吉井武道館2007 12/28レポート

わがままなお願いですが、もしよければ先に↓の27日のレポを読んでいただけるとありがたいなあと思います。

前日のライブが終わった時点で、もちろんライブは楽しかったのだが、やはり単発のライブというのはツアーとは違うスキルやモチベーションが必要なんだなあ、と思い、そしてさすがのロックモンスター吉井和哉でも、この状態からたとえばこれを昨年の28日のような雰囲気にまでもってくることは、勝負を「勝ち越し」にすることは正直きびしいだろう、と私は思っていたのでした。

しかし、結局のところ彼は「やってくれた」のだった。

27日との具体的な違いをあげると、ワセドン3を北向きのステージで歌ったこと(替え歌つき・笑)、前日にマサムネくんと歌った大都会をこの日はバーニーとやったこと(いやマジ見事すぎましたねバーニーさん)、前日のWEEKENDERの位置にマンチーがきて、前日のLOVE LOVE SHOWの位置にWEEKENDERがスライドしたこと、MCの中でやった幸運を呼ぶおまじない、手を二つ叩いて「ツイてるツイてる!」をマンチーの中に組み込んだこと、たぶん違いとしてはこれぐらいだろうと思う。

あ、あとオープニングゲストですが、吉井さんの事前の周知のおかげでほとんど聞きませんでした、っていうのもアレですが、でもまあ当日いきなりいって知らされるんでなくてよかったです。おかげで回避運動ができた。

しかし、特にシュレッダー以降の吉井和哉の集中力はすさまじく、前半にはまだすこしあった「みんなと楽しい忘年会」の空気を微塵も感じさせない「武道館の吉井和哉」にどんどんなっていっていた。

去年の28日の時にも思ったのだけど、やはり28日は、観客の熱さがまったくちがう。ライブを作り上げるのはオーディエンスでもあるんだなあということを改めて実感。

27日に見たときにWEEKENDERがすごくいい、これはちょっと化けつつあるのかな、と思ったんですけど、それをファナカン前に持ってきて、さすがにもうマンネリ感あるよ、と思ったバラ色→ラブショーの流れを組み替えたあたりの反射神経もさすがだなあと唸らされました。

途中のMCで吉井が思わず「28日はやっぱりいいなあ」とぽろっと言ってしまって、あーそういうこと言うからみんなもう28日にしか来なくなるんじゃん、と思ったんですけど、でもまあそう言ってしまう気持ちもわからないでもない。

さて、基本的にレポというからには、私がどう思ったかってことよりも「吉井がどうしたか」がまずあるべきだと思うし読んでくれているひともそれを期待しているところがあると思うのですが、ここから先はまったく自分の感情吐露大会になってしまっているのでいちおう畳んでみます。ひじょうに女々しいです。すいません。

シュレッダーの前のMCで、吉井は、28日は思い出の日、こうしてこの日は俺だけでもここでやり続けられたら、と言って、私は「俺だけでもとか言うな」と軽くツッこんだんですけど、続いて彼は「でもまあ、それだって、ずっと続けていれば吉井武道館もいろんな使い方ができるだろうしね!人生何が起こるかわかんないんだから」と言ったのだった。

そんなこと、どのインタビューでも彼がしょっちゅう口にしていることだけど、この日、12月28日のこの日にこの場所で言われてしまって、私はじつのところかなり取り乱してしまったのだった。

名古屋のイベントに行って、ELLで吉井和哉がひとりでやるSO YOUNGを聴いたとき、私はほんとうに淡々とこの歌を聴いて、あんなにもパンチドランカーのツアーと密接に関わっていた、ある意味トラウマ的な歌でもあるのに、こんなにも淡々と聴ける自分にすこし驚いて、結局のところ、これは慣れなんじゃないかと思ったのだ。吉井がひとりでバンド時代の曲をやることに慣れたという意味ではなくて、吉井のまわりにエマが、ヒーセが、アニーがいないことに、THE YELLOW MONKEYというバンドがもういないことに、私は慣れてしまったんじゃないかと思ったのだ。かなしいな、これが時の流れというやつなのかな、慣れたりなんて、したくなかったのになと思いながら、でもそうやって慣れていってしまうんだろう、そう思ってた。

でもそうじゃなかった、それが、吉井のこのたった一言ではっきりしたのだ。私は「慣れた」と思い込もうとしてただけだったのだ。待って、待ちすぎて、期待して、もう来ないかもしれない「いつか」に願いをかけ続けていることがつらかっただけだったのだ。バンド時代の曲を聴きたい、という思いと、いつか彼らが帰ってきてくれるのでは、という思いは、まったくべつのもので、そう思い続けていることにすこしの罪悪感もあって、でもやめられなくて、そういったことに、私は封をしてしまえると思っていた。

でもできなかったね。

やっぱり、そんなものじゃなかったんだね。

そして鶴谷さんのピアノで始まる「バラ色の日々」の前のMC。「今日はデビュー15周年ということなんだけど、でももちろん俺だけじゃなくて、イエローモンキーも15周年です。おめでとう!今は別の道を歩いているけれど、でもこうして会いにきてくれたり、音楽というものを通してつながっているって思えるのが嬉しいし・・・イエローモンキーの曲をね、やることについてどうかっていう意見もあると思うけど、でもやらないでいるのも・・・もったいないし、そんなにしょっちゅうはやらないだろうけど、こういう思い出の場所ではいいんじゃないかと思っています」

追いかけても 追いかけても

逃げていく月のように

指と指の間をすり抜けるバラ色の日々よ

「バラ色の日々よ」のリフレインをいつものように観客に託す前に、吉井はこういった。

「イエローモンキーも一緒に!」

私は、多分、解散のあの日のJAM以来、こんなに大勢の人の前で泣いたことはないだろうというぐらい、めちゃめちゃに泣いて、ほんとうにしばらく顔が上げられなかった。私の顔は滴り落ちる涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、隣の友人が同じように大粒の涙をぬぐっているのを見てまた泣いた。私の心が涙でいっぱいだったからか、まるで吉井の声も、泣いているように聴こえ、それがまた涙をとまらなくさせた。

でも、たぶん、この日の「バラ色」は、私がいままで数多く聴いたライブでのそのどれよりも・・・いや、そんなことを言うのはよそう。でも、こんなバラ色はもう二度と聴けないだろう、そう思う。

このライブの日の深夜、吉井がモバイルサイトに「神が降りてくる」と書いていたけれど、そんなこと言って、またみんな28日しか来なくなるじゃん、と思ったけど、でもそういうのも無理はないかも、WEEKENDERでのすごすぎる声の伸びや、BELIEVEやSO YOUNGでのもうなにをしていても吉井和哉だけが浮かび上がってくるようなすさまじい求心力や、トブヨウニでの開放感、それらを自在にあやつっている様を目の当たりにしてしまうと、やっぱり、12月28日は特別なんだなあと思わないではいられなかった。

1階で見ていた友人の話によると、1階南にはメンバーが揃ってきてくれていたようです。

吉井武道館が、いつか、吉井自身が最高のライブだったと評したメカラウロコのような、そんな場を形成できるものに育っていくのか、それはこれからの話なのだけど、時間と状況が許す限り、その場を共有できたらいいなあと思う。どんな状況の変化があって、来られなくなるのか、わからないしね。だけどとりあえず今年、この日をまた一緒にすごせてよかった、そう思います。

外に出ると雨が降っていた。12月28日に雨が降るのは初めてだなあ、と傘をさして、友人ととぼとぼと歩いた。あいつさー、もう、あんなこと言って、こっちの身にもなれよな!と優しい悪態をつきながら、これはきっと涙雨だななんてことを思ったりした。でもいいんじゃないかな、賢人の言葉を借りれば、すべての涙が悪しきものではないはずだもの。

おつかされまでした。

今年もよく働いたね!

私もよく追いかけたね!

ともあれ皆健康で、元気で、新しい年を迎えられますように。

次のツアーを楽しみにしています!

吉井武道館12/28セットリスト

Introduction

Do The Flipping

Biri

I WANT YOU I NEED YOU

HOLD ME TIGHT

ルーザー

黄金バット

Tactics

ワセドン3

大都会

HELP!

カナリヤ

NATURALLY

HIKARETA

マンチー

シュレッダー

Don't Look Back in Anger

バラ色の日々

WEEKENDER

FINAL COUNT DOWN

en

TALI

SO YOUNG

BELIEVE

バッカ

トブヨウニ