花に嵐のたとえもあるぞ

九段下のホテルグランドパレスが、6月末をもって営業を終了するとのこと。

当初はいったん休業という発表だったが、つい先日ホテル業務を終了するとの正式なステートメントが出された。

ホテル営業終了のお知らせ

 

このブログにこのホテルのことを書くということは、もちろんというかなんというか、このホテルは年の瀬12月28日の、わたしの定宿でした。2006年に39108のツアーで吉井和哉がはじめてこの12月28日という日付に武道館に立って、「決めた!12月28日は毎年おれがここでやる。ここを吉井武道館にする!」と言って、そうして毎年(ある時は福岡で)九段下に足を運んできました。いつから宿泊するようになったのかもうあまり記憶も定かではありませんが、10年ぐらいにはなるのかな。

 

12月28日の九段下、日本武道館といえば、吉井和哉ファンにとっても、THE YELLOW MONKEYファンにとっても、特別な日、特別な場所、特別な時間を示す代名詞といってよく、THE YELLOW MONKEYを好きになった当初は憧れの場所だったし、吉井和哉がひとりでこの場所に立つときはいつも以上にセンチメンタルな思いが吹き荒れたりもしたし、バンドが還ってきてまたこの日、この場所で、日本国旗の下で悲しきASIAN BOYが聴けたら、自分の人生の願い事を手放してもいいとさえ思ったことが叶ったときもあった。

 

グランドパレスというホテルは、私にとってそういう「ひとことでは言い表せない」時間を受け止めてくれた場所でした。

自分の人生において最高の楽しみを、1年のうち最高に高揚する時間を過ごしにいっているのだから、このホテルで過ごした時間もぜんぶきらきらした思い出ばかりです。

 

いつも終演後は、ホテルの1階にあるレストランで食事するのが常で、貝柱のピラフが美味しいんだよねっていって、でも今回は違うのにしようかなー!まようー!と言いながら結局いつものピラフを頼んだり、さっき見てきたライブのことをああでもないこうでもないと話して飽かず、ある時は同じレストランに大森さんがいる!と色めきたって、どうする、この紙ナプキンに「上」って書いて箸に挟んで飛び出して見ようか、おだいかんさまー!THE YELLOW MONKEYのメカラウロコのBOXを出してくださいおだいかんさまー!とかやってみようか…とひそひそ話し合ったり、時間がある時はマロンシャンテリーを買って部屋で食べたり、そのまま家に帰る友人をホテルの前まで見送って、手を振って別れたあとにわーやっぱ12月28日は寒いな!と言いながら部屋に戻っていったり、部屋にもどってまた飽くことなくいろんな話をしたり、ああ、楽しかった。

 

ほんとうに、どこをとっても楽しかった思い出しか残っていない。

 

武道館が立て替えられ、THE YELLOW MONKEYはセカンドシーズンを終えて休息し、グランドパレスはその姿を消す。

星だって宇宙だって永遠じゃない。

 

永遠じゃない、だけど、忘れないからね。忘れないからといっても忘れてしまうのが人間だけど、でも、いま「絶対に忘れない」と思った気持ちは混じりけなしの真実だから。

 

ほんとうに最高の時間をありがとうございました。私にとってグランドパレスは「人生のハレの日」の象徴のような場所でした。12月29日にホテルをチェックアウトして、なぜかいつも決まって晴れてて、千鳥ヶ淵のむこうに見える大きな玉ねぎをみて、今年も終わったなと思い、来年もまたここにこれますようにと祈る。

 

長きにわたってそういう場所を持てたこと、ほんとうに、最高に、幸せでした。

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