人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)

6thアルバム「SICKS」収録。 SICKS

副題のとおり、吉井和哉最愛の祖母に捧げられた名曲中の名曲。 とはいえ、この曲が書かれたときはまだ存命中であった祖母に怒られてしまったというエピソードもあったり。

しかし、何度でも言うが、まったくもって吉井和哉にしか書けない最高の詞、そして最高の曲だ。 私が死んだときにはお葬式で、ぜひこの曲を流してもらいたい、と思う。

私が初めてイエローモンキーのライブに行ったのはFIX THE SICKSツアーだが、そのライブのアンコールでこの曲が演奏された。私は縦長の大阪城ホールのアリーナのほぼ再後方、というぐらいの位置でライブを見ていたが、私の斜め前にいた女性は、とにかくどんな曲でも手拍子をしないと気がすまない、というノリの人らしく、ほぼ3時間のライブの間ずっとその手を休めていなかった。それが、アンコールのこの曲のとき、あんなにも熱心だった手拍子が次第に間遠になり、ついには彼女は手を止めて魅入られるようにステージを凝視していたのだった。 吸い込まれている、と私は思った。このバンド、ちょっと、ただものじゃない。 そう思った。

DVDには紫の炎で後方ステージで演奏されたアコースティックバージョンがRED TAPEに収録されているほか、3.10でもその日のアンコールで演奏されたこの曲を見ることができる。アンコールのこの枠は日替わりで、前日は確か「空の青」がきたのだった。いったい大ラスにはなにがくるのか、と固唾をのんで皆が見守る中、「久しぶりに」という言葉と共にこの曲が始まった瞬間、思わず泣き崩れた。なぜなのかはよくわからない。私の勘違いかもしれないが、パンチドランカーのツアーでこの曲が演奏されたのは、確かこの3月10日の1回きりだ。

ライブの翌日、友人たちと横浜に泊まっていた私は、中華街で皆で昼食を食べた。全員が興奮状態と虚脱感の間にいてなんだか妙なテンションだったが、食事の間その中の一人が「君の愛で育ったからこれが僕の愛の歌、って、きっと私たちに向けて歌っていたんだよねえ」と言い、その言葉にその場で全員が中華を口にしながら嗚咽するほど泣きまくるというあほ丸出しな光景を展開させてしまったわけだが、その子のいうとおり、君の愛、とは彼の家族の愛であり、私たちファンの愛であり、そしてロックという彼の愛する音楽が与えた愛であるのだろう。 歌詞の1フレーズを選ぶのが、これほど困難な曲もない。

僕が犯されたロックンロールに希望なんてないよ あるのは気休めみたいな興奮だけ それだけさ