JAM

9thシングル。 JAM

JAM

曰く因縁、思い入れ、発売にまつわるエトセトラ、歌詞を巡る侃々諤々。 何から書いていいものかわからないほど、この曲には思い出がありすぎます。 イエローモンキーのコアなファンであればあるほど、ちょっと手垢が付きすぎてしまった感のあるこの曲を敬遠してしまう気持ちもよくわかるのだけど、それでもなお私にはこの曲は生涯忘れられない一曲であり続けるだろうと思う。

確か96年の年末、NHKのPOPJAMの特番か何かで、エンディングに流れたこの曲をたまたまチャンネルをザッピングして聴いてしまったのが私の蟻地獄への入り口だった。 この曲を生で聴いてみたい、そう思ったからFIX THE SICKSのライブにも行ったし、ライブに行ったから、もうそれで帰ってこれなくなってしまったわけで。

バラードだから、売れ線ではないからとお蔵入りになりそうだったこの曲を「やらなきゃならないことだから」として押し通し、結果的にそれが彼らのまぎれもない代表曲になった。 吉井和哉は当時のインタビューでこう語っている。

「変な話、この曲が大ヒットするなんて思ってない。・・・シングルってある程度消費されるものだと思う、名刺代わりというか。今度のシングルは消費される中で、どれだけ生き残れるんだろうか、どれだけ強いものになるんだろうかっていうね」

そして、その言葉の通りになった。 2004.12.26の東京ドーム、イエローモンキーが最後に演奏したのはこの「JAM」になった。会場内に展示されたコロムビアのプロモーターだった中原繁さんへ捧げられた文章は、ロッキンオン社から出版された「COMPLETE BURN」に収められている。

私はこの日まで、カラオケなどに行ったりして友人から「JAM歌ってよー」などとリクエストされるとそれに気軽に応えていたが、この日のJAMを聴いてしまったあとは、これはもう絶対に歌えないなあと思った。 最後だったこの曲をできるだけ自分の中で消費してしまいたくないし、なにより寂しい思いを真っ先に思い出してしまうからだ。

ライブ映像はTRUE MINDとメカラウロコ8、DVDBOXの特典ディスクにspring tourのときのものが収録されている。 パンチドランカーのアリーナツアーや、spring tourでは、曲のラストに「I’m dreamer I’m dreamer」のリフレインが続くスタイルになるんだけど、実は同じパンチドランカーツアーのホールで演奏された、「また明日を待ってる」のあと、また「暗い部屋でひとり」のAメロに戻るアレンジがお気に入りでした。

素敵なものが欲しいけどどこにも売ってないから 好きな歌を歌う