吉井和哉.HEARTS TOUR 2012@新潟県民会館レポート

初日。新潟で吉井のライブを見るのは初めてです。開演前にツイッターのほうでいつもお世話になっている方々とご挨拶させて頂いたのですが、「新潟の吉井はデレなので!」との情報を頂きまして、いやでも絶対新潟なんかあるよね。ソロ最初のツアーの初日を新潟で飾ったというのもそうだし。

物販で来年のツアースケジュールが書いてあるという手帳を購入し、ああでもないこうでもない、あそこに行くどこに行くと盛り上がったり、手帳のカバーをめくってみてあーこのパターン前にもやったよねと思ってみたり、もらったフライヤーのなかにベスト盤の告知と来年のツアーの告知があったりでまあ浮き足立っていたかもしれない。なにしろ前日早寝をしすぎて3時半に起きてしまった私であるからして。もういやこのお前も出るつもり症候群。

ネタバレを含んだ感想に入る前に、吉井さんがご自身で書かれていたようにとてもいい初日だったと思います。初日らしい初日でした。中には、ベスト盤の告知と来年のツアータイトル「GOOD BY 吉井和哉」(BYEではないよ念のため)の情報にやきもきされている方もいるかもしれないと思いますが、それはライブを見れば解消されるやきもきである、とはいえるんじゃないかと思います。さらに個人的なことを言えば、今回のツアーは何をやるかという部分もさりながら、何をやるかを知ってからそこにいろんなものを見つけることができるツアーなのかもなーとも思いました。とはいえ、以下具体的な曲名に触れますので、気になる方はここで回れ右。

今思えば、ステージ上になんか置いてある、という時点で一曲目の予想はつきそうなものだった(笑)そう来るか!の20GO始まり。ステージに置いてあるものというのはテルミンで、もちろん間奏のあの部分でお使いになるのである。

ステージの背面には白い長方形を組み合わせたセットが組まれていて、これがスクリーンにもなる仕組み。最初は(なにせ20GO照明が暗いんですヨ!)よく見えませんでしたが、2曲目ぐらいでやっと何を着ているのか判明。吉井ちゃんは今回スーツをお召し!なんか不思議な模様だったね…(笑)シャツは黒でインでした。

2曲目の煩悩コントロール、そして欲望と続いた時点でむ?と。これは新旧新旧のツートンカラーの縞模様の波なのかもしかして、と思ったところでSPARK投下。フェスでも披露していたしバンドの演奏もこなれてる感ありましたね。そして白くて強い照明がやっぱよく似合うSPARKには!

あと今回わたし座席が下手だったので、つまりウブちゃん側だったので、ウブちゃんがとてもよく見えたのです…そして、そして、ウブのあのかっこよさ、何!?としびれまくる瞬間が何度もあったことを(本当に何度も)ここに告白しておきます。特に彼がアップピッキングで弾くときのあの渋格好良さ!んもう!惚れてまうやろ!

オープニング4曲のシークエンスを終えたところでMC。.HERATSツアーへようこそ、わかりにくいタイトルだけど、小さい点がついてますからね!と自分で言っておきながら今回のツアーを「ドットツアー」とか口走る吉井クオリティ。ハートはどこへ行ったの。そして「まちがえたっ!」といってぴょこんと飛んで見せる吉井。エッ今何を…!なんなのそのかわいこちゃんぶり!

そういえばモバイルで史上最高に前髪がヘン、みたいなことQ&Aで仰ってましたが、前髪よりもそのハンパな後ろ髪をもうちょっとどうにかと思ったり思わなかったり。前髪はあれだ、なんかねえ妙にかわいかったんですよ。私何回もライブ中「前髪かわいいよね…」とか友達に話しかけちゃったもん(笑)

新潟最高、もう毎回新潟で初日にしようか、とか言って、でも割と本気と書いてポンゲでそんなこと言ってた気がしないでもないあの人。

てっきり最初の4曲でジャケットを脱ぐのかと思いきや着たまま続行。ボタンはずしーの肩脱ぎしーののプレイはありましたが結局着たままだった。ロンサムジョージに続いてSIDE BY SIDE!この時点で新旧新旧の流れで来てるというのは確信に変わりました。つまりそういうツアーにするんだなと。年明けにベストを出して、今までソロで回ったことのない場所でツアーをやって、それの前哨戦っていう位置づけなんだろうなと。昔の吉井(ロビンソン)と今の吉井和哉をひとつにするツアーなんだなあ、と。まだ平穏じゃ平穏じゃない、って身体を折り曲げて怒鳴るように歌ってたのがめちゃくちゃかっこよかった。

この流れの極めつけとも言えるのが母いすゞからCALL MEの部分だったなーと。吉井和哉のある種到達点みたいな曲と、ロビンソンの到達点みたいな曲のマッチング。もともとおでんでもこの流れはあったんだけど、この日の全体のセトリの中で見ると違う意味をもって聞こえてくるから不思議だ。いすゞも含めてあてぶりも絶好調でしたね。

続いてノーパン。吉井さん本日初めてのギター。フライングVじゃなかったのは確かですがいまいちはっきりせず!ノーパンを聞くときっていうのは、私はもうただただあの「にゅ~にゅ~入道雲のウッドベ~~~~ス」ぎゅいーーーーん、の瞬間に向けて気持ちを高めていく、というのが通例なんですが、そこが初日の初日たるゆえんというのでしょうか、吉井さん「入道雲の」あたりであっエフェクター、と気がついたのかなんなのかエフェクターを踏むために足元を確認し、そしてそのためにマイクから音が外れたのである。おかげでウッドベー、みたいななんか、尻切れトンボな感じに!あそこをねちっこくやらないでどうする!しかも、あの善哉のときのキレッキレにキレまくっていたノーパンから考えるとおそるおそる感ありすぎてもうどうしたことだよと思いました。なのでこんときほぼ、ウブを見ていた私ですよ…いやーウブちゃん黒いシャツよくお似合い(はあと)

Black Cock’s Horse、これも久しぶりに出たんじゃないでしょうか!これ、この新旧のマッチング自体に意味はあるのかな、きっとあるんだろうなー。お尻をつきだしてくねくねといやらしい吉井さんを堪能。俺の歌は俺の歌キミのものじゃないぜ、という歌詞はいついかなる時に聞いてもぐっとくる。

そして次に聞こえてきたのが全く予想外のあのリフ!熱帯夜!わーー冬の季節に熱帯夜…!レア!吉井ちゃん、あの足をあげるアクションってどうしてもやってしまうんですかねそうなんですよね。サビでワイパーをする観客もおりそうでない者もおり、時代の流れを感じたりもしつつ、やはりあの転調していくところからの異様な高揚感ってなんなんだ!と興奮。ギターソロはウブが弾いてました。またこの最後のリフんとこがめっちゃかっこよかったんだよな~!

で、ここからは縞模様の流れを外して終盤へ一気呵成タイム。ONE DAYで本日二度目のギターでしたがジャケットの裾を何回も気にしていたwwだったら脱いじゃえよ!しかしほんと、ONE DAY大好きなー吉井ちゃん。個人的にはおでんの時のALL BY LOVEで着火してからの構成がすげーツボだったのでALL BY LOVE聴きたかった!というか、このときのウブがちょうカッコイイのでそれを間近で見たかった!みたいな(完全なる自分勝手)。

VSのイントロが一瞬ラブコミみたいに聞こえて焦ったりもしつつ、点描のしくみへ間髪入れずになだれ込む。いやー、マジでこの日イチの温度を叩き出したのではないでしょうか。私の感覚からすると熱帯夜も及ばない会場のボルテージだった気がしました。最初におでんで聞いた時はそこまで自分の手の内にしていなかった気がするのに、まさにこの時の吉井は会場のすみずみに手をのばしてぐっと掴んでる感がありましたよ。イントロで叩いていたタンバリンを歌い始めると腕にかけてどちらへお出かけのマダムですかみたいな風情になるのも恒例ですが、あの間奏で客のハンドクラップを煽りに煽って、一瞬のブレイクがあって曲に戻っていくあれ!ああいうのをやらせてほんとこの人の右に出るものいない。PVさながらに赤いレーザーが客席に飛んで、さらに後半それに緑や青のレーザーがからんでいく照明もこの盛り上がりに絶対一役買っていたとおもう。

そのままビルマニアに続くわけですが、最初にセットを見たときに「この白い長方形のあれはビルマニアで絶対ビルになるんだろう…」って思っていたら案の定でした。マイクスタンドを掲げて客に歌わせるところもいつも通り。スタンドはいったん下ろして後ろになぎ倒してたなー。今回、ハンドマイクが割と多いのでスタンドもこれ完全に小道具でねえかみたいな、ただ吉井が持って何かしただけ、ってマイクスタンドの立場は!みたい曲もあってちょっと面白かったです。

前回のツアーから一年半ぶり、今回は初日です、とMC。うしろの白いセット兼スクリーンみたいなのを指して「日本でも珍しいシステム」と紹介していましたが、そ、そうなの?一部の人(手帳買った人ね)はもう知ってるかもしれないけどまた年明けすぐにツアーがあるので、最終日の福島までひとつの、つながったツアーになるんじゃないかなって気がしています。明後日(12日)にはいろいろ情報が出ると思うので…(客席しーん)アルバムの情報も出るので!(客席ワー)楽しみにしていてください。

これ、吉井ちゃんは当日配られたフライヤーの中身を知らなかったのでこんなボカした言い方をしたということがアンコールで判明するわけですが、客はみんなもう中身を見ているので(ベストのこと?)(ベストのことだよね)というアレもあってあんなリアクションだったんだろうなと(笑)アルバム、といっても沸かない客席に吉井ちゃんが「大事なことだから2回言う」とばかりに繰り返したのはなんかかわいかったです。

忘れもしない吉井ロビンソンの最初のツアーの初日は新潟でした、フェイズというライブハウスでした、という言葉を聞いてからのTALIはなんというか、しみじみせざるを得ないものがありました。やっぱりまざまざと思い出してしまうわけですよ、あの最初のツアーをさあ。西日で部屋の全部がオレンジ色になっちゃって未来がぼんやりでも怯えることなどなにもない。あの時とは全然ちがって聞こえたなあ。

アンコール、ここでようやくジャケットを脱いでご登場!しかしシャツをアウトにしたはいいがもともとアウトで着るようになってないせいかなんか不思議なシルエットに(笑)

CDで聞いた時はあまりピンとこなかったロックンロールのメソッド、やっぱりライブで聴くと、というか歌ってる吉井を見ると、また印象変わるなあ。ここで演奏しながらのメンバー紹介に入ったのはうれしかった!このスタイル大好きなので今後もぜひお願いしたい~~。最後のバーニーのソロと曲の展開が重なっていくとこ鳥肌ものの格好良さ!

続いてPain。わーこれも久しぶりじゃないですか?「俺はまだSEXがしたい」の肝心なところを客に歌わせるドSプレイとそのあとのフェイクが最高にかっこよく決まったのに、そのあとの歌詞が丸々吹っ飛ぶという大惨事に!いやー…吉井ちゃんPainとんだ鬼門だな…!今までも麝香鹿が大地を這いっぱなしだったりなんだりいろいろありましたが「ここで歌う歌じゃない」からうにゃうにゃうにゃうにゃ言いっぱなしっていうね!挙げ句「伝われ!」だけ投げられても!伝わったけど!歌詞を忘れたからなのか出遅れたからなのかわかりませんがあの一瞬「ヤベ!」みたいな顔になったのも含めて笑いました…笑いました。

WEEKENDERの「朝からね」のあと「雨が降ったり降らなかったり虹が出たり」とさし挟んで「いいお天気で もなかったり」とこの日の新潟市の天候をものすごく早口でまくし立てたのすごくキャワゆかったです…そうなの虹出てたんだよー、空港から駅に向かうバスの中で私も見ました。よく知ってるな吉井ちゃん。

ここでさっきの「まだ情報解禁だめかと思ったら実はすでにチラシが配られてた事件」の真相が明かされたわけですが、吉井ちゃん曰く「もう何を言っていいのかダメなのかtwitterとかFBとかごちゃごちゃなんだもん!」もん!ばか!かわいい!っていうか言ってダメなことを仄めかそうとするからそういうジレンマに陥るのではないですか(冷静なツッコミ)。

というわけで、新しいアルバムはベストアルバムです。なーんだベストか!って思っただろ!新曲が5,6曲入ってるんだぞ!(新曲の入ったベストアルバムってベストって言えるんでしょうかと小一時間)ふるい吉井和哉が挟んであるアルバムになっていて、タイトル「18」、エイティーンって何かって、単純にカズヤです(笑)で、来年とうとう田舎を回るツアーを!それもド田舎を回るツアーを!(失敬な!)やる予定です。これはねえ、すごくリスキーだと言われてるんだけど、でもまあガラガラでもいいかなって。

新曲はHEARTSっていうタイトルで、なんか…今までの自分は家出していたようなものなのかなって思うことがあって、でもみんなも、家出しているようなところってあるとおもう。家出はしてみたけれど、ってそういう歌になったかな…なんか、うまく言えてなくて申し訳ないけれど、でも自分にとって凄く大切な曲になると思います。

着うたの配信がこの日からスタートしていたけど、きっとライブでやるだろうしライブで初聴きといきたいもんだ、と思ってまったく白紙の状態で聴きました。アッパー系の最高値を叩き出した点描とともにこの曲がこの日のライブのハイライトだったと思う。自分にとって大切な曲であるからこそ、ライブの最後に披露する新曲、という運びになったのだろうと思うけれど、ドラマチックでどこか寂しげで、けれど圧倒的なパワーを感じる、素晴らしい新曲でした。曲の最後のほうに、あなたはいつもそばにいる気がした、という歌詞が聞こえたのもぐっときました。

ほんと、ときどき最高潮にめんどくせえなって思うことも長いことファンをやっているともちろんあるんだけど、でも、みんなも家出しているようなものなんだとおもう、なんてことを言われてしまうと、やっぱり参ったなあと思わざるを得ない。ただ単に家を出る出ないということではなくて、私たちみんな、どこかに行って、そして帰ってくる、その繰り返しなんじゃないかって私も思うことがあるからだ。HEARTSの歌詞はその吉井さんの真骨頂ともいうべきフレーズがたくさんあって、やっぱりそこにもぐっときてしまったのだった。

途中までの新旧新旧という曲の組み方、そして全アルバムから少なくとも1曲は選ぶという(趣旨からしても意図的なんだと思います)、ある意味縛りのあるなかで、吉井さんの押し引きというか、手綱捌きというか、ライブをコントロールしようとする力を感じた初日でした。もっと爆発できるセトリを組もうと思えば組めるけれど、今回のツアーでたどり着きたいところはそこじゃない、ということなんでしょうか。その制限のある中で手応えを感じられたのかなーなんてことを思ったりしました。セトリの微調整はこれからどんどんありそうな気がしますよね。Painは残るのかなとか(笑)

来年でソロ10周年で、ほんとにいつもありがとう、これから20年30年とやっていきたいのでよろしくお願いします、と言っていて、そういう未来の話をするのもなんだか新鮮ではあった。どこかで、愛されているのを感じます、って言っていた気がする、それとも愛してくれてありがとう、だったけな。記憶が曖昧で申し訳ない。でもHEARTSの前に、サンキュー愛してます、って言ったの、これは確か。サンキュー愛してます。私もよ、吉井ちゃん。

吉井和哉.HEARTS TOUR 2012@新潟県民会館セットリスト

20GO

煩悩コントロール

欲望

SPARK

ロンサムジョージ

SIDE BY SIDE

いすゞ

CALL ME

ノーパン

Black Cock’s Horse

熱帯夜

ONE DAY

VS

点描のしくみ

ビルマニア

TALI

~EN~

ロックンロールのメソッド

Pain

WEEKENDER

HEARTS