめています。そしてアバンギャルドで行こうよがSUCKに続き9票を稼ぎ、この2曲でほぼ全体の半数ですね」

「このアルバムの特徴としてはいわゆるキャラの立った名曲であるがあまりになかなか披露されない、という楽曲が多いところでしょうか」

「そうですね。代表的なのが4000粒、シルクスカーフ、そしてフリージア。いずれも楽曲としての評価は最高、いわゆるトラウマ級のナンバーだけにおいそれとセトリに入らないところが如実に出たというところです」

「ご本人談話です。『うちの2枚看板さすがに強力ですし、これからも間違いなくポイントを重ねていってくれることが期待できる、この安心感は大きいですね。4000粒のような箱入り娘ものんびり育ててやれるというものです。ところでPUFF PUFFにワンチャンはあるんでしょうか。』こっちが聞きたいですね」

「SUCKとアバンギャルドのないTHE YELLOW MONKEYのライヴなんてクリープを入れないコーヒーみたいなものですからね!このコメントもむべなるかなです」

「喩えが昭和であることをお詫び申し上げます」

 

jaguar hard pain

「総得票数75票、収録楽曲12曲、平均6.3ポイント。総得票でも平均でもぶっちぎりの第1位です。強い!他を寄せ付けません」

「王者ASIANが強いのはもちろんですが、続くROCK STARが13票、赤裸々とA HENが各7票、麗奈、SECOND CRY、FINE FINE FINEも各5票とまんべんなく点をとれるまさにオールラウンドプレーヤーですね」

「ライヴに強いナンバーが揃ったということでしょうか」

「そうですね。メカラウロコシリーズでどの楽曲にもスポットライトが当たったというのも大きいでしょう。ちなみにこのアルバムは全曲もれなく収録されており、ポイント0の楽曲がありません」

「コメントです。『いやいやいや、まあまあまあ、なんだか申し訳ない感じですけどやっぱこうなっちゃいましたかね!ほんとどこに出しても仕事をする盛り上げ上手のやつらばかりで鼻が高いです。ASIANにはこれからも王者として君臨し続けてもらいたい!』ジャガ兄さんのドヤ顔が浮かんでくるコメントですね」

「ジャガバタみたいな呼び方してるやん」

 

smile

「総得票数38票、収録楽曲13曲、平均2.9ポイント。得票数で第8位、平均でも同率の第8位という結果になりました」

「ラブコミと熱帯夜というシングル陣が頑張っていますが、なにしろ収録数0または1の楽曲が6曲と全体の約半分にわたっているところがつらいですね」

「しかし楽曲的には収録されててなんらおかしくない顔ぶればかりですよね?」

「そうなんです、とくにヴィーナスの花が0ポイントなのはにわかに信じがたい。絶対見たはずだ!と集計者はこれもDVD BOXをひっくり返して調べたそうです」

「Liveyで見たのと混同してるんですかねえ…」

「エデンの夜にとかね、ラブコミが出てくる前は吉井くんのイチ押しシングル候補だったとものの本で読みましたよ」

「ご本人談話きております。『いつかsmileの時代が来ると言われてここまできましたが、来たのか来ないのかこれから来るのかわからないままシーズン2も終わりました。とはいえなんだかシーズン2の終盤にアレが出たりコレも出たりしたので未来はきっと明るいといいなと思ってます!』健気!!!!(ハンカチで涙を拭いつつ)」

「エデンの夜にはぜひ私からも直訴を!直訴をいたします!!!」

 

FOUR SEASONS

「総得票数51票、収録楽曲11曲、平均4.6ポイント。総得票で第4位、平均で第3位にランクインしました」

「意外なことにベスト10入りするような2桁得票の楽曲がないのにこの上位成績。いかに全楽曲の足並みがそろっているかという現れでしょう。最高点はTacticsの8票、空の青、FOUR SEASONS、太陽が燃えている、I LOVE YOU,BABYがそれぞれ7票から6票を獲っています。SWEET&SWEETもいいところに食い込んでますね」

「追憶のマーメイドはあんなにもライヴで披露されない時代が長かったにもかかわらず、シーズン2後半の固め打ちふくめて4票もぎ取りました」

「立派ですねえ。っていうか追憶のマーメイドってこのアルバム収録だったんですね」

「ご本人コメントきております!『あざっすあざっす!平均で第3位て上出来なんじゃないッスか?アルバム楽曲がシングル曲と完全に互角に渡り合ってるのもウチららしいっていうか?ともかく今後もぐいぐい上位を狙って行きたいッスね!』」

「…この人こういうキャラでしたっけ?」

「わかりません。たぶん作者のネタ切れだと思います」

 

SICKS

「総得票数61票、収録楽曲13曲、平均4.7ポイント。総得票、平均いずれも第2位です」

「天国旅行と楽園が肩を並べますが、そのほかも平均して収録率が高いですね。唯一0ポイントの楽曲は「薬局へ行こうよ」ですがこれはまあやむなしでしょう。逆に言えばそれ以外の楽曲はすべて複数回収録されています」

「しかし再集結後に限っていうとちょっと偏りがある感もありますね。特に人生の終わりなんかは再集結後いまだライヴで披露されていないという」

「そうですね。3.10の例を引くまでもなくここぞというところに出ていただけに残念ですが、紫の空、淡い心といった顔ぶれと共にシーズン3に期待しましょう」

「談話です。『ジャガ兄さんの後塵を拝しましたが結果には満足です。天国旅行はあれだけ尺があるのに常に椅子をもぎとっていて愛を感じますね。え?誰の愛かって?もちろん吉井和哉のですよ。こうなったら薬局へ行こうよも含めて全曲足並み揃えて高みを目指したい。』なんて意識の高いコメントでしょうか」

「吉井愛されアルバムであることを自覚しきったコメント、さすがですね」

 

PUNCH DRUNKARD

「総得票数46票、収録楽曲13曲、平均3.5ポイント。総得票で5位、平均で第6位となりました」

「BURNが10票、ラブショーが9票、球根が8票でシングル曲が着実に点を積み重ねたというところです。それ以外で頭一つ抜けてるのは意外にもパンチドランカーなんですが、さらに意外なのは再集結後の怒涛の出現率で5票を獲得しているというところ。」

「このアルバムは3.10の円盤に集約されすぎてて他に顔を出せてないというネックもありますね」

「その通りです。離れるななんかはまさにその最たるものかもしれませんね。それだけにパンチドランカーの健闘は光ります。個人的には甘い経験はもっといってもいいだろ!!!と思っています」

「完全に個人的な感想ありがとうございます。ご本人談話です。『よもや、よもやだ!ライヴアルバムとして不甲斐なし!穴があったら入りたい!ともあれ収録本数は少なくても演奏本数では引けをとらんぞ!これからも大いにライヴを盛り上げたい!わっしょい!わっしょい!』」

「なんという見様見真似の煉獄さんでしょうか。よもやよもやが言いたかっただけ感すごい」

 

「総得票数40票、収録楽曲14曲、平均2.9ポイント。総得票で第7位、平均で同率の第8位です」

「何と言ってもバラ色の日々の君臨ぶりがすごいですね。文字通り再集結後にリリースされた円盤はほぼ100%の収録率です。他にシングル曲もありますが、その中ではパールがバラ色に続いて気を吐いているというところでしょうか」

「聖なる海とサンシャイン、カナリヤあたりはリリース時よりもこれから頻度があがりそうな空気があります」

「そうですね。8収録の楽曲は不在の時間を経ていい具合に醸されたところがあるのではないでしょうか。SHOCK HEARTSやサイキックにももっと荒ぶってもらいたいところです」

「コメントです。『バラ色の日々がうちの子でホッとしてます。なんだかあの子にばっかり出稼ぎにいかせているような気になって申し訳ない。仕事のできる子たくさんいるんで是非いつでもお声がけしていただけたら…。』健気!!!!(2回目)」

 

9999

「総得票数31票、収録楽曲13曲、平均2.4ポイント。総得票で第9位、平均では10位となりました」

「リリースからの時間を考えれば順位としては当然ともいうべきですが、逆にリリース後間もないのにここまで詰めてくるか!?という驚きがあります。もしGRATEFUL SPOONFULの4パターンBOXが出ていたら一気に上位に食い込むところでした」

「ALRIGHT、それから天道虫はすでに6票、5票をそれぞれ獲得していますね」

「そうなんです。リリースされて以降ほぼ演奏され、かつほぼ映像として収録されているわけで、これはなかなかすごい打率といえます。そして収録数0の楽曲なし!これもすばらしい」

「ご本人からのコメントです。『えっえっえっと、あんまりよくわかってないですけど、とにかくたくさんのおにいさんたちといっぱいライヴができてすごくたのしいです!これからもがんばります。あと、ぼくもはやくおとうとがほしいです!』」

「おあとがよろしいようで!!!!」

 

よろしくない!!!!!!(脱兎)

THE YELLOW MONKEYライヴ映像収録数総選挙

30周年ドームツアー記念ボックスも本日2021年3月10日無事発売!めでたいめでたい。とりあえず昨日フラゲして部屋に鎮座させておりますが、ブルーレイボックスの圧倒的な存在感に物理的にしてやられております。

さて!以前Live Loudの発売の時に「もっともライヴ音源として収録された回数が多い曲」選手権みたいなのをやったんですが、それがあまりにも王道すぎる結果になったため、ついでに(いやついでとかいう作業量じゃねーし)「販売された円盤のうちもっともライヴ映像として収録された回数が多い曲」を数えだすという荒行に出てしまいました。荒行とか言ってますけど基本こういうことが大好きなんでウキウキやってるうちにあっという間に終わりました。これはこれで王道の結果なんですけれど、とはいえ人に、いやちがったバンドに歴史ありという結果にはなっており、30周年円盤の発売おめでとう企画として披露しちゃいます!

集計対象盤

  • LIVE DVD BOX(黒箱)
  • メカラウロコBOX 
  • TRUE MIND NAKED FOR SEASON
  • TRUE MIND NAKED 野性の証明
  • RED TAPE NAKED FIX THE SICKS
  • RED TAPE NAKED 紫の炎
  • ライブ帝国
  • パンドラ ※初回限定盤disc2
  • イエモン-FAN'S BEST SELECTION- ※Disc2
  • THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016
  • 砂の塔 ※初回生産限定盤DVD
  • オトトキ ※FC限定盤スペシャルディスク
  • THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017
  • 9999 ※初回生産限定盤DVD
  • 30th Anniversary『9999+1』GRATEFUL SPOONFUL EDITION ※Disc2
  • 30th Anniversary THE YELLOW MONKEY SUPER DOME TOUR BOX

 以上、基本的に公式サイトのDISCOGRAPHYに掲載されているものをカウントしました。唯一掲載されていないのは「ライブ帝国」ですがこれは私が大好きなので入れました。いいじゃん!マイルールでやりますよそりゃ!あとメカラウロコ7は黒箱ではカウントせず、メカラBOXの方でカウントしました。黒箱のTRUE MINDとRED TAPEはそれぞれNAKEDで網羅されてはいるんですがいちいち除外するの面倒なのでここは両方集計されてます(マイルールその2)。パンドラ、オトトキに関しては映画中に演奏されている楽曲もありますがこれはカウントせず、特典Discとして収録がクレジットされている楽曲だけを集計しています。ライブ映像、なのでMVはカウント外。「イエモン」のテレビ番組出演ぶんはどうしようか迷いましたが、同じディスクで貴重な野外フェスのライブ映像などもあるので、楽曲としてクレジットされているものは全部集計しています。 

そんなこんなでマイルールを発動させまくった結果こうなりました。THE YELLOW MONKEYライヴ映像収録数総選挙、ベスト10はこれだ!

 

同率7位 「BURN」「ROMANTIST TASTE」「楽園」「天国旅行」 10票

BURNと楽園が入るのは納得以外のなにものでもないんですが、ファーストシングルであるROMANTISTがここに食い込むのが面白い。最初の円盤である追憶の銀幕から最新ドームツアーBOXまで、まんべんなく収録機会があるのもさすが。「天国旅行」はNAKEDで荒稼ぎしているのもあるし、エポックなシーンで披露され、それゆえに必ず形に残るという愛され楽曲の面目躍如ですね。

 

6位 「SPARK」 11票

実は解散前よりも再集結後の収録率が高いのがSPARK。バラ色やSUCKやASIANと並んで再集結後の出現率がこの地位に押し上げました。やればかならず盛り上がる、シングル曲のなかでも鉄板の仕事師、さすがの貫禄。

 

5位 「バラ色の日々」 12票

これはもう圧倒的に再集結後の地位がこの票数に現れているといってよく、むしろ再集結後にリリースされた円盤には全部入っているのではないかというほど、この曲が出てこないライブはないし、いわゆるライブの「肝」として機能している場面ばかり。なにしろFCの名称もここから出ているのだから、まさに今のTHE YELLOW MONKEYにおいてファンとバンドを繋ぐ象徴のような楽曲。面白いのは、リリースされた当初からそうした意味合いがあったわけではなくて、不在の間の時間がこの曲を育てたというところ。ドームツアーBOXの東京ドームの映像で響くこの楽曲のシンガロングは、この瞬間のためにこの曲は生まれたのではないかと思わせるほどです。

 

4位 「ROCK STAR」 13票

ありがとうございます。ありがとうございます!!!(大声)言うてもシングルリリースされた楽曲が強さを発揮するこのランキングで、並み居る強豪を抑えてここに食い込むROCK STAR、ハンパじゃないぜ(ROCK STARガチ勢)。いつ、どの時代においてもまんべんなく強い。華々しいオープニングや、アンコールや、本編ラストや、そういったところに位置することはほとんどなく、常に縁の下の力持ちいった風情で、それでも打席に立てば必ずヒットを打つようなこの楽曲を、私は心底、愛してやみません!!!!

 

同率2位 「JAM」「SUCK OF LIFE」 15票

納得の同率2位ですが、ある意味もっとも人口に膾炙した「JAM」という代表曲と、蟻地獄にハマった人たちにとって「いや代表曲って…これでしょ?」なSUCKが並ぶのが面白いじゃないですか。ライヴにおいて登場する場面も実のところまったく色合いが違いますもんね。JAMはやはりエポックな場面に来ることが多く、ラストを飾る場面が少なからずあるのもこの曲が積んでいるエンジンがやっぱり巨大だということを現していると思います。JAMのあとにやれる曲ってそうそうない。SUCKはSUCKでファンにとっては「祭り、絶好調!」のなかで投下されるのが常であって、絡みのあるなし、メンバーソロのあるなし、メンバー紹介のあるなしなどその時々でパターンが違うのも見どころで、かつこれらすべての「全部盛り」にした場合1曲で30分近い尺を取るというわがままボディ。その尺にもかかわらずこの位置に食い込むのだから、わがままなだけでなく愛されボディでもありますね!

 

1位 「悲しきASIAN BOY」 21票

強い!!!!2位以下を大きく引き離し、圧巻の1位です。そんな気はしてた。もちろんそんな気はしてた。以前ブログでTHE YELLOW MONKEY全曲紹介という企画をやったとき、その当時(2006年)発売されていたすべての映像を確認しつつ書くということをやっていましたが(ひまじんめ)、その時からASIANの強さ、限りなしでした。バンドを長くやっていれば、こうした「お約束」の楽曲を回避したり、ファンも「また?」みたいな雰囲気になることも少なからずあると思いますが、THE YELLOW MONKEYはライヴにおけるこうしたお約束を無駄に遠ざけることをぜったいにしないし、ファンもASIANを「また?」とか言ったりしない。いや言ってる人もいるのかな。言ってる人がいたとしてもバンドにはそれを意に介さないでほしいなと思います。解散前においてもあの電飾と特効とワイパーはお約束で、それが時を経ても同じように電飾、特効、ワイパー、そして紙吹雪も添えて、いつまでもTHE SONG OF THE YELLOW MONKEYとして君臨し続けてくれていること、こんなに嬉しいことはありません。血のにじむような遊びはこれから、永遠にライヴでこの楽曲と共にTHE YELLOW MONKEYの名を呼び続けられますように!

 

というわけで、めでたきリリース日に花を…添えられているかどうかわかりませんが、正直これカウントしているときむちゃくちゃ幸せだったので、はーあ私は本当にTHE YELLOW MONKEYが大好きだな!!!!と思いましたマル。あとせっかく集計したのにベスト10だけじゃもったいないので今後もこれをいろいろネタにしたいとおもってます!

花に嵐のたとえもあるぞ

九段下のホテルグランドパレスが、6月末をもって営業を終了するとのこと。

当初はいったん休業という発表だったが、つい先日ホテル業務を終了するとの正式なステートメントが出された。

ホテル営業終了のお知らせ

 

このブログにこのホテルのことを書くということは、もちろんというかなんというか、このホテルは年の瀬12月28日の、わたしの定宿でした。2006年に39108のツアーで吉井和哉がはじめてこの12月28日という日付に武道館に立って、「決めた!12月28日は毎年おれがここでやる。ここを吉井武道館にする!」と言って、そうして毎年(ある時は福岡で)九段下に足を運んできました。いつから宿泊するようになったのかもうあまり記憶も定かではありませんが、10年ぐらいにはなるのかな。

 

12月28日の九段下、日本武道館といえば、吉井和哉ファンにとっても、THE YELLOW MONKEYファンにとっても、特別な日、特別な場所、特別な時間を示す代名詞といってよく、THE YELLOW MONKEYを好きになった当初は憧れの場所だったし、吉井和哉がひとりでこの場所に立つときはいつも以上にセンチメンタルな思いが吹き荒れたりもしたし、バンドが還ってきてまたこの日、この場所で、日本国旗の下で悲しきASIAN BOYが聴けたら、自分の人生の願い事を手放してもいいとさえ思ったことが叶ったときもあった。

 

グランドパレスというホテルは、私にとってそういう「ひとことでは言い表せない」時間を受け止めてくれた場所でした。

自分の人生において最高の楽しみを、1年のうち最高に高揚する時間を過ごしにいっているのだから、このホテルで過ごした時間もぜんぶきらきらした思い出ばかりです。

 

いつも終演後は、ホテルの1階にあるレストランで食事するのが常で、貝柱のピラフが美味しいんだよねっていって、でも今回は違うのにしようかなー!まようー!と言いながら結局いつものピラフを頼んだり、さっき見てきたライブのことをああでもないこうでもないと話して飽かず、ある時は同じレストランに大森さんがいる!と色めきたって、どうする、この紙ナプキンに「上」って書いて箸に挟んで飛び出して見ようか、おだいかんさまー!THE YELLOW MONKEYのメカラウロコのBOXを出してくださいおだいかんさまー!とかやってみようか…とひそひそ話し合ったり、時間がある時はマロンシャンテリーを買って部屋で食べたり、そのまま家に帰る友人をホテルの前まで見送って、手を振って別れたあとにわーやっぱ12月28日は寒いな!と言いながら部屋に戻っていったり、部屋にもどってまた飽くことなくいろんな話をしたり、ああ、楽しかった。

 

ほんとうに、どこをとっても楽しかった思い出しか残っていない。

 

武道館が立て替えられ、THE YELLOW MONKEYはセカンドシーズンを終えて休息し、グランドパレスはその姿を消す。

星だって宇宙だって永遠じゃない。

 

永遠じゃない、だけど、忘れないからね。忘れないからといっても忘れてしまうのが人間だけど、でも、いま「絶対に忘れない」と思った気持ちは混じりけなしの真実だから。

 

ほんとうに最高の時間をありがとうございました。私にとってグランドパレスは「人生のハレの日」の象徴のような場所でした。12月29日にホテルをチェックアウトして、なぜかいつも決まって晴れてて、千鳥ヶ淵のむこうに見える大きな玉ねぎをみて、今年も終わったなと思い、来年もまたここにこれますようにと祈る。

 

長きにわたってそういう場所を持てたこと、ほんとうに、最高に、幸せでした。

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